Japanese
Homecomings
2014年03月号掲載
Writer 天野 史彬
京都精華大学のフォーク・ソング部で結成された、女子3人男子1人から成る4ピース・バンド、Homecomings。いまだ結成して2年足らずの彼女たちの新作『I Want You Back EP』がいい。去年、京都の名門レーベル、SECOND ROYALよりリリースされたデビュー・ミニ・アルバム『Homecoming with me?』もよかったが、今作も凄くいい。
ギター・ポップやネオアコといったインディー・ポップを基調とした音の路線は大きくは変わっていないが、ただ、前作がまるで川面に反射する太陽のようにキラキラと輝くメロディと、疾走感溢れるノイジーなギター・サウンドが溶け合った、泣き笑いの青春群像劇をそのまま音像化したような若さ炸裂の作品だったのに対し、今作ではちょっぴり大人びた表情を見せている。全5曲中、USインディーのベテラン、THE MAGNETIC FIELDSの「The Saddest Story Ever Told」のカヴァーを含む後半3曲がアコースティック・アレンジの楽曲なこともあって、全体の印象はとてもメランコリック。去年、7インチ・シングルとしてリリースされた表題曲「I Want You Back」も、リズムは軽快に跳ねているにも関わらず、曲そのものの鳴りはどこか切ない。言うなれば、前作が朝の景色ならば、本作は夜の景色。仲間たちと走り回り、お喋りをし、音楽を聴き、太陽の下で大いに笑った時間は過ぎて、部屋でひとり、意中の人へ想いを馳せている......そんな甘酸っぱくも切ないメランコリーが本作にはある。
ただ、Homecomingsの音楽における、まるで頬杖をつく乙女の横顔のような哀愁は、決して本作で初めて表出したものではないことも確かで、それは前作に収録された代表曲「You Never Kiss」などを聴けばわかる。彼女たちの歌やメロディには一貫して、伝わらない想い、不安な未来、大人たちや外界がもたらす痛み――そんないろんな"満たされなさ"に耐えながら、必死で小さく息をしながら生きる若者特有のか弱さや繊細さが宿っている。本作は、そんな彼女たちの本質がより赤裸々に表現された作品と言えるだろう。
だが、忘れてはいけないのは、Homecomingsの音楽における"か弱さ"や"繊細さ"は、そのまま表現の"強度"にも置き換えられるということ。Homecomingsの音楽の源流を辿れば、80年代のネオ・アコースティック~ギター・ポップへと遡ることができるが、たとえばAZTEC CAMERAやORANGE JUICEといった80年代ネオアコ・バンドたちが奏でた流麗なメロディが、ただ粗暴なだけの形骸化した70年代パンクに対するアンチテーゼだったこと。もしくは、THE PASTELSやTHE VASELINES、BEAT HAPPENINGといったギター・ポップの無邪気で力の抜けたサウンドが、80年代~90年代初頭に隆盛を極めたハード・ロックやメタルの持つ男根主義的なマチズモと、その裏に蔓延る商業主義に対するアンチテーゼであったことを思い出せばいい。ロックの歴史の中で"か弱さ"や"繊細さ"は、ひとつの反骨精神の表れとして存在してきた。その精神は、Homecomingsにもしっかりと受け継がれている。彼女たちが奏でる可愛らしくもほろ苦いメロディ、こっそりと胸の内を呟くようなヴォーカル、そして、どんな傷や哀しみを抱えようとも走り出さずにはいられない青春の輝きが結晶化したようなバンド・アンサンブル――これらは、いまだ僕らの生活を窮屈なものにする権威主義や商業主義、同調圧力に対する決死の抵抗なのだ。Homecomingsの音楽には、ひとりぼっちでいることの気高さがある。
去年、1度だけ彼女たちのライヴを観たが、まるで"クラスの仲良し女子3人組に、たまたま席が近くて話のウマが合ったので、イジられ役として男子が1人その輪に入りました"といった感じの教室の片隅の光景がそのままバンドの佇まいになっていて、とても魅力的だった。大人になった自分が、それでもひっそりと胸の奥底に隠し持っていたものを照らし出されたような、そんな喜びと興奮。この音楽は、聴く人にとっての小さな、それでもかけがえのない宝物のような存在になるだろう。この繊細で気高いインディー・ポップに、あなたも出会ってほしい。
- 1
LIVE INFO
- 2024.03.19
-
神はサイコロを振らない
BIGMAMA
MyGO!!!!!
