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INTERVIEW

Japanese

トゲナシトゲアリ

2024年08月号掲載

トゲナシトゲアリ

Member:理名(井芹 仁菜/Vo) 夕莉(河原木 桃香/Gt) 朱李(ルパ/Ba)

Interviewer:宮﨑 大樹
©東映アニメーション

-楽器隊も、キャラクターの個性が立っているからこそ、各パートもちゃんと際立たせてあるので、その分演奏は難しそうですね。

夕莉:桃香はギターがめちゃくちゃ上手い設定ですからね。最近では11話で演奏している「空白とカタルシス」のギター・ソロと、その後の速弾きが難しくて。今まで避けてきたような弾き方――私はタッピングとかチョーキングが苦手なんですけど、そういうのももう弾くしかない。そんな壁を超えてもどんどん高い壁が出てくるので、オーディションが始まってからはずっと壁を登り続けている感じです(笑)。その分楽曲を通してめちゃくちゃ成長できています。

-ベースも前に出るタイプのベースというか、動きのあるフレーズが多いですよね。

朱李:そうですね。アニメ放送前に発表された楽曲の時点で暴れたフレーズが多かったです。特に「極私的極彩色アンサー」(2023年12月リリースの4thシングル表題曲)という楽曲のベースラインが、"本当にベースなのか?"と疑うぐらい前に出ていて。この楽曲は最初に音源をいただいたときから"これを弾くんですか......?"と(笑)。最初は苦しみながらやっていたんですけど、レベルが高いからこそ頑張れるし成長もできるので、今は感謝しています。

-そんな高難度の楽曲のリリースをコンスタントに重ねて、早くも2ndアルバム『棘ナシ』がリリースされますが、1stアルバム『棘アリ』(2024年4月リリース)を振り返ると、改めてどんな作品でしたか。

理名:『棘アリ』の収録曲は、アニメが始まる前の"ガールズバンドクライ"のあらすじとキャラクター情報くらいしか分かっていない状態で発表してきた曲だったので、私たちリアル・バンド"トゲナシトゲアリ"としての名刺代わり、"肩書きになる一枚です"と言っていました。

夕莉:アニメと関係のない普通のバンドの曲としてフラットに聴いたとしても、めちゃくちゃカッコいいと思えるようなハイレベルな楽曲が詰まったアルバムだと思います。

-とはいえ、アニメを観てから『棘アリ』を聴くと、"桃香が書いた曲なんだな"と感じるところがありますよね。

夕莉:そうですね。トゲトゲは桃香が作詞、作曲をしている設定なので、ストーリーを知ってから聴くと"あ、桃香さんがこれを書いてるんだ、涙が出る......"というような曲もあると思います。アニメを観る前に聴くのと観た後に聴くのとでは、また違った印象になるアルバムです。2ndアルバムの『棘ナシ』は、アニメで使用された楽曲がたくさん収録されているので、アニメからトゲトゲを知ってくれた方には"あのときのあの曲だ"と思ってもらえるはずです。

-そういった意味では、『棘ナシ』はアニメから知った方にまず聴いてほしい作品だといえそうですね。アルバムを通して聴いてみての印象はいかがでしたか。

理名:本当に難しい曲ばかりだなと改めて思います。でも、ライヴでやるのを想像しながら最初から最後まで聴いていると、"絶対に盛り上がるだろう"という確信もありました。

-特に思い入れのある曲を伺えますか。

夕莉:「声なき魚」は一番演奏が楽しくて大好きで、"好きな曲はなんですか"と聞かれたときはいつも「声なき魚」と答えているんですけど、思い入れで言うと「空の箱」です。この曲は桃香にとってもすごく大事な曲で、桃香と仁菜の出会いのシーンでも歌われています。ダイヤモンドダストバージョン、仁菜、桃香バージョン等いろいろなバージョンがあって、それぞれの楽しみ方ができる曲なんですけど、私は仁菜バージョンが一番好きなんです。なので、このアルバムの中で一番思い入れがあるのは「空の箱」です。





理名:私は、『棘アリ』の思い入れのある曲だったら「名もなき何もかも」なんですけど、『棘ナシ』なら「空白とカタルシス」が大好きです。この曲は、仁菜が熊本から帰ってくる新幹線の中で書いた、初めて作詞を担当した曲で、仁菜の過去も全部含めた気持ちが表れた曲なんですね。なので親バカみたいなんですけど、演じている私としては、"仁菜が作詞した"という部分が理由としては大きいです。それに演奏が本当にカッコ良くて、あれを夕莉ちゃんが弾いているのを想像したら、もう惚れちまいますよ(笑)! ベースもドラムもキーボードも本当にカッコ良くて、特にあの曲はキーボードの存在が重要なんです。表にガツンと出るキーボードではないけど、ところどころで本当に重要な役割を果たしていて。"各楽器の魅力がたくさんある楽曲"というところも含めて、この曲が大好きです。

朱李:好きな曲は「運命の華」です。演奏が本当に楽しくて、バンドで練習していると、休憩時間でもみんな思わず弾き出しちゃうし、誰かが弾いているとそこに入っていったりするんです。でも、思い入れだと「心象的フラクタル」ですね。私も親バカみたいになっちゃうんですけど、beni-shouga(海老塚 智(Key)とルパが劇中で組んだ音楽ユニット)で作った楽曲なので。キーボードとベースが目立つので、ライヴで披露するのがすごく楽しみだなと思う楽曲でもあります。