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INTERVIEW

Japanese

22/7

2025年12月号掲載

22/7

Member:天城 サリー(藤間 桜役)

Interviewer:宮﨑 大樹
©22/7 PROJECT

秋元 康総合プロデュース、Sony MusicとANIPLEXがタッグを組んだデジタル声優アイドル・プロジェクト 22/7。彼女たちが3rdアルバム『ABC予想』を完成させた。Skream!では、メンバーの天城サリーへインタビューを実施。アルバムについての話はもちろん、トリリンガルならではの"言語で性格が変わる"というユニークな側面や、初期メンバーとしてグループへの強い想い等、彼女自身を深掘りした。

-天城さんのYouTubeチャンネル("Sally Amaki [official]")を拝見したんですけど、とても面白かったです。笑顔と元気をありがとうございます。動画を観ていて思ったんですが、日本語で話すときと英語で話すときで声のトーンが大きく違いますよね。

多言語で話す方って、その言語によって声色が変わるんですよ。日本語って口先だけで話せる言葉だけど、英語って普通に話していてもナチュラルにお腹から声を出すんです。それも一つの違いかなと思うのと、あとは話す言語で性格が変わるんですよ。

-性格が?

その言語を学んだ地域の性格になるというか。両親は日本人なので日本語は日常会話レベルならできていたんですけど、日本に来てアイドルになってから、がっつり敬語を使えるようになりました。私の日本語はアニメとアイドル文化とNHKのニュースから作られているので、あまり悪い言葉は使わないんですよ。だけど、英語となると仲の良かったお兄ちゃんがガキ大将だったこと、それと学校のクラスでは根暗なほうで、みんながワイワイしているところで暗い一言を言う、"ちびまる子ちゃん"でいう野口さんみたいな感じだったので、英語を話すときはネガティヴしか目に入らなくて、だいぶ性格が違いますね。

-なるほど。英語だとブラックな天城さんですもんね。でもそれが面白かったです。では日本語で話しているときはお仕事モード?

本当にお仕事モードでしかないです。それに、同じ仕事のことを話しても、言語によって言っていることが全然違います。

-それに、日本語でもだいぶ声色が変わりますよね。今までに演じていた役を見てみると、声の違いにビックリしました。さすが声優。

嬉しいですね。

-これは余談ですけど、ベルトワーズ・ベツィー(TVアニメ"かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~")をやっていたことに特に驚きました。

あ~、そうなんです。あれはちょっと面白い裏話があって。私は別にフランス語がめっちゃ話せるわけではないんですよ。ネットの友達にフランス人がいて、Google翻訳込みでのちょっとした日常会話ができた時期があっただけで。それをナナニジ(22/7)のオーディションで言ったら、初期の頃は"4ヶ国語が話せる"とプロフィールに書かれていたんですよ。その"ちょっとした"がみんなの記憶から消されてしまったようで、"フランス語が話せる人"で("かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~"の)オーディションの話が来て、"いや、話せないですけど"と(笑)。それで、オーディションのセリフをGoogle翻訳に入れて、機械に読んでいただいて、それをそのまま復唱してオーディションをやったという(笑)。

-それで通ったわけですね(笑)。すごい(笑)。今日はそんな天城さんへ、22/7の3rdアルバム『ABC予想』の話を中心に聞いていきたいのですが、リリースに先駆けて公開された新しいアー写では、リリースものでは初のメンバー・カラーの衣装を着ているんですね。

個人的には"戦隊もの!"って思ってすごくテンションが上がりました。今までのナナニジ(22/7)は、衣装の見た目と丈が全部一緒だったんですけど、今回はメンバー・カラーだったり、襟元が違ったり、髪飾りとかもメンバー各々で選んだりしているので、セルフプロデュースが多かったかもしれません。なので、存分に自分が出せるなと感じました。一人一人が輝くようになっています。今年のアニバーサリー・ライヴ("22/7 ANNIVERSARY LIVE 2025")は裏テーマが"全員が主役"ですし、最近の楽曲は歌割でもソロ・パートが増えているので、一人一人を見てもらえる時期になったんだなと思いますね。

-アルバム『ABC予想』は、心に響くいい曲もあれば、ネタ曲もあり、振れ幅がすごい作品になりましたね。

今回のアルバムでは、秋元 康先生作詞以外の楽曲も収録されているんですよ。それがすごく新しくて。これまでとはまた違った、新しいナナニジの雰囲気が出ているなと感じました。

-リード曲「理論物理学的 僕の推論」に関しては変わらず秋元 康先生の作詞ですね。

目をつぶって聴いて、"どれが秋元先生(の作詞)ですか?"と聞かれたら、"絶対にこれだ!"と言えるぐらいには秋元先生らしい曲です。これこそナナニジだなと。ただ、今までの曲ではセリフがあるときは誰かに何か訴え掛けるような口調だったんですけど、今回に関しては"誰かに伝えようとしないで"とディレクションされたんです。"1人でぶつぶつ言っている気持ちでやってほしい"、"自分の中に秘めて"と初めて言われました。

-相対性理論がテーマになっていて、"あなたともっと長く一緒にいたいから、時間がゆっくり流れるようにつまらないふりしよう"というような、甘酸っぱくて素敵な歌詞の楽曲ですね。

