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INTERVIEW

Overseas

THE TING TINGS

2012年03月号掲載

THE TING TINGS

Member:Katie White(Vo, Gt, Ba&Dr) Jules De Martino(Dr&Vo)


-これまで話してくれたいくつかの本作で伝えたいメッセージの中で、最も重要なメッセージは?また、それを表現している曲を選ぶとしたら、どの曲になるのでしょうか?

J:一言で言うのは難しいけど、僕はこのレコード(アルバム)で、怒りに満ちていたのは事実なんだ。まず、セカンド・アルバム制作中にフラストレーションが溜まった理由の1つは、もう、ただレコードを作って、酔っ払って、パーティーして、という訳にはいかなかったこと。突然、プレッシャーや期待が集まったり、周りからどんなサウンドにすべきかとか、どんな曲をやるべきか……そんなことを言われるようになったんだ。そして、レーベル、マネージメント、出版……あらゆる書類に追われたり。何となく、僕たちと音楽の間に沢山の人達が割り込んでくるようになったんだよね。音楽と直結することが出来なくなったんだ。どこかで喧嘩や言い争いがなければ、音楽にもたどり着けない。ただ、楽しんでクリエイトすることができなくなってしまった。レーベルとのミーティングがあったり、新しいマーケティング戦略だとか、もう、僕たちは本当に腹が立ってね。その怒りが込められたのが「Soul Killing」だよ。オフィスでミーティング6つこなして、電話で4時間ファンと触れ合って、インタビューして……。やっぱりイライラしてくるよね。音楽が全く関係ないもののように思えてくるんだ。そういう気持ちを「Soul Killing」では表現しているよ。「Hit Me Down Sonny」は、局地に追い込まれる気分、自分がやりたくないことをやらされる気分が込められてるんだ。アルバムに収録されているほとんどの曲が、怒りの気持ちを込めて書いたって言えるかもしれない。もしくは、毒を吐き出すかのように。自分たちの周りで口を出してきたり、アドヴァイスしてきたり、命令してきたり、そういうのにウンザリだったのさ。ファースト・アルバムは自由だった。でも今作は、そういったプロセスを通らされて、僕たちは、僕たちの音楽に関わってる人全てを人生から追い出して、Katieと2人で自分たちが伝えたいと思うメッセージを決めることでやっと動き出すことが出来たんだ。だから皮肉だなと思うのが、このアルバムで世界中を旅してインスピレーションを得たことをプレイリスト風にしたことで伝えられるのと同時に、音楽業界そのものが音楽を破壊していることに対して怒りを感じていることも伝えているんだ。

-ファースト・シングル「Hang It Up」は、“諦める”という少し後ろ向きな意味合いがあると思うのですが、それもそういった怒りが反映しているのでしょうか?

K:確かに“諦める”という意味ではあるけど、諦めるというよりも“やめる”という意味で前向きなことだと思うの。

J:多くの人が“諦める”というのは後ろ向きだ、イイ言葉じゃないという印象を持ってること自体が問題だと思うんだ。やることの何が悪いのかな?みんな“頑張って、やり続けて、踏ん張って、もう少し頑張れば最高になるから”って言うから、世界中で問題が起こると思うんだよ。時には“僕はこれに関してはあまり得意じゃないみたいだ”と受け入れることも大切なんだよ。だから、ビデオでスケーターが何度もコケまくってるんだ。もし自分には才能がないと気づいたら、やめてしまうことを恐れないでほしい。他のことやればいいじゃないか!ってことなんだよ。だから、一般的な“諦める”というニュアンスではなく、“やめちゃったっていいんだ”“手放してごらん”そういうニュアンスの曲なんだ。

-先ほど少し話してくれましたが……皆さんがそこまでセルフ・プロデュース、2人だけの制作にこだわる理由とは?これまで誰かとやってみようと思ったことすらもないですか?

K:そうね、セカンド・アルバムは私たちだけで作ろうと思ってたし、ファーストの時もそうだったけど、私たちの曲を作るということが重要だと思ってたからそうしたの。でも、何のプランもないけれど、他の人とのコラボレーションをするのは大歓迎だわ。カントリー・アルバムを作りたいと思ってるし……。一番重要なのは、真似事ナシのストレートな私たちの作品、売るためでなく、自分たちを表現するために作ったセカンド・アルバムが完成したことね。