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INTERVIEW

Japanese

2026年03月号掲載

Foi

-どの曲でもご自身の我は出ていると思うんですが、特にこれはと思う曲というと?

わりと好き勝手に書いてはいるんですけど、「Ghostwriter」と「花遊記」ですね。「Ghostwriter」は、今までこういったちょっと怪しげでダークな曲は出してこなかったんですけど、デモはずっとあったんですよ。あとはラップにも挑戦したかったし、ライヴ映えする曲も欲しくて。あと、今回のアートワークは全部白黒にしようと思っていたから、「Ghostwriter」はすごくイメージに合っているなと思って、めちゃくちゃ好き勝手に作りました(笑)。昨日ワンマン("Foi oneman Live 2026 「 Rondo 」")のリハがあって(※取材日は2月中旬)、「Ghostwriter」を大事なセクションに置いて、かなりライヴ・アレンジも加えてやってみたんですけど、やっぱり作ってよかった! って思いました。

-Foiさんはこれまでラヴ・ソングを書かれることが多かったですが、「Ghostwriter」のテーマは創作することというか。"心をちぎって歌にしました"とか"血は目から流れると知りました"とか、かなりシリアスで重たい言葉が並んでいて。

この曲のコンセプトは......ちょっと前とか、まだそこまで自分の曲が聴かれていないときに、まぁ好きで書いてはいるんですけど、一生懸命書いてはいるけど特に陽の目を浴びないというか、曲が届かないという感覚があって。それで、"ゴーストライター"という字面通りの意味でなく、"誰にも見えていない書き手"みたいな意味を込めて、その人が曲を書いているときの感情を書いていこうと思って作っていきました。

-ある種、そういったキャラクターを立てて、という。

曲ごとにキャラクターを立てるのが結構好きなんです。そこに自分も重ねてはいるんですけど。

-もともとこういった感情を持っていて、それが滲み出ているというか。

そうですね。たぶん、私めっちゃポジティヴなんですよ。負の感情があんまり表に出ないんです、日常的には。でも、曲の中ではどす黒いワードも出せるというか。逆に普段の生活では出せないです。

-ただ、こういった感情もあることにはある。

たぶん、根底にある芯みたいなものはそんなに明るくないのかなと思います。こういう曲好きだし(笑)。

-もう1曲挙げられていた「花遊記」は、「Ghostwriter」との対比で考えると真逆ですよね。

たしかにそうですね。私のお母さんが中国人で、中国に8年ぐらい住んでいて、高校のときに日本に戻ってきたんですけど、中学生っていう音楽を聴くにあたって大事な時期に中国のポップスをたくさん聴いていて。中国に"国風音楽"っていう、中国の楽器が入っている音楽がジャンルとしてあるんですけど、それが好きだったので、そういう曲を書いてみたいと思って書いたのが「花遊記」ですね。私はラヴ・ソングが好きなので、この曲の雰囲気に合うラヴ・ソングを書こうと思って、"花遊記"という中国語にしても通じるようなタイトルにして、夏の美しい恋模様を書きました。

-"国風音楽"っていうジャンルがあるのを初めて知りました。なんていうか、和風みたいな。

そうそう。和風みたいな感じですね。これはアレンジを結構頑張りました。もともと中国楽器をかなり入れていたんですけど、そこから(池田)ひかるさんにブラッシュアップしてもらいました。

-好きなように作った2曲が極端というのは、すごくいいですね。

はははは(笑)。やっぱりいろんな曲を作りたくなっちゃうんですよね。飽きちゃうんですよ。これを作ったら、次はこれを作りたいとか。

-"いろんな曲"という点でいうと、R&B系統の楽曲が多い中でも、「ファジーボーイ」はインディー・ロック的な雰囲気もありますね。

R&Bを作るのを一回やめようと思って作ったのが「ファジーボーイ」なんですよ。それまでは、今回のアルバムでいうと「Night Glow feat.salto」とか「MAD」とか「Maybe I don't need you」みたいなR&Bのトラック寄りの曲をメインで作っていたんですけど、去年、もうちょっとJ-POPに切り込みたいなと思ったんですよね。私はもともと弾き語りをやっていて、そこからちょっとポップスをやって、R&Bでソロのシンガー・ソングライターとしてデビューしたんですけど、もうちょっとJ-POPをやりたいと思って。それで「ファジーボーイ」を書いて、そこから「まっさら」からの「Calling」っていう流れなので、ポップスやるよー! っていう感じだったんですけど(笑)。

-たしかにその流れがきれいに出てますね(笑)。

「まっさら」でちょっとやりすぎたなと思って、「Calling」でちょっと引き戻して、みたいな感じでしたね。

-Foiさんが思うポップスというと?

やっぱりキャッチーで歌詞が入ってきやすいものなのかな。ビートよりも歌詞や内容というか。私の中でのポップスはそっちかもしれないです。ダンス・ミュージックとの違いみたいなものもあるかもしれないです。

-踊るためにあるのか、聴いたり歌ったりするためにあるものなのか、みたいな。

あとは、聴く場面とかロケーションも違いますよね。例えば、ドライブのときに聴いてくれる人と、部屋で1人で音楽を聴いている人って全然違うじゃないですか。もうちょっと部屋で1人で聴いている人のほうに向いて......っていう。

-たとえば、日本でいうポップスって"歌うものとか聴くもの"で、欧米だと"踊るもの"みたいな印象もありますけど、中国の場合ってどうなんです?

中国は完璧に日本寄りです。バラードがすごくメジャーで売れているイメージなので。だから歌詞ですね。完全に歌詞。

-なるほど。「横顔」をアルバムの先行シングルとして発表されていましたが、R&B的ではあるけど、これまでよりもFoiさんが思うポップス色が強くなっていますね。この曲はどんなところから作り始めたんですか?

これは"月9"で流れる曲を作りたいなと思ってました(笑)。いいシーンで流れるバラードを作りたいなと思って。私、バラードが大好きなんですけど、シングルとしてあまりリリースしてなかったんですよ。バラードって聴くのになかなか体力が必要なので。でも、届けられたら一番長く愛されるものだと思うんです。そういうバラードを書きたいってずっと思っているから、バラードのストックがめちゃくちゃあるんですけど、今回のコンセプトやアートワークのヴィジュアルも含めて、「横顔」がいいなと思って。なので、曲自体は"月9"の主題歌を考えて作りました(笑)。

-Foiさんから"月9"っていうワードが出てきたのは、世代的にはちょっと意外だなと思いました。

なんか、平成初期のドラマ主題歌のイメージですね。アレンジする上で、平成のバラードはかなり意識したんです。シンセ選びも平成バラードだったら何が鳴る? みたいな話をして。でも、今っぽさもちゃんとキープしつつっていう。

-歌詞は、横顔を見ることしかできない相手のことを思うもどかしさを描かれていますけども。

歌詞はあまり難しい言葉を選ばないように意識しました。「花遊記」は詩的な表現を入れたりしていたんですけど、「横顔」はもっとダイレクトに、聴いたら何を歌っているのか分かるような言葉を選びましたね。