怒髪天
WurtS
EASTOKLAB
eill
XIIX
milet
East Of Eden
the chef cooks me
- 2024.03.20
-
神はサイコロを振らない
Mr.ふぉるて
いきものがかり
怒髪天
yama
BUMP OF CHICKEN
MAGIC OF LiFE
CRYAMY
AJICO
SUPERCHUNK × NOT WONK
SHE'S
UNCHAIN
Galileo Galilei × BBHF
Tsukasa Inoue
GLIM SPANKY
れん
シノダ(ヒトリエ)
WurtS
Hakubi
ZAZEN BOYS
ザ・クロマニヨンズ
DURAN
秋山黄色×石崎ひゅーい
Amber's
竹内アンナ
TOOBOE
milet
Hello Sleepwalkers
the chef cooks me
- 2024.03.22
-
"HY SKY Fes 2024"
怒髪天
Mr.ふぉるて
さかいゆう
シノダ(ヒトリエ)
キュウソネコカミ
yama
クジラ夜の街
マルシィ
MyGO!!!!!
Creepy Nuts
FABLED NUMBER
a flood of circle
Base Ball Bear
TAIKING
Hakubi
Age Factory
Absolute area
PEDRO × MONO NO AWARE
スピラ・スピカ
ORCALAND
シンガーズハイ
ズーカラデル
- 2024.03.23
-
ヤバイTシャツ屋さん
"HY SKY Fes 2024"
怒髪天
クジラ夜の街
yama
眉村ちあき ※振替公演
ORCALAND
AJICO
原因は自分にある。
Tsukasa Inoue
indigo la End
King Gnu
ExWHYZ
TAIKING
SUPERCHUNK × NOT WONK
EASTOKLAB
Base Ball Bear
MAGIC OF LiFE
Laughing Hick
Creepy Nuts
sumika
東京初期衝動
大塚紗英
フラワーカンパニーズ
"ツタロックフェス2024"
マカロニえんぴつ
Uniolla
離婚伝説
めいちゃん
THE BACK HORN
SUPER BEAVER
虎の子ラミー
TENDOUJI
- 2024.03.24
-
"HY SKY Fes 2024"
眉村ちあき ※振替公演
にしな
いきものがかり
ハンブレッダーズ
MAGIC OF LiFE
さかいゆう
JYOCHO
sumika
indigo la End
東京初期衝動
KiSS KiSS
"ツタロックフェス2024"
Ivy to Fraudulent Game × osage
マハラージャン
cinema staff
GLIM SPANKY
SUPERCHUNK × NOT WONK
めいちゃん
SUPER BEAVER
Newspeak
- 2024.03.25
-
Base Ball Bear
怒髪天
ザ・クロマニヨンズ
SUPERCHUNK
- 2024.03.26
-
神はサイコロを振らない
挫・人間
reGretGirl
- 2024.03.28
-
Hakubi
神はサイコロを振らない
レイラ
リーガルリリー
yama
LEGO BIG MORL
WurtS
- 2024.03.29
-
ORCALAND
いきものがかり
レイラ
BIGMAMA
Mr.ふぉるて
the McFaddin
yutori
Mega Shinnosuke
FABLED NUMBER
Creepy Nuts
佐々木亮介(a flood of circle)
Panic Monster !n Wonderland
Tsukasa Inoue
The fin.
CVLTE
マルシィ
- 2024.03.30
-
キュウソネコカミ
MAGIC OF LiFE
シノダ(ヒトリエ)
神はサイコロを振らない
04 Limited Sazabys / My Hair is Bad / go!go!vanillas ほか
フラワーカンパニーズ
ヤングスキニー
ザ・クロマニヨンズ
Laughing Hick
KANA-BOON ※開催中止
東京初期衝動
BUMP OF CHICKEN
夜の本気ダンス
夜の本気ダンス
Mega Shinnosuke
にしな
This is LAST
the telephones
yama
SEKAI NO OWARI
GLIM SPANKY
SHE'S
kobore
Base Ball Bear
Subway Daydream
TAIKING
People In The Box
マカロニえんぴつ
AJICO
ハク。
MAN WITH A MISSION / サンボマスター / ACIDMAN ほか
indigo la End
Saucy Dog
- 2024.03.31
-
バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI
東京初期衝動
ヤングスキニー
ORCALAND
フラワーカンパニーズ
神はサイコロを振らない
sumika / THE ORAL CIGARETTES / SiM ほか
MAGIC OF LiFE
いきものがかり
ザ・クロマニヨンズ
ズーカラデル
Mr.ふぉるて
BUMP OF CHICKEN
超能力戦士ドリアン
リーガルリリー
yutori
the telephones
odol
挫・人間
yama
moon drop
SEKAI NO OWARI
This is LAST
People In The Box
マカロニえんぴつ
原因は自分にある。
さかいゆう
怒髪天 / GLAY / さだまさし
Saucy Dog
- 2024.04.02
-
神はサイコロを振らない
SCANDAL
- 2024.04.03
-
ハク。
ヤングスキニー
indigo la End
RELEASE INFO
- 2024.03.20
- 2024.03.22
- 2024.03.27
- 2024.03.28
- 2024.03.29
- 2024.03.31
- 2024.04.03
- 2024.04.05
- 2024.04.07
- 2024.04.09
- 2024.04.10
- 2024.04.17
- 2024.04.21
- 2024.04.22
- 2024.04.24
- 2024.04.26
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
MGMT
Skream! 2024年03月号