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INTERVIEW

Japanese

2026年02月号掲載

toybee

Member:冨塚 大地(Gt/Vo) 鍔本 隼(Gt) 藤盛 太一(Ba)

Interviewer:山口 哲生

toybeeが初のEP『TOYROCK INVASION』を完成させた。昨年1月に開催した渋谷CLUB QUATTROでのワンマン・ライヴを満員で終え、ポップでカラフル、骨太でパワフルなロック・サウンドを日々高鳴らしている彼等だが、フロントマンの冨塚大地は、"とみといびー"名義でYouTubeクリエイターとしても活動中。ライヴハウスとインターネットでその名を着実に広めてきている。3月22日にLIQUIDROOMで開催されるワンマン・ライヴ"TOYBEE LIVE AT LIQUIDROOM「TOYROCK INVASION」"を前に発表された本作は、上田ケンジをプロデューサーに招聘し、全曲一発録りで収録した5曲を収録。ここからのtoybeeの礎になる重要な一枚を作り上げた3人に、じっくりと話を訊いた。

-EP"TOYROCK INVASION"は、改めてtoybeeというバンドを確立させて、再提示するような一枚になっているなと思ったんですが、まずはタイトルについてお聞きできればと。察するにブリティッシュ・インヴェイジョンから来ているのかなと思うんですけれども。

冨塚:そうですね。

-そのあたりの引用は、60年代や70年代のロックから影響を受けている新旧織り交ぜたサウンドにも、日本武道館を目指していることを公言しているアティテュードにもハマっていて見事だなと思ったんですが、このタイトルはどんなところから出てきたんですか?

冨塚:もともと、"ブリティッシュ・インヴェイジョン"っていう言葉がめっちゃかっこいいなと思っていて。これまでのアルバム・タイトルって、僕が昔雑誌とかを読んで、邦洋問わずこの言葉かっけぇー! みたいに思った言葉を、toybeeの音楽に乗せたいと思って選んでるんですよ。"REVIVAL"(2023年リリースの2ndミニ・アルバム)だったらガレージ・ロック・リヴァイヴァルからだし、前作の"LOOKBACK TO THE FUTURE"(2024年リリースの3rdミニ・アルバム)は、OASISの「Don't Look Back In Anger」と俺が一番大好きな映画"Back to the Future"から取っていたり。タイトルはどうもじって遊ぶかみたいなことをずっとやってます。

-今回もその流れを受けつつという。

冨塚:それで、今回のタイトルはなんだろうって考えたときに、おっしゃってもらった通り、toybeeとはなんぞやというものにめっちゃ向き合って、それを確立させたような一枚なんですよね。toybeeのデビュー・アルバムぐらいの気持ちで作ろう、自分たちの音楽性として"TOY ROCK"というジャンルを作るんだと。それができたから、"これを世界に向けて発信していくぜ! 侵略開始だ!"っていう意味で、ブリティッシュ・インヴェイジョンに掛けて"TOYROCK INVASION"になったっていう感じでしたね。

-ただ、過去にはUK色の強い楽曲もありましたけど、toybeeってどちらかというとUS感が強いですよね。

冨塚:そうなんですよ。ずっとUKが大好きで、UKばっかり聴いてきたのに、気付いちゃったんですよね。俺、UKじゃないなって(笑)。この喋り方からしてもうUKタイプじゃない。絶対的にUSタイプなんですよ。アメリカの音楽が好きでイギリスに憧れていたけど、そうなれなかった少年みたいな存在が自分なんだなっていうことに、27歳以降にようやく気付きまして。『REVIVAL』にはちょっとUKになりたいような感じの曲もあったんですけど、ついにちゃんと自分が出せる一番いいものを作ろうと思って。

