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INTERVIEW

Japanese

Homecomings

Homecomings

メンバー:畳野 彩加(Vo/Gt) 福富 優樹(Gt)

インタビュアー:TAISHI IWAMI

Homecomingsが長らく活動拠点にしていた京都を離れ東京に移り、メジャーからのデビュー・アルバム『Moving Days』を完成させた。初期のインディー/ギター・ポップから、アコースティック・サウンドを前面にフォーキーなサウンドにアプローチし、鍵盤やストリングスも採り入れながら物語性のある世界を描いたアルバム『WHALE LIVING』の流れを受け継ぎながら、ソウル/R&Bや打ち込み主体の曲などさらに音楽性の幅を広げるとともに、メロディ・ラインもより豊かに。その上に乗る日常の大切な何かを拾い集めるような言葉など、あらゆる要素にバンドとして愚直に歩を進めてきたからこそのネクスト・フェーズを感じ取ることができる。今回は上京からメジャー移籍に至った理由と、先行配信曲「Herge」の話を中心に、メンバーの心境を訊いた。

-長らく活動拠点にしていた京都を離れ、東京に移ったのはなぜですか?

福富:京都より東京のほうがいいと思ったからみんなで移ることにしたとかではなく、きっかけはメンバーの個人的な事情ですね。先に彩加さんが東京での生活を始め、ドラムのナルちゃん(石田成美)も結婚して栃木に引っ越すことになったんです。ふたりは関東、僕とベースのホナちゃん(福田穂那美)が京都だといろいろと動きが難しくなることも出てくる。でも、本当はバンドを続けたいのにそれが理由で誰かが抜けるとか活動を休止するのは嫌だったので、僕らが東京へ引っ越すことにしました。

-Homecomingsの音楽は、町の景色や季節感といった、その土地で暮らす日常とのリンクが強いように思うのですが、京都と東京で感じた違いはありますか?

福富:今住んでいるところが都心ではなく郊外ということもあってか、京都と東京でどうこうという感じではない気がします。例えば同じ京都の中でも住む場所が変わればお気に入りの場所も見える景色も変わるわけで、"町が変わった"という感覚ですね。

畳野:私も、引っ越した先が京都で住んでいた場所よりも田舎というか、人通りが少なくて落ち着いたところなので、あまり"大都会 東京"みたいな実感はないですね。今日みたいにビルが立ち並ぶところに出てくると"東京だなぁ"って思いますけど。

-作品のリリースは2019年4月の『Cakes』から約1年、アルバムとしては2018年10月の『WHALE LIVING』から約2年半ぶり。そしてレーベルがfelicity からメジャーのポニーキャニオンに変わりましたが、そこまでの経緯について聞かせてもらえますか?

福富:京都にいるときは事務所が地元のSecond Royal Recordsでレーベルがfelicityでした。そこからメンバー全員が東京に移ったタイミングで、メジャー・デビューしたいという願望があったというより、この先どう活動していけばいいのか、今一度ゼロから考えようと思ったんです。そこでもともと繋がりがあって個人的にも小学生の頃から好きだったカクバリズムの代表、角張(渉)さんに相談していたら"じゃあうちとやる?"と言ってくださって、Second Royal(Second Royal Records)との縁も引き続きという形でやらせてもらうことになって、リリースはポニーキャニオンからできることになりました。

-ここにきてメジャー、いろいろとやり方も変わると思うのですが不安はなかったですか?

福富:メジャーの商業的な側面とアーティストの考えが合わなくなるといったようなケースも、少なからずあると思いますし実際にそういう話を聞いたこともあります。でも僕らの場合は、カクバリズムに所属するスカートがポニーキャニオンからリリースしているという前例があったので、ネガティヴな気持ちはなかったです。スカートは僕らの好きなスカートのままだったし、あとは、普段から交流のあるYogee New WavesやNOT WONKもメジャーに入っていい感じで活動していましたし。いろいろと道があるなかで、今回のような話を貰えたことは素直に嬉しいこと。ここならHomecomingsらしく、より良い活動ができると思って選ばせてもらいました。

-そして実際に動き出してアルバムも完成したわけですが、今の感触はいかがですか?