セリフのパートと歌パートのどっちが多いんだろうというくらいの、語り合うような曲です。ナナニジにとってのキーパーソンである西條 和(滝川みう役)ちゃんが卒業して、これからグループの色がもしかしたら変わるかもしれないという時期ですが、この曲では歌割的に今までのナナニジの歴史をたどっているような感じがします。セリフのパートは、最後の初期メンである私から始まり、その後に加入した詩(河瀬 詩(斎藤ニコル役))ちゃんに続いて、最後には"希望ちゃん"と呼ばれている望月りの(瀬良穂乃花役)ちゃんの"好きだ"で締めるのが、ナナニジの活動をぎゅっと詰めた感じだなと思いました。これはライヴ映えというよりは、ライヴで変化する曲だろうなと思いますね。自分の中に秘めているセリフだからこそ、そのときの心情できっと言い方も変わると思うので、毎公演違うものが見えるんじゃないかなと。

-はい。

あとは、この曲を聴いて思い出せる甘酸っぱい過去があれば嬉しいんですけどね(笑)。最初の"授業中、壁の時計は、どうして、あんなにゆっくり進むんだろう?"だけは共感できます(笑)。

-(笑)アルバムの1曲目には、セルフタイトルの楽曲(「22/7」)が収録されていますね。

8周年にしてようやくグループ名が入った曲が来ました。で、それがラップ!? って(笑)。今までメンバーが"ナナニジらしさは語り、内に秘めた想い、メッセージ性が――"とか言っているなか、急に"Ey Oh"って(笑)。"これ、自己紹介ソングにして大丈夫?"となって、メンバーはドキドキしていたんですけど、ライヴでめちゃくちゃ盛り上がったんです。フェス等でも、特にナナニジを知らない方々が盛り上がってくださったので、印象付け的には素晴らしい曲だなと思います。他の曲との落差というか、メッセージ性が強い曲と込みで聴くと、寒暖差がすごい(笑)。

-グループ名の曲となると、自分たちらしさを出していくのが王道かと思いきや(笑)。天城さんは、ナナニジや他の活動を含めてラップの経験があったんでしたっけ?

なかったと記憶していたんですけど、過去のナナニジのオーディション映像を観させてもらったときに"趣味がラップ"と言っていたんです(笑)。そんな記憶なくて(笑)、たぶんですけど、正しくは"趣味はラップで滑舌練習すること"だった気がするんですよ。たしかにその時期に、NICKI MINAJさんの曲を得意げにやっていた記憶はあったんですけど、それもただ単に言うことがなさすぎてオーディションで言っただけだったので。

-はい。

私はリズム感が本当にないんです。この曲の歌割は、リズム感が素晴らしい月城咲舞(氷室みず姫役)ちゃんの後で、さらに私の後もリズム感が素晴らしい相川奈央(西浦そら役)ちゃんというすごい2人に挟まれていて、いつもライヴ後に"またずれていましたよ、半拍"みたいに言われるんです。で、私は"半拍って何?"となるんですね。"1拍も短いのに、そのさらに半分があるなんて知らんし"と(笑)。ナナニジに入った当初も、目をつぶってみんなでリズムを聴いて上下運動するみたいなレッスンがあって、できる子から肩を叩かれて抜けていったんです。で、"めっちゃ長いな......"と思ってうっすら目を開けたら、私しかやっていなかった(笑)。それぐらい本当にリズム感ないので(笑)、「22/7」は私の中で挑戦曲。めっちゃ難しいです、これ。

-(笑)天城さんのエピソードも含めて面白い楽曲ですね。

面白い楽曲。そう考えると、「佐藤さん」も「あざす」も面白い。それでいうと今回の新曲「スパシーバ!」が来たときは、曲を聴く前に"「スパシーバ!」というカップリング曲が来ました"って、タイトルだけがLINEグループで貼られたんです。で、「あざす」の歌詞に"スパシーバ"って言葉が出てくるので、「あざす」のパート2が来たと(笑)。「佐藤さん」、「あざす」と来て、もうネタ曲がいっぱいあるのに。でも曲を聴いてみたらめちゃくちゃカッコ良くて。「スパシーバ!」はラテン調の曲で、後ろで"うっ! はっ!"ってガヤみたいな声があるんです。レコーディングでは、メンバーみんなが円になってそのガヤを録ったんですけど、過去曲含め一番笑ったレコーディングだったかもしれません。メンバーが気合を込めて"うっ!"という顔が面白すぎて笑っちゃいました。楽しかったです。

-「スパシーバ!」って、男性と駆け引きする大人の女性みたいな感じで、こういう曲を歌うことは今までになかったですよね。

シンプルに嬉しかったです。大好きな曲調ですし、私自身あんまり自分のことをか弱いと思ってないので、いいね~って。こういうラヴ・ソング系、駆け引き系のラヴ・ソングだと"蛍光灯再生計画"(22/7内のユニット)の子たちが歌うことが多いんですよ。でも、その子たちが歌う大人のラヴ・ソングは失恋していることが多いので、こういう情熱一本でやっている感じは初めて歌いました。振り入れはまだなんですけど、ダンスが一番楽しみな曲です。ラテン系の振りが入りそうだなと思ってちょっと準備しています。なんの準備だよって感じですけど(笑)。音的にもめちゃくちゃライヴ映えしそうだし、ファンの方々もきっとコールしやすいから、観ていてもやっていても楽しい、会場全体が楽しくなる曲だなと思います。

-こういう"強い女性像"って、自身とのシンクロ率はどれくらいなんですか?

さっきは"自分がか弱いと思っていない"と言いつつ、強いとも思っていなくて。"恋する温度は HIBANA"とかはちょっと言えないですね。"呼び出したの/夜のカフェテリア"――いや、呼び出せない。シンクロ率でいうとまだ3パーセントくらいなんですけど、これをレコーディングしているときは100パーセントでした。なので、これを歌ったらもれなくみんな強い女性になれると思います。