-なるほど。

冨塚:で、俺って子供の頃から何が好きだったんだろうって考えたときに......まぁ、UKロックはめっちゃ好きだったんです。THE BEATLESがめちゃくちゃ好きなので。ただ、もう1つ好きなのがあって、それがBAY CITY ROLLERSだったんですよ。70年代のアイドル・バンドですけど、子供のときから母ちゃんのCDを聴いて、メロディのポップさがものすごくいいなと思っていて。でも、今までtoybeeでBAY CITY ROLLERS感というか、みんなで楽しく踊れたり歌えたりするものって目指してきたことなかったなと。でも今のtoybeeに一番相応しいというか、一番楽しいのってそのBAY CITY ROLLERS感なんじゃないかということにこの1年で気付いて、今回挑戦してみたんですよ。そしたら思っていた100倍ぐらいハマって、これじゃん! ってテンション上がって、"TOYROCK INVASION"っていうタイトルまで付けちゃったっていう。だから、ブリティッシュ・インヴェイジョンではないってことが大事なんですよね。"ブリティッシュ・ロックじゃないんだよな、俺は"っていうところの楽しさみたいな感じで付けました。

-となると、今回の制作は改めて自分自身を確認していく作業でもあったというか。

冨塚:曲を作ることって、やっぱりそれなんですよね。等身大で曲を書きたいなとずっと思ってるんですけど、年を取るごとにいろんな自分が顔を出すというか。このときの俺はこれを考えていたんだ、このときの俺はこれになりたかったんだみたいなことを繰り返してきたんですけど、ついに一番等身大で作品を作れたんじゃないかなって思います。

-鍔本さんとしては、今回冨塚さんが作ってきた楽曲に対して、等身大という言葉が思い浮かぶ瞬間も多かったですか?

鍔本:「シモキタ・モーニング・ブルース」は、それこそ等身大というか、気持ちが入ってる曲だなってすごく感じましたね。初めて聴いたのは今回プロデューサーで入ってくれた上田ケンジ(黒猫同盟/ex-the pillows)さんの家だったんですけど、他の曲はデモだったなかでこれはギターの弾き語りで聴かせてくれたので、気持ちもすごい乗っていて。聴いたときに、なんか久しぶりにこれは来たなと思って嬉しかったですね。

藤盛:今回のEPを作るにあたって、これからtoybeeがどうなっていきたいかっていう話をまずしたんですけど、"世の中を明るく照らすロックンロール・バンドになりたい"って(冨塚が)言っていて。まさしくそれが「TOYROCK ~TOYBEEのテーマ~」に表れてますね。コール&レスポンスがあったり、手拍子しながらみんなで合唱するパートがあったり。最初に曲を聴いたときに、ライヴでみんなが盛り上がっている情景が浮かぶような曲だなと思って、これはいいアルバムになるなと。

-"世の中を明るく照らすロックンロール・バンドになりたい"という話は以前からされていたんですか?

冨塚:2025年はめちゃくちゃライヴをしてたんですけど、たぶん大阪に行ったときの帰りの車だよね?

藤盛:うん。そう。

冨塚:渋谷クアトロ(渋谷CLUB QUATTRO)のワンマン("toybee TOUR 2024-2025『THE GOLDENAGE』"ファイナル)を終えたときに、僕の中でtoybeeの第1章が完結した感覚があったんです。じゃあここからよりデカいところに行くために、もう一度ライヴを見直そうと。それで、たとえば今日はかっこいいライヴで行こうとか、楽しいライヴで行こうとか、自分たちに何が一番合うのかいろいろ変えながらやってみたんですけど、大阪でライヴをやったときに、"ロックンロールでみんなを楽しく明るくしに来ました!"みたいなことを言ったんです。

藤盛:ミナホ("FM802 MINAMI WHEEL 2025")のときだっけ?