福富:大きなスタジオでレコーディングできたり、しっかりマネジメントしていただいたり、同じカクバリズムの先輩 YOUR SONG IS GOODのジュン(サイトウ"JxJx"ジュン)さんにプロデュースしてもらえたりして、制作に集中できる環境が整っていたこと、ものづくり面での実感はあるんですけど、そのほかの部分はまだこれからというか。"メジャーに入って登っていくぞ"みたいな、変な力が入っていない感じがいいなって。そう考えると今の状況はこのタイミングで良かったと思います。彩加さんはどう?

畳野:うん、今のタイミングが良かったのかもしれない。メンバーの関係性やマインド的にもね。

福富:何かしらの転機になったタイミング、例えばシングル『HURTS』(2015年リリース)がそれまでより多くの人に聴いてもらえた、あの勢いのまま環境を変えていたとしたら続いていなかったかもしれない。2018年に出したアルバム『WHALE LIVING』から歌詞を日本語にして新しい地盤が固まったことでメンバーそれぞれの意識も4人の関係性も変わったので、今は昔より地に足がついている感じがします。

-Homecomingsは、初期から2016年のアルバム『SALE OF BROKEN DREAMS』までは、UKやUSのインディー・ポップ/ギター・ポップを軸にした英語詞のスタイルだった。そこから『WHALE LIVING』で日本語詞がメインに。鍵盤やストリングスも効果的に使用するようになり、音楽的なルーツの幅も時代感覚も広がりました。そして今作『Moving Days』は、その路線をさらに推し進めたようなイメージを持ちました。中でも、オーセンティックなソウル/R&Bに接近した曲があることは新しいチャンネルとしてすごく印象的でした。

福富:『WHALE LIVING』も今作『Moving Days』も、意識的に幅を広げようとしたのではなく、京都のラジオ局 α-STATIONで番組を持たせてもらったことが大きくて。4人がそれぞれに好きな曲を持ち寄って話をしていることが制作にも生きてきました。今作だと、ソウルやファンクっぽい曲、特にREX ORANGE COUNTYのスタンスが共通項としてあったうえで、それぞれの好みを入れていった結果ですね。

-4人で一度に奏でられる音以外の数が増えていますが、制作の方法に変化はありましたか?

福富:今までは基本的に4人でスタジオに入ってセッションを重ねながらじっくり煮詰めて作っていました。それに対して今作は、彩加さんがそれだけで成り立つくらいのしっかりとしたデモを作ったうえで、それぞれの趣味からくる入れたい音を足していくようになったんです。そういうやり方になったのは、コロナも関係があるんですけど、結果的にスタジオに入るよりも4人で作っている感がありました。

畳野:スタジオだと入れる時間も限られるし、それぞれが考えたことを持ち寄るほうが、有機的に動けることがわかって良かったです。

福富:スタジオに集まると"バンドで作っている"という実感もあるし、移動や一緒にご飯を食べる時間とかも楽しいんですけど、できるだけ4人の同時演奏だけで完結させたくなる傾向もあって。今のやり方だと、曲をより良くするためにそうじゃない音を入れたりもできるし、トータルでそのほうが風通しは良くなりましたね。

-福富さんがおっしゃったように、無理に音楽性の幅を広げようとするのではなく、メンバー間でインプットをシェアしながら愚直に曲作りと向き合うなかで、自然と湧き上がってくる豊かなサウンドのアイディアを積み重ねることこそが、Homecomingsらしさなのだと思います。畳野さんのメロディや歌声にも、同様の魅力を感じるのですが、いかがでしょうか。

畳野:英語詞だった頃も、当時のUSインディーとか、その時々で好きだった音楽を頭の中に浮かべてやっているなかで、新しい発見はあったんですけど、トミー(福富)が日本語で歌詞を書くようになってから、メロディよりも詞が先にある割合が増えたことは大きいですね。彼の言いたいことを自分なりに理解したうえで、言葉が生きるようなメロディを今まで以上に意識するようになったことと、サウンドの幅が広がっていったことが相まって、メロディのパターン、1曲の中での選択肢が増えた。そこが今作は『WHALE LIVING』以上に面白かったです。