Overseas
ASH
2010年04月号掲載
Member:Mark Hamilton(Ba) Rick McMurray(Dr)
Interviewer:佐々木 健治
-では、ファンからの反応はどうでしたか?
R:凄くよかったよ。今回のリリース形態を決めた時は、アルバムを作らないの?みたいに心配する人もいたけれどね。アルバムを作るってことも発表していたし、実際にやってみて、このやり方はいいんじゃないかと面白がって、共感してくれるファンの人達がたくさんいたんだ。シングル自体、26曲リリースする。しかも、アルバムにはボーナス・トラックもたくさん入っている。ダウンロードで買う人も、一曲ごとではなく、シリーズでまとめて予約をしてもらった人には割引きもしたし、買う側にとっても買いやすい仕組みだったと思う。安く、たくさんの曲が手に入るからさ。
M:うん。たくさんの人に気に入ってもらえたと思うよ。2週間と考えると確かに短い時間だけれど、このシリーズの最初から最後までと考えると、一年とか凄く長い期間になる。その間、ずっとリリースがあるというのは、僕らにとってもリスナーにとってもいいことだと思うんだ。まさに、オーディエンスと一緒に旅をしているような気持ちになるプロジェクト。例えば、日本のファンは言語的壁があるのに、今回のプロジェクトもどういう風に感じてもらえているか、分からない部分が実際はあるけれどね。でも、今回実際に日本に来て、ファンと触れ合うことで感じることはもちろんあるわけで。そういう意味で言えば、インターネットのオフィシャル・サイトの掲示板とか、そういうところに意見や感想をもっとたくさん書き込んでくれると嬉しいな。
あと、今回のプロジェクトで、自分達が大事な目的だと思っていたことが一つあるんだ。それは、音楽が本来持っていた意義を取り戻したいということだよね。今みたいに、i-podとかに何千曲、何万曲と入れることができると、一曲一曲に対する思い入れがやっぱり薄くなってしまう。ダウンロードはやたらとするけれど、曲を「持っている」ことに満足してしまって、音楽自体を聴きこんだりすることが減っていると思う。本当に、使い捨てみたいなものだよ。だから、2週間に1曲リリースすることで、レコード屋さんでアナログを買ってもらうにしろ、ダウンロードするにしても、一回で全てが手に入るわけではない。2週間毎に、買いにまた戻らないといけない。そして、2週間毎にそうやって行動することで、一つ一つ手に入れる喜びみたいなものを皆に実感して欲しかったんだ。そうすることで、音楽が本来持っている価値を皆が気がついてくれたらいいなと思った。
-そういう意味でも、今回のプロジェクトでは、ファン、リスナーとの音楽を通じてのコミュニケーションをどう図っていくかということも重要だったんですね。
R:その通り。
M:僕達は今、メジャー・レーベルと契約しているわけではないから、ファンとの壁がないんだ。間に余計な人やものがない。ダイレクトに通じ合えるからこそ、音楽の価値とか力を皆に再認識してもらいたかった。それが、自分達の今後の未来にも繋がっていくわけだからね。ASHのファンがいてくれるからこそのASHだからね。でも、そういう意味だけでもなく、うまく言えないけれど、もっと大きな意味で、いろいろな形で皆と繋がっていくことの重要性って言うのはとても感じているんだ。
-分かりました。次に日本に来るのはフジ・ロックですね。
R:前回のフジ・ロックが、これまで世界中でライヴをやってきたけれど、本当に僕達のベスト・ライヴの一つだと思っているんだ。ホワイト・ステージの動員数の新記録にもなったみたいだし、いろんな意味で記録的なライヴなんだ。だから、それを越えるライヴをしたいと思っているし、今から楽しみだよ。
M:うん。今回はRussellもいるし、新曲もあるし、いいライヴになると思うよ。もっと長いスパンで見た時に、例えば僕達が、いつかフジ・ロックのヘッドライナーをできたら最高だよね。そうやって考えると、どんどん夢が広がっていくんだ。
-そうですね。いつか実現してほしいですね。楽しみにしています。
R&M:ありがとう。楽しみにしていて。
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復活をアピールした『Kablammo!』からおよそ3年。北アイルランドの3人組が新作をリリース。多彩な楽曲が集大成を思わせた前作から一転、今回は、まずグランジ世代のパワー・ポップ/ギター・ポップ・バンドの矜持を印象づけたうえで、ダンス・ビート、ハード・ロッキンないなたいリフ、THE BEACH BOYS風のハーモニーを交え、抜群のアレンジ・センスを見せつける。「Incoming Waves」はピアノとアコースティック・ギターのシンプルなアンサンブルから壮大に展開するドリーム・ポップ・ナンバーだ。直球のパワー・ポップ・チューン「Buzzkill」では、同郷の大先輩であるTHE UNDERTONESのメンバーが客演するという、パワー・ポップ・ファンには嬉しいサプライズも。(山口 智男)
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"最後のアルバムとなる"と宣言した前作『Twilight Of The Innocents』のリリース以降も、"1年間、アルファベットの各文字のシングル曲を2週間毎に発表していく"という前代未聞の企画"A-Z Series"によりクリエイティビティを発揮したASH。8年ぶり、通算6枚目となる彼らのニュー・アルバムは、2分半足らずのパワー・ポップ「Cocoon」から始まり、ストリングスの音色が甘くも儚いアンセミックなナンバー「Moondust」、ダンサブルな四つ打ちビートを軸に展開される「Go! Fight! Win!」、90'sの懐かしさ漂う「Shutdown」やカレッジ・ロックな「Dispatch」など名曲揃い。多彩でありながらも、ひとつの作品としてまとまりがあり、アルバムというフォーマットの魅力を再認識できる1枚。(奥村 小雪)
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今年のフジロックで久々にASHのパフォーマンスを見たが、良い意味で昔と変わっていなかった。変わっていない部分とは、ともすれば無邪気なほどの、音楽に対するピュアな姿勢だ。そのスタンスがブレないから、いつでも瑞々しく、あの胸のすく繊細な旋律を奏で続けることができる。そんな彼らだからこそ、2週間に1度、デジタル配信&アナログで26曲を1 年間でシングル・リリースするという前代未聞な企画も有言実行できたのだろう。そしていよいよ、その『A-Z』シリーズの完結編、Vol.2 がリリースされる。Vol.1同様、全曲それぞれのスタイルでバラエティに富んだ内容はもちろん、これでもかってくらいASH節満載!曲作りからレコーディングにツアーと同時進行で制作されたというこのシリーズだが、その野心と勇気に心から拍手を送りたい。(佐々木 健治)
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ASHが取り組んできたA-Zシリーズから13曲をコンパイルした『A-Z Vol.1』。2週間ごとに一曲発表するというリリース形態自体、大きなチャレンジだったわけだが、様々なスタイルに挑んだ各曲のクオリティの高さはさすがASH。常にフレッシュな状態で活動を続けていなければ絶対に停滞してしまうだろうが、このコンピレーションのどこを切っても瑞々しくエネルギッシュな彼らの様子が伝わってくる。しかも、まだこれがシリーズの全貌ではなく、残り13曲もあるわけだから恐れ入る。正直、これほどASH の活動にワクワクするのは久しぶりだ。ベテラン・バンドが陥りがちなマンネリズムに堕することなく、これほどのポップ・ソング集を届けてくれたこと。どんな能書きよりも、このことこそが何よりも大切な事実だ。(佐々木 健治)
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2010.04.06 @代官山UNIT
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