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INTERVIEW

Japanese

2026年02月号掲載

toybee

Member:冨塚 大地(Gt/Vo) 鍔本 隼(Gt) 藤盛 太一(Ba)

Interviewer:山口 哲生

-たしかに、若い子たちに大人になるのって楽しそうだなって感じてもらえるようにするのが大人の役目だと思います。

冨塚:うん。そうだと思うんですよね。自分が中学とか高校で音楽大好きだったときに聴いていたバンドって、日本だったらBUMP OF CHICKENとかRADWIMPSなんですけど、当時(メンバーが)30歳ぐらいだったんですよ。その世代の人たちが作った曲を聴いてめちゃくちゃいいと思っていたから、若い子たちにも30歳ぐらいの人たちの音楽って刺さるはずなんです。俺は刺さったから。だから自分たちがその世代になった今こそ、若い子にも届けたい。自分にはこういう思いがあって、こういう人生がこの先あるんだよっていうのをしっかり書いたほうがいいなって、最近すごく考えてます。俺たちが今作っているもの、これから数年で作っていくものが若者達の未来を作るかもしれんという気持ちで。

-鍔本さんは「TOYROCK ~TOYBEEのテーマ~」にどう臨みましたか?

鍔本:"TOYBEEのテーマ"っていうぐらいだから、toybeeをすごく表している曲にしなければと思いつつ、でもカジュアルなものをやるというのもあったので、自分の素がすごく出ているフレーズも結構あるなと。無理してないですね、やっぱり。そんなに難しいフレーズもなくて、ライヴでやっていても気持ちいいなって感じるし、今回はみんなで歌う曲も多いんですけど、特に多いのがこの曲で。ライヴでみんなで歌っているのがすごく楽しいし、それができるようになったのがすごく嬉しいですね。

藤盛:大地もさっき言ってましたけど、RAGE AGAINST THE MACHINEとか、ミクスチャー・ロックで育ってきた人間なんで、「TOYROCK ~TOYBEEのテーマ~」みたいなジャンルが骨の髄まで染み渡ってるかといえば、あんまり自分の中にはない音楽ではあるんです。なので、自分1人でベースラインを作っていたら結構大変だったと思うんですけど、今回はベーシストでもあるウエケンさんと一緒にやらせてもらうことによって、いろいろとアドバイスをしていただけて。こういうのどう?って提示してもらったことによって、明るいけどバカっぽすぎず、ちゃんと音楽としてかっこ良く成立しているものが作れたかなと思ってます。

-先行配信されていた「シモキタ・モーニング・ブルース」はどういうところから作り始めたんですか?

冨塚:これは弾き語りを持っていったんですよ。これまでは、俺には光が当たってない! どうしたらいいんだ! 孤独だ! みたいな曲ばっかり書いてきたんですけど、渋谷クアトロの景色を見たときに、"違うな。光、見始めてるな"と思って。実際はまだ売れてないし、夢も全然叶えてないけど、今の自分の状況に本当に光が差し始めているんだっていう喜びの曲をまず書きたかったんです。 で、"シモキタ・モーニング・ブルース"っていう言葉が、風呂に入っているときに浮かんで。最高だ! と思って、そのまま髪だけ洗って、体洗わずに出て、ボイスメモに「シモキタ・モーニング・ブルース」って入れて、もう一回風呂に入るみたいな。なんか、"シモキタ・モーニング・ブルース"っていうタイトルの漫画があったら、俺買うなと思ったんですよ。たぶん俺はブルースを作れないけど、このタイトルで俺の今の人生を書こうと思って、ブワーッ! と書いていきました。

-もうまさに今湧き出ているものを。

冨塚:そうです。その3日後ぐらいかな。YouTubeにも上げてたんですけど、陸前高田のイベント("令和7年度陸前高田市産業まつり")で弾き語りをしたときに、"一昨日作った曲やります!"って、この曲を歌って。そのときに、なんかこれ来たなぁみたいな。俺の人生の歌が増えたなって感じて、そのままのテンションでメンバーとウエケンさんに聴かせた感じでしたね。

-すごいですね、一昨日作った曲を弾き語りでやるって。

冨塚:もともと、そういうことをするタイプじゃないんですよ。完成させないと(人前で)歌いたくないから、ステージ上がったときも全然歌うつもりじゃなくて。でもなんか......すごい歌いたくなったんですよね。今の俺の気持ちをめっちゃ乗せられたし、めっちゃいい曲できたなと思ったから。
その会場が野外のめっちゃ広いところだったんですけど、ガラガラだったんですよ。その日はMCも1日中やって、最後の最後に自分が歌ったんですけど、MC中はめっちゃ人がいたのに俺の歌のときだけガラガラっていう、ミュージシャンとしての地獄というか、しんどい......キツい......泣いちゃいそう......みたいな感じで。普通にセットリストも組んでたんですけど、これは何をやってもあかんなと思ったから、じゃあもう今の俺の必殺技はこれだ! みたいな感じで、「シモキタ・モーニング・ブルース」を歌ったんです。そしたらなんか盛り上がってくれたんですよね。遠くにいたおじさんがビール片手に"頑張れよー!"とか言ってくれて、いける! 俺頑張れる! みたいな感じになって。

-いいですね。そこも含めて曲に合っているというか。

冨塚:めっちゃヤジでしたけどね(笑)。でも、それでハマってくれたのか、CD買ってくれたりしてたから、やっぱり届くんだなって思いましたね。人数は少なくても、刺さる人には刺さるんだって。

