Japanese
22/7
2025年12月号掲載
Member:天城 サリー(藤間 桜役)
Interviewer:宮﨑 大樹
©22/7 PROJECT
皆さんの好きなナナニジを保ったまま、変わるんじゃなくて進化ができたら
-アルバムには「箱庭の世界」という新曲も収録されます。
曲調や言っていることはナナニジっぽいんですけど、よくよく見ると違くて。秋元先生はメンバー1人ずつに頻繁には会えないぶん、"僕が書く歌詞がみんなへのメッセージだ"と言ってくださっているんです。「覚醒」(2021年リリースの8thシングル『覚醒』表題曲)のように、メンバーが卒業しちゃった後とかに来る曲って、みんなを勇気づけてくれるというか、"つまらなかった日々、我慢したじゃないか"、"ここから走り出そう"とか"ここからだよ"って強いメッセージを送ってくださっていて。その中でこの曲は"箱庭の外へ 駆け出せ"という歌詞があって。私は最初秋元先生が書いたものだと思っていたので、"卒業しろってことですか?"と(笑)。
-(笑)
"君の可能性が/広がることはない"と言う歌詞が、ちょっと悲しかったんですけど、(Shoichiro)Tokoさんが書いたとなって、あ、なるほどと。私たちに向けてのメッセージじゃなくて、私たちが悩んでいる人を勇気づけるための曲なんだと思って、自分として受け止めるのをやめました(笑)。きっとこうやって悩んでいる人とか、居心地がいい場所にい続けちゃいけないのは分かっているけど、周りの環境も含め、このままいようかな......という方は世界中にいると思うんです。けど、そんななかで、"人生は一度きりだから、もっと君の成長を応援したいから、一歩踏み出してみなよ"と勇気づけられる曲になれたらなと。勇気づけられる、プラス誰かの目を覚めさせられる曲というんですかね。気付かせてあげられたら嬉しいです。"可能性は無限"なんだよって。
-そういう意味では、ご自身がアメリカから日本に渡ってきたときの気持ちにリンクするんですかね。
(アメリカを)出た後に、自分がいたところは箱庭だったんだなという気持ちにはなりました。やっぱりアメリカは土地が広すぎるんで(笑)、当時はそこが狭い世界、窮屈とは思っていなくて。でも、私の視点がめちゃくちゃ小さかったなと思いますね。もうちょっと視野を広げたら、きっと優しい人とかもいっぱいいただろうって、今なら思えるんです。だけど、当時はみんな敵、みんな私のこと嫌い、嫌だ、アニメしか私を救ってくれないという気持ちで日本に来ていました。日本に来てからは性格も明るくなって、絶対仲良くなれないだろうなと思っていたジャンルの子たちとも仲良くなれているので、今のこの性格とこの知識でまた当時の高校生、中学生に戻れたら、もっとちゃんと仲良くできたなという気持ちになります。それでいうと、そんな経験をしているゆえに、視野が狭くなっちゃっている子に向けて、一歩踏み出してみたら見える世界が違うよっていうのは、説得力を持って伝えられるかなとは思いますね。
-曲としては懐かしのアニソンみたいな印象があって。
あ、そうですね。特に落ちサビに、望月りのちゃんと私のそれぞれのソロ・パートがあるんですけど、"そんなものはいらないと/はっきり言えるように Ah"の、"Ah"の部分にめっちゃアニソンを感じました。曲調的にはこの曲が今作では好きかもしれないです。やっていて楽しいのは「スパシーバ!」なんですけど、シンプルに聴いていてカッコいい気持ちになれるのはこの曲。どん底を味わっている主人公みたいな気持ちになれるなと。 これはレコーディングの話なんですけど、私と望月りのちゃんが最後だったんですよ。その前日に録っていたメンバーがハモりを録っていたんですけど、まだ私たちの歌声がないなか、"2人がどんな歌い方するか想像して歌ってみて"と言われたらしいんです。ハモりを歌ったのは椎名桜月(織原純佳役)ちゃんで、つっきー(椎名桜月)とはプライベートでもめちゃくちゃ仲が良くて、私の歌い方をすぐものまねするんです。それで、私がストレートに歌うパターンと、"ソロ・パートだからゴリゴリ調子乗って歌う"パターンと、2パターン用意してくれたらしいんですけど、想像通りゴリゴリ調子乗っていて、当たっていました(笑)。そういう裏話も楽しみながら聴いてくれたら嬉しいですね。
-今回は既発曲も収録されていますけど、その中で特に思い入れがある曲をあえて挙げるとしたらどれですか?
