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INTERVIEW

Japanese

SUIREN

2024年02月号掲載

SUIREN

Member:Sui(Vo) Ren(Key)

Interviewer:石角 友香

基本、歌とピアノで成立するものがいい――それが良ければいくらアレンジしてもいいし、良くなければ音を入れても良くはならない


-「escap-izm」はビートがまず耳に入る曲ですね。

Ren:これはもうノリですね(笑)。"カッコ良くね? このドラム・パターン"ぐらいの感じで。やっぱ6曲もあると、すべて"勝負曲"になると、お腹いっぱいになっちゃうんですよね。僕が結構そういうタイプで。これがシングルのベスト・アルバムだったらもちろんそれでも全然いいんですけど、6曲のEPってなるとお腹いっぱいにならない曲も必要だなっていうところで、「escap-izm」はそういう役割で作りました。

-ピアノ・リフがぐるぐる回り続けている感じとか、流し聴きしてもいいって言われてもやっぱり聴き込んでしまいますが。

Sui:意外とこれ流し聴きできないよね? 最初に聴いたときになんかぐるぐる回ってて、焦燥感を感じたんですよ。あんまり何も考えなかったんですが、それが歌詞にそのままなっているというか。

-曲の構造がループしているから歌詞との違和感がないのかもしれないですね。

Ren:歌詞との連動という意味でいうとそうかもしれないですね。

-物理として合ってるっていうか。

Sui:"物理として合ってる"って表現すごいカッコいい(笑)。SUIRENは、意味はあとからつけていくことが多くて、やっぱサウンドが何を言ってるのかみたいなことが重要だと僕は思ってるんですよね。世の中で流行りそうな言葉とかわかりやすい言葉ってあるじゃないですか? でもサウンドはそう鳴ってないなってどうしても思っちゃうことがあって、そこでRen君といろいろやりとりすることもあるんですけど。だから"物理的に合う"っていうのは今すごい腑に落ちた感じがして感動しました。

-それは良かったです(笑)。冒頭の2曲とは対照的に「room」という曲があって、SUIRENってもしかしたら歌とピアノだけで成立するのかなっていうのが。

Sui:まさに。

Ren:基本はそうですよね。僕はむしろ音楽って大概それが一番いいと思ってるんで。例えば弾き語りのシンガーさんであればアコギと歌だけのものが結局一番良かったりするみたいな。それは僕らで言うとピアノと歌なんで、それが良ければアレンジはいくらつけていってもいいに決まってるし、逆にそこが良くなければいろんな音を入れても良くはならないですよね。そういう意味では原点回帰というか、シンプルに作りました。

-Suiさんの歌詞も曲調に引き出された歌詞なのかなと。

Sui:そうですね。今までSUIRENってファンタジーというか、あんまり半径5メートル以内のこと歌ってないというか、概念とか人生観といったものを比喩して歌っていることがすごく多くて。でも「room」を作るときに、Ren君がこの『Reverse』のEPを作るうえでものすごい広いところから――宇宙の収縮みたいな話になっちゃうんですけど(笑)、膨張した世界観から一気に収縮したここまで表現しきりたいって話してくれて、"じゃあそういう曲が1個あったらいいよね"っていうところから「room」が送られてきたんです。Ren君の誰にも見せないであろう、曲を作ったり歌詞を書いたり、本を書いたりする人もみんなそうだと思うんですけど、ちょっと命を削ってやってる感じっていうのがやっぱあるじゃないですか。

-作っては壊し?

Sui:そうです。悩んでああだこうだって、その孤独な部屋をイメージして。で、Ren君もそういう世界観の中でもっとこうしたいって、ふたりで歌詞について一番ディスカッションをした曲ですね。

-そして流れを作るうえで「白雨」が効果を生んでいますね。

Ren:はい。これは適当ですね(笑)。適当っていうのはマイナスの意味じゃなくて、肩の力を抜いてフィーリングで作った曲。雨の音をかけて、いったんその世界に入るんですよ。で、そのあとに「Squalling」って曲が流れてくることを想像して。「room」って曲が終わって、要するに部屋の中で作業してて、そしたら雨が降ってきたっていう。雨の音をかけたときにサウンド・チェックじゃないですけど、その次のストーリーが始まるにあたってピアノで遊んで、以上! みたいな、本当ただそれだけなんです。だからテンポもなければなんの概念もなくて、適当に弾いただけで。ただサウンドメイキングだけはこだわってるんです。ピアノの音とかチェロの聴こえ方とか、それがすごい重要で、そうすることによってヨーロッパの中心街のマンションの一室から外を見たら、音大生ふたりがピアノとチェロのセッションをやってたみたいな景色がちゃんと曲から想像できるというか。

