Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube

INTERVIEW

Japanese

2026年02月号掲載

toybee

Member:冨塚 大地(Gt/Vo) 鍔本 隼(Gt) 藤盛 太一(Ba)

Interviewer:山口 哲生

今作で"これがロックかもしれん"っていうのを初めて感じた


-上田さんとのやりとりもすごく良かったんですね。それこそ自分たちがいいと思っているものとは違うことを言われたときに、"いや、全然そう思わないんだけどな"っていうこともあるかもしれないわけですし。

冨塚:そう。俺もプロデューサーが付くのって結構そういうイメージあったというか。ちょっと怖いじゃないですか、自分たちで頑張ってやってきたものに対してそう言われることって。お客さん的にも、プロデューサーが入ってtoybeeどうなっちゃうんだろう......みたいな気持ちってあると思うし、俺自身toybeeの一番のファンだから最初はそう思っていたんですよ。でも、ウエケンさんと一緒にやって、こんなに楽しいことって今までなかったし、俺が一番憧れたロック・ミュージシャンの姿が上田さんみたいな感じで。例えば曲作りも、サポート・ドラムのTomokiさん含めてじゃないと始めないんです。

-おぉー。そうなんですね。

冨塚:最初は俺1人で弾き語りを持っていって、プロデューサーさんの家で作ったりするのかなってちょっと思ってたんですよ。そしたら"全員いないとダメっしょ。全員集合させてよ"って。それで集まって、まずどんなバンドにするのかっていう会議から始まって。みんなでtoybeeってどんなバンドなのか、それぞれ何が好きなのかっていうのをめっちゃ語り合って、上田さんの家でレコードを聴いて、みたいな。死ぬ程最高な時間でした。俺はこれがやりたかったんだ! っていう。全ロック少年が憧れるような始まり方でしたね。

-改めて膝を突き合わせてから、曲作りに入っていったと。

冨塚:toybeeは今5年目ですけど、バンド・メンバーだけで膝突き合わせてどうするか語るのって、結構恥ずかしいところもあるじゃないですか。でも、そこにウエケンさんが入ってくれたことによって、メンバー間の会話もめっちゃ増えたし、すげぇいい時間でしたね。それこそバンドをもう一度再構築する感じでやれたので。

-藤盛さんとしては、そのときに印象に残っている会話というと?

藤盛:ライヴをどうやりたいか? みたいなことを結構聞かれた気がするんですよね。ウエケンさんが最初にtoybeeいいなと思ってくれたのがライヴだったからっていうのもあると思うんですけど。それで、いつもは音源のコーラス・パートも大地1人で録ったりするんですけど、ライヴを想定してメンバーの声でコーラスを録ろうとか。オケを作るときもダビングとかはあまりせずに、実際にライヴで鳴るギターの本数、なるべく最小の構成で作っていこうっていう話をしたのが印象に残ってます。

-サポートの方も含めて、ライヴでやるということをすごく大事にされたと。

冨塚:たぶんそこが一番デカかったです。toybeeのライヴ感を出すっていうところで、今作は全編一発録りをしてるんですよ。ダビングもほぼなし。「TOYROCK ~TOYBEEのテーマ~」のイントロだけオクターバーを重ねたぐらいかな。なんなら3テイク以上やったものってなくて、歌も含めて1テイクで終わった曲もあります。

-おぉ。

冨塚:それってこれまでの自分たちだったら絶対に取れなかった選択肢で。もっと作り込んで、今の時代を反映させて、どうしようどうしようってやっていたところを、徹底的に生にこだわって作った。で、もっとここは上手く歌えたんじゃないかなとか、もっとこのギターはヨレずにできたんじゃないかなって思うところはもちろんあるんですけど、2テイク目で"できたな"みたいな感覚があったんです。これでいけんじゃんっていうか、これを聴いてもらいたいなっていう。なんか、今作で"これがロックかもしれん"っていうのを初めて感じたというか、そういう制作になった気がしていて。音源を聴いていいなと思ってくれた人がライヴに来たときに、本当にそのまま楽しんでもらえるように作ろうっていうのがすごくハマった感じがしますね。

鍔本:曲作りが始まってからウエケンさんが言っていたのは、フレーズはその人にとってカジュアルなものじゃないとダメだって。無理しないというか。僕はもともと早弾きとかはしないんですけど、そういうことをやれっていうのは違うよねっていう。

冨塚:うん。ウエケンさんから"これを弾け"って言われたものをやるっていう感じではなくて、自分たちの中にあるものを引き出してくれるっていう。それも、俺たちだけだったら開けられない引き出しを開けてくれて、それを弾かせてもらえるみたいな感じだった。

藤盛:ベースもそうでしたね。たとえば「CAT GIRL」のサビはもともと全然違うベースラインだったんですよ。最初にウエケンさんがこういうのどう? って提示してくれたものを、かっこいいなと思って自分なりに練習して。それはちゃんと弾けるようになったんですけど、俺にハマってない感じがするから変えようか? っていうことになって、ガラっと変えたらすごいハマったんです。

-まさにその人を表すものにしようという。冨塚さんは、とみといびーとしてYouTubeに動画をアップされていますけど("【バンドマンがゆく】とみといびー")、それこそ上田さんがスタジオ練習にいらっしゃったときの動画がありましたよね。

冨塚:ありましたね。怖いんだー! みたいな。あれは上田さんに何も言わずに出しました(笑)。

-(笑)あの動画で"ある発明が生まれました!!"みたいな話があって。その発明はなんだったんです?