「YESとNOの間に」は、自分たちのアニメ以外での初のタイアップ(アニメ"ATRI-My Dear Moments-"エンディング・テーマ)なんです。個人的には、グループとしてアニメに関わりたい気持ちがずっとあったんですけど、ここ数年は諦めていて。ナナニジ自身にキャラクターがいるので、そのキャラクターたちがほかの作品と交わるのは難しいのかなって、もうその目標を口にすることもやめていたんですけど、去年の夏に"タイアップが決まりました"となったときに、涙が出ちゃうぐらいには嬉しかったですね。なので、「YESとNOの間に」はずっと思い入れのある曲です。 それでいうと、今作は「ロックは死なない」も「あなたでなくちゃ」も、アニメのタイアップ(「ロックは死なない」はTVアニメ"不遇職【鑑定士】が実は最強だった"エンディング・テーマ、「あなたでなくちゃ」はTVアニメ"カッコウの許嫁 Season2"エンディング・テーマ)をさせていただいていて。アルバム自体に新しいナナニジがギュッと詰まっているなと思いますし、作品とのタイアップだからこそ生まれた曲と言いますか、その作品の世界観に合わせた歌詞と曲を用意してくださっているので、いろんな作品に助けられてまた新しいナナニジを皆さんにお届けできた期間だったなと思いますね。
-今作は形態ごとに特典があるなかで、完全生産限定盤Cにはカバー曲が収録されていますよね。天城さんは、中川翔子さんの「空色デイズ」をカバーしています。
中川さんは最近ラジオに来てくださったり、仲良くしていただく機会が増えたり、私がナナニジに入る前には、いろんなオーディションを受けるなかで「空色デイズ」を歌っていたりしたんです。"(天元突破)グレンラガン"がとにかく好きで、ヨーコ(・リットナ―)ちゃんのコスプレとかもしていたので、「空色デイズ」にめちゃくちゃ思い入れがあったんですよ。それをスタッフさんが知ってくれていたので、今回カバーさせていただきました。ナナニジのカバー曲がCDになるのは今回初めてなので、その中で思い入れのある曲を選んでいただいて嬉しいですね。
-じゃあ、レコーディングするにあたっては、これまでも歌ってきているから――
そうですね。ディレクションは何もなかったです。"任せてください!"って(笑)。気持ち良く歌いました。ライヴで歌いたくなりましたね、私の曲じゃないのに(笑)。
-グループとしてはおニャン子クラブの「じゃあね」もカバーしていますよね。
西條 和ちゃんはおニャン子クラブが好きだったらしくて、なごみん(西條 和)が卒業するときの思い出ミュージック・ビデオでも「じゃあね」をみんなで歌って踊ったんです。なので、この時期の締めくくりとしてはパーフェクトな選曲だなと思いますね。この曲が入ったことによって、なごみんがいた期間がここで終わりなんだというのが見えるなと思いました。
-そんなアルバムのタイトルは"ABC予想"です。
これまでのアルバム・タイトルも"11という名の永遠の素数"(2021年リリースの1stアルバム)と"旅人算"(2023年リリースの2ndアルバム)なので、秋元先生って理系なのかな、さすが秋元先生だなってなるタイトルでしたね。"22/7"というグループ名にも含まれている、22を7で割るとほぼ3.14になるような、その無限の可能性というのが"ABC予想"でもまたリンクしてくれたのは嬉しいなと思います。それに、私たちのことを覚えていてくれたんだなと思って嬉しかったです(笑)。
-この先、新体制が生まれてくるでしょうし、グループにいろんな可能性があることを見せる、今の体制での集大成みたいな作品になったと思います。そんなアルバムのリリース後に予定されている8周年ライヴはもうソールド・アウトしているそうで。
今回の裏テーマは"全員が主役"なので、全員がフィーチャーされるセットリストや演出にもなっていて、どの子を推していてもハッピーな気持ちでいられる、すごくいいライヴになっていると思います。
-単独としては年内最後ということで、いい締めくくりになるのかなと思います。2025年が終わりますけど、ナナニジとして、個人として、それぞれ今年はどんな年でしたか?
ナナニジとしては覚悟を決めなきゃいけない年というか。なごみんが卒業するとなってから、ここから続けるにあたって私も初期からいた身としての重みを背負って、1人で立たなきゃという気持ちになりました。なので、8年半ずっと共に過ごしてくれてありがとうの年ですね。 個人的には、初めてアニメ(TVアニメ"ゲーセン少女と異文化交流")でも舞台("歌劇「千本桜〜令和間引刻〜」")でも座長を務めさせていただいた1年で。今まで見てきた先輩方ってやっぱりすごいんだなと感じました。私は毎回現場であたふたしていたんですけど、先輩方に助けられて、無事になんとかやり切れました。メイン・キャラクターをやるというのが夢だったので、アニメでも舞台でもそれができたのはすごく嬉しかったなって。もっともっといろんな役をしたいなって改めて思えた年ですね。総じてすごくハッピーでした。
-いろんな夢が叶いましたね。
本当に皆さんのおかげです。ここは"(本当です)"と書いてくださいね(笑)。本当に皆さんのおかげ。アニメとかに出ると実況とかしてくれるので、名前を知っていただくチャンスもそこで広がっています。"ありがとうございます"と日々思っています。本当です!
-(笑)天城さんがまだ叶えられてない夢は?
ナナニジに入って最初のマネージャーさんに、自分の夢と目標をバーっとリストにして送ったんですけど、唯一叶っていないのが、何かしらの声優アワード、賞をいただくというもので。それが今のところ唯一叶っていないので、叶えられたら嬉しいです。頑張ります。
-ナナニジとしての来年2026年はどうなりそうでしょうか。
新体制としてメンバーが入ってきてくれるがゆえに、もっともっと大きいステージを目指したいですし、ファンの方々と広い景色を見られるようになりたい。新体制にはなるんですけど、今の22/7を大きく変えることなく、皆さんの好きなナナニジを保ったまま、変わるんじゃなくて進化ができたらいいなと思います。あ、誰かが卒業するとすぐ私の卒業フラグが立つんですけど、とりあえず2026年は大丈夫です。安心してください。なので、また2026年の年末にインタビューで大丈夫そうか聞きに来てください(笑)。
RELEASE INFORMATION
22/7
3rdアルバム
『ABC予想』
2025.12.10 ON SALE
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【完全生産限定盤A】 CD+2Blu-ray+Live Photobook+トレカ
SRCL-13440~43/¥11,000(税込)
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【完全生産限定盤B】CD+2Blu-ray+Live Photobook+トレカ
SRCL-13444~47/¥11,000(税込)
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【完全生産限定盤C】2CD+2Blu-ray+トレカ
SRCL-13448~51/¥11,000(税込)
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【通常盤】CD
SRCL-13452/¥2,800(税込)
[Sony Records]
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