-このインストが「Squalling」への重要な入り口になっていると思います。そして「Squalling」は非常に重厚感のある曲で。

Ren:これもEPの結構早い段階でできてたんです。自分はすごい好きな曲ですね。

Sui:たしか「Eye Shadow」と「Squalling」から作ったんですよ。

Ren:こういう曲を今の時代にやるやつはいないでしょ? わかんないけど、あんまり聴かないのではないかな、最近のヒット曲の中だと。

Sui:「Eye Shadow」が"上品に狂っていこうぜ"っていうものだとしたら、「Squalling」はドシッとしたかったよね?

Ren:サビも結構胸で歌う感じにしたかったんで。

Sui:メッセージというよりも、こういうドシンとしたものを作ろうぜっていうところから始まったんですけど、イントロが入ってくると悲しく聴こえて、でも歌い始めでパーンって開けるじゃないですか。それが雨上がり感というか、まだ降ってるんだけど雲の隙間からきれいな太陽が見えてるみたいな、その心象風景のようなものを感じて、そこから歌詞を広げていきました。

-EPのタイトルが"Reverse"で、意味は"逆行する"ですけど、SUIRENは読みの"ぎゃっこう"は一貫してますよね。これまでも「バックライト」(2022年12月リリースのデジタル・シングル)という曲もありましたし。

Ren:ひとつ、テーマですよね。時代もそうですし、サウンドのトレンドもそうかもしれないですし。

Sui:逆らってるんですよね。

Ren:ははは。もっと言うと逆らってるつもりじゃなくて、自分たちにまっすぐという感じなんですね。あと、綴りは違いますけど"Rebirth"とかけていて、新しくSUIRENとして生まれ変わる、ここからまた始めるんだっていうメッセージも入ってます。

-そしてリリース記念ライヴ("SUIREN Major 1st EP「Reverse」Release Party")も2月にありますが、強力な顔ぶれですね。なぜCIVILIANとHello Sleepwalkersとの3マンに?

Ren:CIVILIANのコヤマ(ヒデカズ/Vo/Gt)さんとは他のアーティストさんのサポート・バンド・メンバーとして一緒にお仕事させていただいてて、この1~2年でグッと仲良くなりまして。僕自身は、CIVILIAN自体はそれこそLyu:Lyuやその前から知っていたんですね。いわゆる切り裂き系ロックじゃないですけど、あのシーンで言うと第一人者というか常に名前が出てくる存在だったし、SUIRENの音楽とそんなに遠くないよねっていうところで、身近なミュージシャン仲間にもなっていたので、ぜひ、ご一緒していただけたらな、ということで今回実現しました。

Sui:X のタイムラインとか、SNSを見ると"CIVILIAN×Hello Sleepwalkersの対バン観たい"っていうのが結構ちらほらありまして。観に来る人たちもアガってほしいじゃないですか。"SUIRENって誰?"って思ってる人もいると思うんですけど、それは別に当然どこ行ってもそうなんで。でもやっぱりイベントを組むときは対バン相手のファンの人たちが熱狂できたり、楽しんでもらえるようにしたほうが、普通に面白いなと思って。

-このEPでSUIRENに入る人にとって今年は目が離せなくなりそうですね。

Sui:今年は精力的にライヴをやっていきたいなと本当に思ってまして。コロナ期間に結成してるっていうのもあってなかなかライヴをやれてこなかったんですけど、今年はやれるだけやろうと思って、それも想定してこういうサウンドになってる部分も実はあったりするんです。せっかくこういう武器をふたりで作ったので、これをぶん回していろんなとこでライヴをやりたいなと思います。

SUIREN
RELEASE INFORMATION

メジャー1stデジタルEP
『Reverse』
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NOW ON SALE
¥1,222(税込)
[AVEX MUSIC CREATIVE INC.]

1. Eye Shadow
2. stella
3. escap-izm
4. room
5. 白雨
6. Squalling

配信はこちら


LIVE INFORMATION

"SUIREN Major 1st EP「Reverse」Release Party"
2月25日(日)東京 Spotify O-nest
OPEN 18:30 / START 19:00
ゲスト出演:CIVILIAN / Hello Sleepwalkers

[チケット]
前売 ¥4,800(オールスタンディング/整理番号付/D代別)
■一般発売中
詳細はこちら