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INTERVIEW

Japanese

トゲナシトゲアリ

2024年08月号掲載

トゲナシトゲアリ

Member:理名(井芹 仁菜/Vo) 夕莉(河原木 桃香/Gt) 朱李(ルパ/Ba)

Interviewer:宮﨑 大樹
©東映アニメーション

ぶっちぎりで一番を獲りにいきたい


-「心象的フラクタル」は、音楽ジャンル的にエレクトロな要素が強いので、トゲトゲのライヴで披露したらいいアクセントになりそうですね。また、『棘ナシ』にはアニメでは使用されていない新曲が収録されます。1つは「闇に溶けてく」。

理名:「気鬱、白濁す」(2023年8月リリースの2ndシングル表題曲)や「爆ぜて咲く」(2023年10月リリースの3rdシングル表題曲)等、ほかの楽曲も手掛けてくださっているMisty mintさんが書いた曲なんですけど、Misty mintさんの作る曲は歌うのが本当に気持ちいいんです。「気鬱、白濁す」と「闇に溶けてく」はちょっと似ている部分があって、どちらもキーボードが映える曲ですし、"夜明け"のイメージが強いんじゃないかなと思っています。爽やかで多くの人に受け入れられるというか、トゲトゲの中ではまだトゲが少ないほうというか。なので、歌っていても聴いていても気持ちがいい曲だと思います。

夕莉:この曲は初めて聴いたときにキーボードが印象的で。Aメロのアルペジオや、ギター・ソロのキーボードとの絡みがきれいなんです。トゲトゲの曲って、ギターとキーボードがユニゾンしているソロが多いんですけど、この曲は完全にユニゾンしていない部分もすごくきれいな絡みがあるので、そこが私的に聴いてほしいポイントです。

朱李:ベースとしては目立った動きはあまりないですけど、ルートで刻んでノリを作っていく、一番ベースらしいというか、バンドの芯を作る感じの曲です。この楽曲では疾走感を作ってあげられたらいいなと思っています。

-アニメを観た人が『棘ナシ』の曲を聴くと、曲が使われているアニメのシーンが脳裏に浮かぶと思うんです。そういったなかで、「闇に溶けてく」は劇中では使われていませんが、長野の諏訪でライヴするためにバンドで深夜の高速道路を走っていたときのことを、桃香が思い浮かべながら書いたのかなと妄想してしまいました。挿入歌に使われている曲だとシーンを思い浮かべる楽しみ方があるし、挿入歌に使われていないからこそ逆に想いを巡らせることができて、どちらもいいですよね。

夕莉:そうですね。アニメに出てきていなくても、"桃香が書いている"という設定を理解した上で聴くと、そこで感じるものもあると思います。いろいろ考察が捗りますよね。YouTubeで公開されている試聴動画を観たファンの中に、"これは桃香がこういう想いで書いたんじゃないか"と言っている方もいたので、アニメとリンクしているからこそ、いろいろ考察できるのが面白い。もう1つの新曲「蝶に結いた赤い糸」も、桃香が歌詞を書いていると思うと"あぁ......いい曲"って思います。

理名:「蝶に結いた赤い糸」は、桃香が書いた仁菜へのラヴ・ソングなんじゃないかと言われていて、私もそうなんじゃないかなと思っています。"手繰り寄せ合った この糸の先/君がいたせいだ..."という歌詞は、桃香が旭川に帰ろうとしていたときに仁菜に出会ったことが書かれていて、泣けちゃう。これを聴くと桃香と仁菜のことを必ず思い出します。曲調は、トゲトゲには珍しくアコギの弾き語りっぽい感じになっていて、"これは本当にトゲトゲの曲なのかな?"と最初は疑いました。今までのトゲトゲの曲と比べて圧倒的にゆったりしていて、だからこその魅力もたくさんあります。最初はアコギだけだったのがだんだんほかの楽器も入ってくるんです。トゲトゲの曲として、伝えたいこと、芯の部分は一緒で、"トゲ"の部分はありつつもみんなで1つになっている感じがします。

