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INTERVIEW

Japanese

2026年03月号掲載

Foi

日中にルーツを持つシンガー・ソングライター Foiが、前作から約4年ぶりとなる2ndアルバム『Rondo』を完成させた。同じ主題が何度も登場する音楽形式である"ロンド"をタイトルに掲げた本作は、日々の出来事から生まれた多様な表情を持った楽曲たちが、巡るように一つの場所へと戻ってくる感覚を覚える、実にアルバム然とした作品に仕上がっている。アルバム収録曲や、前作から本作に至るまでの4年間で生まれたFoiの心境の変化等、じっくりと語ってもらった。


もうほとんど私みたいなアルバムになったなと思います(笑)


-約4年ぶりとなる2ndアルバム『Rondo』、完成させてみていかがでしょうか。

前回のアルバムからだいぶ空いてしまったんですけど、長い時間をかけて1曲ずつリリースを重ねてきて、いざアルバムにしようとしたときに、すごくいろんな表情を持った楽曲が集まったなと思って。その時々に感じていたこととか、作りたかったものがちょっとずつ落とし込まれている一曲一曲が集まったので、なんていうか、もうほとんど私みたいなアルバムになったなと思います(笑)。

-前作のアルバムが『HER』(2022年リリース)で、この"彼女"というのはFoiさんご自身のことだと思うんですが、"HER"が"I"に変わったみたいな感じなのかなって、今のお話を聞いていてふと思ったんですけども。

『HER』の頃に比べると考え方も結構変わっているし、年齢も重ねてきたことで、だいぶ俯瞰して自分を見れるようになってきたなと思って。そこが前作との大きな違いかもしれないですね。『HER』は自分のことをすごい近い距離で見て書いていたんですけど、『Rondo』は自分が見てきたものとか、出会ってきた人とか、自分以外のことを考えながら作ることが多かったかなって思います。

-ご自身の中で特に変わった部分というと?

なんだろう......そもそも今回の"Rondo"というタイトルは、日々生きているといいことも悪いことも交互に来るじゃないですか。だから落ち込むときは落ち込んでいいし、怒るときは怒っていいんだけど、そこが終わりではなくて。それがずっと巡っていって、生活が続いていくというコンセプトでこのタイトルを付けたんです。だから、変わったところは......一つずつのことに優しい考えを持てるようになったことですかね(笑)。前まではちょっとつまずくと長い時間を取っちゃって、自分主体で考えていることが多かったんですけど、それが一番変化したかもしれないです。そこはこの先も変わると思うんですけど、物事の受け取り方のパターンが増えた感じはありますね。

-いろんな人がいて、いろんな考え方があるんだなと。

そうですね。この人はこうだからこういう考え方をしていて、みたいなことを考えられるようになりました。前は、自分と気が合うかどうかみたいな感じだったけど、その人のバックグラウンドまで考えて接するようになったところはあるかもしれないです。

-なぜそうなれたんでしょうか。

やっぱり『HER』の頃はまだ学生で、周りに似ているような人が多かったから人間関係も狭かったんですけど、学生を終えて、いろんな人と出会うようになってから、思っていたよりも世界って広いんだなっていう感覚がすごくあって。いろんな人と関わっていくうちに、人に対しての接し方とか物事の考え方が徐々にそうなっていったんじゃないかなと思います。

-世の中ってこんな人もいるんだ? って、一番衝撃を受けたり驚いたりした場面というと?

......マイナスなことしか出てこない(笑)。

-まぁ衝撃となるとそうなってしまいますよね(苦笑)。

印象に残っているものがっていうことですけどね。なんだろう......マイナスなことしかパッと出てこないな。めっちゃ根に持ってるみたいな(笑)。

-(笑)マイナスなことが出てきやすいのは性格によるものなんですか?

性格というよりは、"私だったら絶対にそういうことはしない"みたいな感じですね。そのときは衝撃的で、なんでそんなことするの? って思ったけど、今までその人がいた環境とか関わってきた人とかいろいろ考えて、じゃあ私にはなんでその選択肢がないのかとかも考えていると、そういうこともあり得るよな、私も同じような感じで歩んできたらそういうことをしていたかもしれないなと思って......みたいな感じですね。そのときはめちゃくちゃ怒ったり悲しかったりしたんですけど、でも、めちゃくちゃ悲しかったから書けた曲もあります。私の引き出しが増えたというか。自分ってこんなに怒れるんだ? とか、自分ってこんなに悲しくなるんだ? っていうこともありましたね。

-アルバムの中でそういった感情から生まれた曲というと?

「ファジーボーイ」とかはそうですね。あとは「Maybe I don't need you」とかも。

-別れやすれ違いを歌った曲ですね。

そうですね。やっぱり相手のことを全て分かるのは難しいので。すれ違いとか、ちょっと不義理なこととかもあるし。

-そこで怒りや悲しみを覚えながらも、相手をすぐに拒絶するのではなく、ご自身の中で一度考えてはみるんですね。

すぐにシャットダウンができないタイプですね。すごく考えちゃいます。なんでこうなったんだろうとか、なんでそうしたのか聞きたくなっちゃう。もしかしたら私が何かしたのかもしれない場合もあるじゃないですか。あと、曲に書きたいから細部まで知りたい(笑)。

-衝撃と同時に、曲にしたい! という気持ちも出てくるんですか?

そこはゆくゆくかもしれないですけどね。でも、感情を揺らすことが意外と嫌いじゃないんだと思います。普段はわりと一定なんですよ。あまり波がなくて。でも、揺さぶられること自体は嫌いじゃないんですよね。だから全部知りたいって思っちゃう。

-なるほど。楽曲を作っていくなかで、アルバムというフォーマットを意識し始めたのはいつ頃でしたか?

去年の夏ぐらいでしたね。いろんな曲を作ってきたし、制作途中の曲もあるしで、それをアルバムにしたいと思ったんですけど、今ってアルバムを出すのは結構難しいことだと思っていて。リスナーのみんなもアルバムで聴くという習慣があまりないので。でも、世界観が一番伝わるのはアルバムだし、いわゆる"アルバム曲"みたいなものってあるじゃないですか。"アルバム曲"ってなんだよって感じではあるんですけど(笑)。

-ははははは(笑)。まぁまぁ。

私はいわゆる"アルバム曲"が好きなんですよ。アルバムのラストの曲とかも結構好きで、そういう曲もいっぱい書いてきました。ただ、リスナーに届くように意識してやっているなかで、私にはまだそういった曲をシングルで切るのはちょっと難しいかなというのと、シングルを1曲ずつ出していくよりはアルバムにするほうが届けやすいというか、Foiというアーティストが一番伝わりやすいのかもなと思ったんです。なので、これを通して聴けばFoiというアーティストがどんな曲を作っているのか分かるものにしようと思ってました。

-おっしゃっていた"アルバム曲"というのは、要はバイプレイヤー的な役割の曲ということですよね。アルバムのバランスを考えたときに、全てシングルみたいな濃いものではなく、ちょっと抜くものがあるからこそ全体が成立するという。

そういう曲に、アーティストの我が一番出ているような気がするんです。たぶん好き勝手に書いてるからだと思うんですけど。そういう曲も作りたいし、聴いてもらいたいなって思います。