冨塚:あれはね、「Jonnie's Rock'n'Roll Lamp」をやってたときだったかな......なんか、今回発明がめちゃめちゃ多いんですよ。あれだけじゃなくて、他にもいろいろあって。

藤盛:うん。

冨塚:曲作りの中でも発明っていうのはテーマとしてあったんですよね、特に上田さん側に。toybeeを初めてプロデュースするっていうのと、俺等も人生で初めてプロデュースされるなかで、新しい扉を開くっていう。そこで世間を、世界を驚かす。それがマッチしたものが発明なんじゃないかなと俺は勝手に推測しているんですけど......まぁ、「Jonnie's Rock'n'Roll Lamp」で言うなら、魔法の呪文が入ってたりするとか、そういうことじゃないですかね(笑)。

-ランプの魔人が言っているような感じで。

冨塚:そうです。俺の中で言える発明はこれかなと思ってますね。世間がどう受け取るかは分かんないけど(笑)。他にも仕掛けが結構多いんですよ。そこは種明かししたらつまらないんで内緒にしておきます。

-あの呪文は何かのアナグラム的なものなのかなと思って聴いてました。

冨塚:ああいう感じでふざけられたのも楽しかったですね。このEPを聴いたときに"こいつら楽しんで作ってたんだろうな"っていうのがめっちゃ出てるんじゃないかなって。実際クソ楽しかったんで。

-楽しくなかったら、「CAT GIRL」のアウトロであんなにニャーニャー言わないですよね。

一同:ははははは(笑)!

冨塚:あれヤバいっすよね。俺の母ちゃんが初めて聴いたときに"しつこい!"って言ってて(笑)。

-結構長いことやってるなと思って後から見たら、この人たち1分間も猫の物真似やってるの!?って(笑)。そういうチャーミングなところもいいなと思いました。

冨塚:今作でそういう部分を初めて出せたんじゃないかなと思ってます。基本的にふざけてるタイプの人間だけど、音楽を作るときってすごく真面目に向き合ってきちゃった感じがしていて。自分たちが持っているラフでカジュアルな部分を音にちゃんと乗せられたのが初めてだったから、本当にすごい楽しかった。そういう意味でも等身大なのかもしれないです。

-収録曲についてですが、「TOYROCK ~TOYBEEのテーマ~」は、お話にもあった通りBAY CITY ROLLERSをオマージュされていて。それこそサポート・ドラムの方も含めた全員で、こういう音楽が好きでという話をしたなかで作っていったと。

冨塚:そうですね。でも、2人はBAY CITY ROLLERSをそもそも知らなくて。(藤盛は)RAGE AGAINST THE MACHINEと、(鍔本は)LED ZEPPELINが大好きな人だから、どう考えてもBAY CITY ROLLERSではないじゃないですか(笑)。俺は大好きですけど、正直BAY CITY ROLLERSってバンドなの? って思われちゃうところもある。でも、それをこのメンバーと鳴らすのってめっちゃ楽しいなと思って。 そういう音楽をあんまり知らないやつらと、BAY CITY ROLLERS的なヴォーカルがいるバンドがやるものってなんだろうっていうのを考えながら作ったので、はじまりはBAY CITY ROLLERSだけど、終わりはちゃんとtoybeeになったんじゃないかなと思いますね。

-おっしゃる通りですね。フックとしてBAY CITY ROLLERSはあるんだけど、最終的には確実にtoybeeになってる。

冨塚:"TOYBEEのテーマ"っていうのはTHE MONKEESから取っているんですけど、そういうバンドが好きなんですよね。ロックンロールっていろいろあるし、僕は全部大好きですけど、僕のできるロックンロールはこれだなって。俺の母ちゃんが忌野清志郎さん大好きだったのもあって、子供の頃から聴いて育ってきたんですけど、清志郎さんの言う"ロックンロール"って言葉が、自分の中で愛おしいものとしてあって。ただ、そこを目指していくのって、ものすごく覚悟がいるじゃないですか。怖くて怖くてしょうがない。でも、自分なりのロックンロールが見つかり始めて、"俺たちはロックンロールだ!"って、俺はついにまっすぐ言えるようになった感じがありますね。俺、今年は"ロックしようぜ!"を流行らせていこうと思ってるんで。そういうことも言えるようになったのもバンドが楽しい証拠だし、上手くいってるっていうことなんじゃないかなと思ってます。

-昔から自分がやっているものはロックであって、そこに誇りも持っていたけれども、より深く思うようになったというか。

冨塚:"ロックしようぜ!"っていうのは、前までは言えなかったでしょうね。ダサいじゃないですか。でも、ダサいけど、最高にかっこいいと思うんですよ。それが俺のやりたいことなんだと思って。ロックはダサいやつがかっこ良くなる魔法なんで、toybeeはそれをやりたい。しかも、30(歳)を超えたやつらがそれを言ってるのってかっけえじゃんって思わせたいんですよね。

-お言葉をお借りするなら、30を超えた人達が"ロックしようぜ!"って叫んで、40歳のおじさんたちが熱い涙をこぼすっていうのは、めっちゃ素敵な光景ですね。

冨塚:そうそう(笑)。それを若い子たちにもなんか楽しそうって思ってもらえたらいいなって。大人になるのって楽しそうだなって思ってもらえるように、めっちゃいい音楽作りたいなと思っているので。40代の男性たちを沸かせるのは最高にロックだし楽しいと思いますけど、やっぱり日本中に届けたいんで。そもそも"若い子たち"って分断しちゃうのが良くないとは思うんですけど、若い子たちにもかっこいいと思ってもらえるようになっていきたい。この曲たちをやりながら、ちゃんと日本中に届けられる音楽を作るっていうのを考えたいですね。