Overseas
MANIC STREET PREACHERS
2013年10月号掲載
Writer 山口 智男
大々的に、そんなふうに謳っているわけではないけれど、11作目のアルバム『Rewind The Film』は、MANIC STREET PREACHERS(以下MANICS)初のアコースティック作品と言えるものになっている。とは言え、単にエレキ・ギターをアコースティック・ギターに持ち替えただけのアンプラグド作品でも、アコースティックという言葉が連想させるオーガニックとかレイドバックとかという作風のものでもない。元々は2枚組にするというアイディアもあったというその片割れ。リリース予定はまだ明らかにされてはいないものの、もう1枚はクラウトロックの影響もあるという、よりアグレッシヴで実験的な作品と言うから、結果、アコースティックにはなったものの、この『Rewind The Film』も彼らの挑戦の1つと受け止めるべきなのだろう。
実際、そこには新たなMANICSの世界が広がっている。MANICS流のフォーク・ロックと言うか、"アコースティックでソウルフルなヴァイブがある"とメンバーが語る曲の数々はホーンを加えたことによって、フォーク・ロックのアンサンブルで演奏したソウル・ミュージックなんて趣もある。Leonard Cohen、Scott Walker、Johnny Cash、Sam Cooke、Elliott Smith――新曲について語るメンバーが口にしたアーティストの名前からも彼らがこれまでとは違うサウンドを求めていたことは明らかだ。
アルバム表題曲をはじめ、淡い音色のシンセも使ったアトモスフェリックなサウンドは音響系のフォークなんて言ってみたいし、絶妙な転調がDavid Bowieを連想させる「3 Ways To See Despair」は、彼らのソングライティングの新境地を思わせる。また、英国フォークの新たな歌姫、Lucy Rose、SUPER FURRY ANIMALSとの共演で知られるCate Le Bonといった透きとおるような声を持った女性シンガー・ソングライターとそれぞれデュエットした「This Sullen Welsh Heart」「4 Lonely Roads」は、新作の大きな聴きどころと言えるだろう。 思えば、彼らは作品を作るたび、意欲的に新しい音作りに取り組んできたバンドだ。その意味では、今回のアルバムも実にMANICSらしい作品と言えるかもしれない。ただ、その一方で、『Rewind The Film』(=映画を巻き戻して)という明らかに懐古的なタイトルが物語るように歌詞には故郷、良心の庇護、無邪気さ、純粋さ、若さ、親友、東京の景色など、彼らが失ってしまったものに対する惜別の想いや感傷でいっぱいだ。もっとも懐古モードは前作『Postcards From A Young Man』からも感じられたけれど、それでもそこではまだゴージャスなロック・サウンドを奏でていた。
なるほど、そう考えると、今回のアコースティック・サウンドは、喪失感や感傷を伝えるにはふさわしい。しかし、『Rewind The Film』が喪失感や感傷を伝えるだけの作品かと言うと、決してそんなことはない。むしろ彼らはアルバム全編で"歳を取り、疲れ果て、もうこれ以上戦えない。(バンドの精神的な支柱だった)Richey(James)に帰ってきてほしい"と弱音を吐きながら、それでも奇跡を見せてくれと自らを鼓舞するように歌う。その「Show Me The Wonder」はTHE ROLLING STONESの「Rocks Off」やElvis Presleyの「Suspicious Mind」を意識したという。
メタルかぶれのグラム・パンク・バンドとして衝撃のデビューを飾ってから20余年。MANICSは今やイギリスを代表する押しも押されもせぬ人気バンドである。その彼らがいまだにそんな気概を持っているなんてうれしいじゃないか。『Rewind The Film』はアコースティック・アルバムにはちがいない。しかし、そこにはMANICSのロック魂がしっかりと息づいている。彼らはまだまだ物分かりのいい大人のロック・バンドになどなるつもりはないようだ。
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