夕莉:この曲は一曲を通してアコギが耳に残るので、ライヴでやったらバンドの印象を変えられると思います。いつかライヴでできるのが今からすごく楽しみな曲です。

朱李:最初のほうに高音で歌うようなベースラインがあるので、そこに注目してほしいです。アコースティックっぽいイメージなので、いつかアコースティック編成でもライヴをしてみたいです。

-皆さんはライヴをするときに"自分"としてやっているのか、"キャラ"としてやっているのか、どちらなんでしょうか。

一同:自分として!

-満場一致ですね。皆さんはもともと声優の活動はされていなかったので、だからこそ等身大というか、"リアルな女の子たちがバンドをやっているんだな"とアニメを観ていて感じられたんです。プロの声優然としていない声だからこその良さがあると。ライヴでもきっと、等身大のままやるほうがいいのかもしれないですね。

理名:そうなのかもしれないです。"自分"としてやってはいるんですけど、アニメのライヴ・シーンや、MVに出てくる小指のポーズを取り入れて、アニメとリアルがリンクする部分、リンクしているからこそできるパフォーマンスも意識しています。

-ライヴの予定がたくさん決まっていますが、直近は川崎のCLUB CITTA'で2ndワンマン"凛音の理"があります。こちらは聖地 川崎での開催ですね。

夕莉:この2ndワンマンが、TVアニメの放送が終わってから初のワンマンになるので、アニメから入って私たちを知ってくださった方、私たちのライヴを観たことがない方もたくさん来てくださると思います。劇中のトゲナシトゲアリはめちゃくちゃカッコいいので、彼女たちに負けないように、リアルの私たちも頑張らないといけないなという気持ちです。リアルの私たちの魅力が伝わるようなライヴにするために、今も頑張って練習しています。

朱李:ほかのアニメのファンの方も観に来てくれるんじゃないかと思うので、ぶっちぎりで一番を獲りにいきたいです。この2ndワンマンをきっかけに、3rd、4th、対バン、とライヴを重ねて、フェスにも呼んでもらえるように頑張りたいです。

理名:TVアニメの放送は終わりましたが、この勢いを落としたくない気持ちでいっぱいです。なので、どんどん大きな会場でやりたいし、地方にも行きたい。トゲナシトゲアリがもとから好きだった人にも、もっと好きになってもらえるように頑張っていきたいと思います。

夕莉:あと、2ndワンマンは配信もあります! チケットの抽選が外れてしまった方もいらっしゃるので、配信という形でたくさんの方に観ていただけたら嬉しいです。それ以外にもたくさんライヴが決まっているので、ぜひ私たちの生の演奏を聴いてほしいなと思っています。

-決定しているライヴの先にある、バンドの目標を伺えますか。

理名:場所的なもので言えば、日本武道館のステージに立ちたいです。

-アニメともリンクする目標ですね。

理名:そうですね。アニメのオープニングでも立っていますし、日本武道館はずっと掲げている目標です。でも、日本武道館を達成しても、もっともっと大きな会場や、いろんな海外のフェス等にも出たいです。目標を更新し続けていきたいと思います。

-"個人の目標"という意味ではいかがでしょうか。

朱李:私は野球ファンなので、ドームやスタジアムでツアーがしたいです。

夕莉:私はもっとギターが上手くなりたい。上手くなって"トゲトゲの夕莉と言えばこういうギタリストだよね"と言われるようになりたいです。音色であれ、弾き方であれ、パフォーマンスであれ、"トゲトゲの夕莉"を確立させていきたい。そんなギタリストに成長したいです。

理名:私も、もっと歌が上手くなりたい。現状で全然満足していないというか、もっともっと上手くなれる、超えられる壁がたくさんあると思っているんです。だから歌が上手くなりたい。その一心で頑張っていきます。