Overseas
JONSI
2010年04月号掲載
Interviewer:伊藤 洋輔
アイスランドを代表する音響集団Sigur Rósのフロントマン、JONSIのインタビューを届けよう。故郷では噴火した活火山がニュースとなっているが、同様にここ最近のJONSIの動きは活発だ。とめどない創作意欲をありのままに、オープンな姿勢で楽しんでいるような多幸感に溢れている。インタビューもポジティヴな発言が目立つように、現在のメンタリティは本当に良好のようだ。デビュー時のセンシティヴな姿はどこへ?この調子だと、サマソニのパフォーマンスも素晴らしいものになる予感がします。
-まずは根本的な質問から伺います。なぜソロ・アルバムをリリースしようと思ったのですか?
Sigur Rósとしてもう長い間活動してきた。気付いたらもう15年以上。知ってのとおりSigur Rósは共同体なバンドで全てのジャッジを全員、4人で行うんだ。これだけ長くやってると僕が作った曲でバンドの曲として使われなかった曲が沢山たまってきたんだ。そんな時に『með suð í eyrum við spilum endalaust(残響)』のツアーも終えてちょうどメンバー達に子供が生まれることになってバンドを休むことにしたんだ。これは絶好のタイミングだと思い、僕にとってはまたとない機会だし、ソロとしてアルバムをリリースする事にしたんだ。
-昨年はJONSI & ALEX名義で発表した『Riceboy Sleeps』がありましたが、本作『GO』のプロジェクトでもAlexは大きく関係していますね。2枚を比べると世界観はまったく異なりますが、両アルバムで共鳴している部分はあると思いますか?
ボーイフレンドが絡んでいるって意味では関係しているよね。ただ『Riceboy Sleeps』はアンビエントでシネマトリカルな内容に対し、今作は真逆のアプローチをしている。Sigur Rósとも違ってより僕のヴォーカル・メロディにポイントを置いているし、アコースティックな楽器を中心に作曲もしたんだ。
-アルバム『GO』について伺います。本作はNico MuhlyやSamuli Kosminenと個性的なアーティストとのコラボレートで制作されていますが、彼らとの作業はどのようなインスピレーションを与えてくれましたか?
うん、Samuliは間違いなく沢山のエネルギーを持ち込んでくれたよ。彼がいなければここまでビートがはっきりしたレコードにはならなかったと思う。個人的にはSigur Rósよりもビートは強く、アグレッシヴになってるんじゃないかなぁとも思うね。Nicoの作品はもちろん知ってたんだけど一緒に仕事するのははじめてで、凄くオープンマインドな人で何よりも仕事が早い。一晩で何曲ものアレンジを仕上げてくれたんだ。凄くインスパイアされたよ。
-初めはアコースティックなアルバムを作ろうとしていたところ、途中から思いも寄らぬ方向に進み本作が完成されたそうですね。何がきっかけとなり思いも寄らぬ方向に向かったのですか?
偶然というか必然というか・・・。始めは本当に静かでアットホームでアコースティックな作品にしようと制作をはじめたんだ。時が経つに連れて僕もはっきりした要因はわからないんだけどスパークした感じかな?ドンドン突っ走る感じに仕上がっていった。
-Sigur Rósの『með suð í eyrum við spilum endalaust(残響)』から海外レコーディングを行っていますが、本作のレコーディングもコネティカット州のタークィン・スタジオで行いましたね。アイスランドを離れて行うレコーディングはあなたにプラス作用を与えてくれましたか?
もちろんさ。ボーイフレンドがアメリカ人という事もあって僕は最近ほぼ英語でコミュニケーションをとっているんだ。なのでアメリカにも頻繁に行っているし、それこそSigur Rósでのフィールド・ワークで慣れた部分も多いし、いまだに刺激的な部分も多いね。それこそPeterのスタジオなんだけど素晴らしいスタジオなんだよ。
-これまでのバンド・メンバーと作り上げていく形態から、ソロというすべての責任が伸しかかる状態になった変化は苦労した部分が大きかったと想像します。制作当時を振り返り、どのような心境でしたか?
いや、苦労はさほどなかったね。さっきも言ったようにいずれは僕はソロ・レコードを出したかったんだ。Sigur Rósと違った世界感でハッピーでカラフルで解放的なアレンジで。それがようやく出来てむしろハッピーだよ。あ、一人でプロモーションをしないといけないという作業は苦労かもね。(笑)
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