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TWO DOOR CINEMA CLUB

Skream! マガジン 2011年04月号掲載

2011.02.19 @渋谷WOMB

Writer 山田 美央

2009年に『KITSUNE MAISON』シリーズに参加し、昨年1月にはデビュー・アルバム『Tourirt History』をリリースしたTwo Door Cinema Club(以下、TDCC)。昨今、エレクトロ要素を取り入れたロック・バンドが多く登場している中、非常に軽やかかつ、ストレートなポップ・サウンドを展開している3ピース・バンドだ。リード・ヴォーカル、ギター、シンセサイザー、ビートをこなすバンドの核であるアレックス・トリンブル、同じくギター・ヴォーカルのサム・ハリデー、ベース・ヴォーカルのケヴ・ベアードというドラム・レスという一風変わった3人構成。待望の単独来日公演は、発売とともにソールド・アウト、文字通りチケットは争奪戦となった。追加された本公演も、瞬く間に完売となり、日本のファンの期待の大きさが伺える貴重なライヴとなった。

当日、スモークが立ち込めるWOMBはサイケ・エレクトロのイベントでも始まりそうな雰囲気。通常、クラブである本会場に今宵フロアに集ったオーディエンスは、首タオルにTシャツといった如何にもなライヴ・キッズから、ハイヒールに真っ赤な口紅を引いたパーティー・ピープルまでが所狭しとひしめき合い、一種異様な雰囲気を醸し出していた。男女偏りなく集ったオーディエンスからは、「まだか、まだか」という熱い視線がステージに向けられていた。

開演定刻17時を少し過ぎ、唐突に鳴りいた「Cigarettes In The Theatre 」のイントロ。アルバムのオープニング曲から幕を開けるという、なんともロックなスタートに、フロアのテンションはいきなり最高潮に。大歓声に迎えられ、少年のような3人が姿を現した。如何にも澄ました優等生然としたUKボーイな印象を強く持っていたが、ステージに立った彼らは、別人のように熱く真っすぐな芯の強さを感じさせた。通常の3ピースにベンジャミン・トンプソンをドラムに迎えた骨太なサウンド。ドラムの重厚さにも決して引けを取るわけではない3人の重厚なパフォーマンスに、ロック・バンドであることを何度も再確認させられた。

「Undercover Martyn」「Hands Off My Cash」「Do You Want It All」「Something Good Can Work」と、とびっきりキャッチーでダンサブルなロック・サウンドを、立て続けに奏でる彼ら。一曲一曲ごとに、音源とは違った魅力の発見がある(たとえば、少年のように正直なサウンド)。だからこそ、一度耳にしただけで、脳髄を貫く程に親しみやすいのだろう。「ハロー」という不器用ながらも愛嬌のあるMCを挟みつつ迎えた折り返し地点では、新曲「Hand Shake」を披露。繊細さを増したメロディに、相反するようなキャッチーで大胆なリフ、圧倒的な一体感。実に“TDCCらしさ”の詰め込まれていた。さらなるサウンドの飛躍を予感させる展開に、フロアの熱気はこれ以上ないほどに上昇。「This Is The Life」「Kids」「You're Not Stubborn」「Costume Party」「What You Know」「Eat That Up, It's Good For You」と、表題曲を織り交ぜ、メンバーもオーディエンスも一体となってWOMBの空気をライヴ・ハウス仕様に練り上げ、全力でラストまで駆け抜けた。

終演後、待ちきれないとばかりに、3人がステージ袖に消えるか消えないかのタイミングですでに沸き起こっていたアンコール。「Come Back Home」のイントロとともに、再びメンバーがステージ上に姿を現すと、フロアは大盛り上がり。アンコール・ラストの「I Can Talk」では、フロア全体で「アッ!オ!アアオッ!アッ!オ!アアオッ!」の大合唱!合いの手「ヘイ!ヘイ!」を叫ぶツワモノや、飛び交うダイヴとモッシュの熱気。いろいろな熱狂の形が入り乱れ、ぶつかり合い、誰もが最高の笑顔を浮かべていた。アンコールの2曲含め、14曲を駆け抜けた3人は、最後に「またすぐに会おう!」という夏フェスでの来日を予感させる嬉しいコメントを残し、会場を後にした。

若さ爆発のパフォーマンスに翻弄されることひとしきり。17時開演という“優等生”らしい時間に開始された本公演。サマソニ前哨戦に相応しく、アルバムを万遍なく網羅した、実に密度の濃い熱狂的な1時間であった。ここ日本でも、2009年のBritish Ansems、2010年のSUMMER SONICと立て続けに大規模フェスでの来日を果たしているとはいえ、オーディエンスの熱狂ぶりには目を見張るものがあった。軽やかで、親密で、ずば抜けた疾走感あふれるポップ・サウンドに煽られれば、ジャンルやスタイルなんてお構いなしに、誰もが踊る踊る。あちこちで沸き起こる笑顔のコール・アンド・レスポンスに、私自身、ますますの成長を遂げるであろう3人の手ごたえを感じることができた。圧倒的なスピードで世界中に広がり続けるTDCC旋風は、これからも勢力を増すだろう。遠心力のようなダンサブルで親密なビートに、振り落とされないようしっかりと掴まっていたい。

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