冨塚:いや、その前だったかな。梅田Zeela([Zeela presents "mellow out"])だった気がするんだけど、それが自分の中ですごくハマったんですよね。お客さんに届いたかどうかは分からないけど、俺はその日のライヴがすごい良くて、これかもって。やっぱりtoybeeって、ライヴを観に来たお客さんが、かっこいいとか感動っていうよりも、楽しかったって思って帰ってもらえたらいいなっていうのを、遠征の帰りの車の中で話していて、じゃあそこに一点集中してみようぜみたいな感じになりましたね。最近って冷笑文化とか言われたり、暗い話題も多いけど、俺はめっちゃ明るいんで、めっちゃ明るい曲を作ったほうがいいんじゃないかなって。変にかっこつけたりせずに、バカみたいに明るいものを作ろうって。

-ご自身の気質をそのまま曲にするという。

冨塚:ただ、それを俺等だけでやっちゃうと、本当にただただアホみたいなものになっちゃうと思うんです。そこでプロデューサーとして上田さんに入ってもらったのは、めちゃくちゃありがたかったですね。いろんなバランスを取ってもらったし、"ここはとんがってもいいよ"って言ってくれたりとか、ちゃんと世に届けるために、"インヴェイジョン"するためにウエケン(上田ケンジ)さんに道を示してもらった感じがあります。

-今回のプロデューサーに上田ケンジさんを招かれた経緯というと?

冨塚:お世話になっている下北沢CLUB Queでワンマン・ライヴをやったときに、(CLUB Queのスタッフが)上田さんをライヴに呼んでくれたんです。"面白いバンドがいるから観に来てください"みたいな感じで。そしたら上田さんが俺等のライヴを観て、面白いと思ってくれて。しかも演奏とか曲だけじゃなくて、お客さんの姿を見てそう思ってくれたみたいなんですよ。俺等のお客さんって40代の男性がめちゃくちゃ多いんですけど、男たちが拳を突き上げて、なんなら涙しているのを見て、なんでそんなことが起こってんの? っていうのを、終わった後に上田さんがすごく質問してくれて。そこから一緒に作ってみましょうっていう話になったんですけど、急展開すぎて俺たちもびっくりしました。そんなこと起こると思ってなかったんで。

-そうだったんですね。40代の男性が多いのは分かる気がします。なぜなら私が40代なので(笑)。

冨塚:おぉー! インヴェイジョンされちゃいましたか(笑)!

-ですね(笑)。鍔本さんは、冨塚さんの"楽しく明るくしに来ました"という言葉があったライヴでどんな感覚がありました?

鍔本:自分の体感としては、そのライヴではそんなに変わったかな? っていう感じではあったんですよ。でも、今回のEPを作り終わってから、そういうことだったんだなっていうのは感じましたね。「シモキタ・モーニング・ブルース」と「TOYROCK ~TOYBEEのテーマ~」はすでにライヴでやっているんですけど、「TOYROCK ~TOYBEEのテーマ~」をやった後の感覚は、やっぱりすごく新鮮だったというか。これいいなっていうのは自分でも実感してますね。

藤盛:去年の12月頭にやった大阪のワンマン("toybee ONEMAN Live 2025 Fab Four Years")で「TOY ROCK TOYBEEのテーマ」を初めてやったんですけど、お客さんはまだ曲をそんなに知らないはずなのに、なぜか最初からもう合唱できてたんですよ。やっぱり曲の持つポップさとか、お客さんが声を出すポイントの分かりやすさみたいなところも曲に取り入れているので、それが良かったかなって思いますね。

-前作からオーディエンスを巻き込む感じはありましたけど、そこがより強くなっていますよね。それこそ冨塚さんの気質がより爆発しているというか。

冨塚:あと、ウエケンさんにいいところを引き出してもらえたのもデカかったと思います。俺等は事務所もレーベルもないなかで、自分たちで自分たちのことを見続けて、どこがいいところで、どこが弱点なんだろうっていうこととずっと向き合ってきたんですよ。けど、自分たちが思ういいポイントと他の人が見ているいいポイントって、ちょっと違っていたりするじゃないですか。そこをウエケンさんは教えてくれたし、伸ばしてくれたんですよね。誰かと一緒に音楽を作ろうっていうのを俺は2025年のテーマにしていたんですけど、こんなふうに新しい扉って開くんだなぁって感じました。