FEATURE
sleepy.ab「二度寝する奴ぁ三度寝る」【第3回】
2011年09月号掲載
なぜこの4人で今一緒にいるんだろうか?
専門学校も2年になったころの一人のメンバーと距離が縮まった一つのエピソードを思い出したのでここに記そう。
ある冬の日の帰り道、僕は真新しい皮靴を買ったばかりで歩くことが楽しく少し遠回りをして帰った。
なぜならそれは月のバイト代の半分はする今まで自分で買った靴の中では高価な物だったから。その日は朝から雪が降り続けていて歩道は新雪で真っ白になっていた。そんな景色に浸って空を見ながら歩いていた僕はふいにバランスを崩した。
ん?まだ根雪になってないし地面は凍ってないよな?
あれ?あれれ??右足が心なしか重い。
も、もしや!?、、、そう踏んでましたね。犬のやつ。。いや本当に犬のやつか!?と思うほどスケールの大きいやつ。
そのことを理解するには少しだけ時間がかかった。あきらかに踏んでいた。いや踏むというよりはすべった。それは踏んだよりも何倍にも滑稽に見せた。いや~昨日さ~○○を踏んじゃってさ~が、○○ですべっちゃってさ〜って言わないと駄目だなとか、シリアスになぜこんなことが起きてしまうのだろうかとか瞬時にめまぐるしく活発に脳が働いてるのがわかった。踏んだ、いや滑ったのはまさにリアルタイムであったのであろう。瞬間?寸前?というか。我ここにありみたいな強い生命力すら感じた。彼らが100m前を悠々と歩いていても不思議ではない。
この世界ではあらゆる生命が共有しながら瞬間瞬間を生きていてたまたまそれが偶然リンクしただけじゃないか、と何とか自分を落ち着けようとした。
いや~昨日リンクしちゃってさ~、、、って無理だ。
許さん、絶対に許さんぞ!!と、心の中で思った。
そして真新しいその新雪でぬぐう。なかなか根気とテクニックがいる作業だった。新雪なのがよりいっそうコントラストを際立たせ、その雪を汚す行為は相当な罪の意識を感じさせた。被害者はこんなにもすぐに加害者にもなりえるのかと二重に絶望した。
その時だ、後方からじりっとした視線を感じた。
それはあまりにも強い気配だったのですぐ近くに感じたが実際は思ったよりも遠く10メートル近く離れていた。
誰だろうと視線を向けると丁度1年前くらいに昼飯を食べに行かないかと誘ってくれたにも関わらず僕に断られてしまった山内君だった。(*詳しくは前号をお読みください。)
あれから1年それがきっかけかどうかはわからないが(多分そう)お互いの人生に全く関与することはなかった。その彼がこちらにゆっくりと向かってくる。そうゆっくりと。永遠ともいえるそのゆっくりとした間に耐えきれず僕のほうから彼の方に足早に向かう。向かっているあいだに一つの疑問が浮かぶ。彼は見たであろうか?
被害妄想からかてっきりもう見られているつもりでいた。気付いていないものをわざわざ教えることはない。あぶないところだった。
見られていないのだとしたらこのまま忘れ物をした体で彼の前を何食わぬ顔で通り過ぎなければならない。
いやしかしそれはあまりにも不自然すぎる。ましてこのまま通り過ぎてもし見られていたら事はやっかいだ。
彼がクラスメートに言いふらしてたら、次の日黒板に絵の説明付きで書かれていたら、仮に言わないとしても彼の胸の奥底には確実に残り冬の風物詩みたいに毎年なにげなく思い出されでもしたらたまったものじゃない。(それは彼も同じか)など考えると確認しないわけにはいかなかった。
思いきって話しかけてみることに決めた。
彼の目に立ちはだかり聞いてみる『見たかい?』
彼は答えた『見たね。』
『だ。だよね、、、。一緒に帰ろうか。』
何を話すわけでもなくただ一緒に帰った。いや一緒の方向に歩いているが正しいかもしれない。その白い道はただただ長かった。笑いにでもできればよかったがそんな生易しい空気はそこにはなかった。こちらが気まずいのは当たり前だ彼も彼で気まずいのだ。
滑った事には触れないまま僕たちはそのまま別れた。
その事件からというもの僕たちは秘密を共有しているという密接の仕方ではあるけれど急接近することになる。彼が誰かに言わないかを監視する目的であったのかもしれない。或いは友達を作れるいいきっかけになったのかもしれない。
その4ヶ月後バンドを結成することになる。
もしあそこのあの場所で踏まなかったら、いや滑らなかったらと考えると人と人の出会いとはつくづく不思議なものだなと考えさせられますね。うん。
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