-今の自分が歌う喜びの歌であり、希望の歌だと。

冨塚:今まで夜を歌ってきたわけじゃないけど、テーマ的には夜っぽかったところからついに早朝まで来た! みたいな。早く太陽昇ってくれ! と今でも思ってますけど、ついにここまで来れたっていう。

藤盛:僕等は事務所にもレーベルにも所属していないから、大地がYouTubeを頑張ってくれているのもそうだけど、ライヴとか配信のオープニング映像とか、大事なライヴの告知映像とかも全部自分たちで作っているんですよ。そのときのBGMって、いつもは代表曲の「全米は泣かない」(2022年リリースの2ndシングル)だったり、この曲を入れたら絶対に成り立つっていう曲を使うんですけど、イントロを聴いた瞬間に、これ(「シモキタ・モーニング・ブルース」)はその中の1つになるなって感じましたね。これはファンから愛される曲になるし、toybeeを表す曲になると思ったので、絶対にみんなでいい曲にしなきゃいけないなって。

冨塚:この曲がウエケンさんと一緒に作ることになった最初の曲だったんですよ。これを作らないと『TOYROCK INVASION』は始まらないってなったので、一番時間かかりましたね。特にリフなんか何個ボツになっただろうっていうぐらいやってました。

-でも、これは時間をかけて作るべき曲ではありますよね。

冨塚:そうですね。僕としては、toybeeファンのみんながいい意味で一番驚かないのがこの曲だと思っていて。さっきも言いましたけど、プロデューサーさんとか誰かの力が加わるとファンの人は不安になるんじゃないかって、個人的には思ってるんですよ。俺は変わり続けたいと思っているけど。だから、「シモキタ・モーニング・ブルース」を先行リリースしたのは、俺としてはtoybeeファンに向けてでもあったんですよね。「CAT GIRL」とか「Jonnie's Rock'n'Roll Lamp」を最初に聴いたら驚いちゃうかもしれないじゃないですか(笑)。

-(笑)たしかに。

冨塚:"toybee大丈夫か?"ってなっちゃうかもしれない。でも「シモキタ・モーニング・ブルース」には、メッセージとかは変わってないけど、ウエケンさんに入ってもらったことによってちょっと変わり始めている感じも出ている。そこは、今までのtoybeeと新しくなり始めているtoybeeのバランスをめっちゃ考えたところでもあるし、この曲で一番気にしていたポイントかもしれないですね。

-そこのバランスは難しいけどめちゃくちゃ大事な部分ですよね。変わりつつあるところは出したいけど、新しくなりすぎても......という。

冨塚:俺はファンのみんなが大好きなんで、みんながちょっとでも悲しむことはやりたくないんですよ。だけど、自分たちのやっているものはこれなんだっていうものを示し続けたい。その2点をすごく大事にしたいんですよね。アーティストとして今やりたいことはこれだからといって、ファンを突き放すような作品は作りたくない。それがアーティストだと思っていたときもあるけど、今はそれは違うなと思っていて。今の俺たちの船に乗ってくれているみんなが本当に喜んでくれて、且つ、これが新しい道だぜっていうのを見せないとなって思っているので、「シモキタ・モーニング・ブルース」はその大きな旗になった感じがします。

-本当におっしゃる通りの曲ですね。また、EPには「Playlist in your heart」のようなアコースティック色の強い楽曲も収録されています。

冨塚:これももともと弾き語りがあったんですよ。なんなら前作のときから種みたいな状態であって、自分たちでアレンジしてみたんですけど、なんかあんまり良くなんないね? って。でも、曲としてはすごくいいよなぁって思っていたんです。 で、今回ウエケンさんと制作するにあたって、俺がまず15曲ぐらいデモを持っていったんですよね。だから、次に作れるものが10曲分ぐらいはある状態なんですけど、その中に「Playlist in your heart」もあって、聴いてもらったときに"すごくいいね"って言ってもらったんです。でも、自分たちでアレンジしてみたんですけど難しかったんですよねって伝えたら、一緒にやってみようってことになって。そしたら最小編成でシンプルなんだけど、それがすごく良かった。めっちゃ気に入ってますね。

鍔本:こういう曲を自分たちだけでやると、1番は大地の弾き語りだけで、2番からバンドが入ってくるみたいな感じになっちゃうところを、最初からギター2人で入っていくのがすごく新しかったというか、今までだったらやらなかったことだなって。あと、指弾きをしてみたりとか、優しいフレーズとかも初めて弾いたんですけど、意外とこういうこともできるんだなって。コード進行も、最初に大地が持ってきたものからちょっと変えただけで雰囲気がすごくオシャレになったりとかして、すごいなと思いました。

-ただ、この曲を一発録りするのって緊張しませんでしたか?

鍔本:いや、そうでもなかったですね。

冨塚:大変そうに思ったけど、"意外といけんじゃん"みたいな感じだったよね?

鍔本:うん。

冨塚:でも、一発録りをするにあたってクソ程練習したんですよ。今までの俺たちだったら、アレンジし終わったらすぐにレコーディングだったんですけど、アレンジが終わったら、ウエケンさんに"じゃあ1,000回練習してきて"って言われて。ほんとに怖いんですよ! マジでやれっていう目をしてるから(笑)。一発録りってそういうことだから、当たり前なんですけどね。

-たしかに。

冨塚:そのときのウエケンさんの言葉で刺さったのは、"音源を作ったときに後悔したくないじゃん"って。レコーディングされた音はツアーで完成するみたいな話ってあるじゃないですか。俺たちもラジオでめっちゃ言ってたんですけど、そもそもそれってダセぇからって。録るまでに練習しとけばそこで完成するんだから、それはやったほうがいいでしょ? って言われて、めっちゃその通りだなと思って。それがちゃんと音楽に向き合うということだなと。