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INTERVIEW

Japanese

SPECIAL OTHERS

2023年11月号掲載

SPECIAL OTHERS

Member:芹澤 “REMI” 優真(Key) 又吉 “SEGUN” 優也(Ba) 宮原 “TOYIN” 良太(Dr) 柳下 “DAYO” 武史(Gt)

Interviewer:石角 友香

リリースするものは"こういう曲です"というのを見せて、ライヴはアレンジが全然違う。そういうのが楽しいと思う


-フレージングが新しいっていう感じがしました。

宮原:そうですね。変拍子というか複合拍子のところがあったり、それでいてメロディアスなところもあるし。なんか"(魔法の天使)クリィミーマミ"のエンディング・テーマ観てたらすごいいい世界観だなと思って(笑)。そういうファンシーな気持ちで作りましたね。なんかクリィミーマミが月のベッドで寝てたような気がして。気がするだけなんですけど(笑)。

-そういう連想ゲーム大事ですね(笑)。

芹澤:おじさんが頭の中でそれ考えてるのなかなかの気味の悪さはあるけど(笑)。

宮原:でも今の時代にはない、すごい底抜けに前向きなファンタジーがあるんですよね。

芹澤:全然わかるよ。ちなみに俺は真逆の現実的な話なんですけど、スペインから取り寄せたFarfisaっていうヴィンテージのコンボ・オルガンを、結構高かったから絶対にどうしても使いたいって気持ちで「Fanfare」で使いました。元取りたいって気持ちで。コンボ・オルガンと言って、B3っていうハモンド・オルガンに対抗してイタリアの会社が作ったもので、昔のロックの人とかが結構使ってて。

-ハモンドに近い?

芹澤:ハモンドに近いし、あとVOX Continentalとかにも近くて、THE DOORSの......。

-Ray Manzarek?

芹澤:はい。あの音にも近いというか、あれのもうちょっと攻撃的な音ですね。

又吉:僕はやっぱ「Journey」が、久々にこういう感じの曲やったなっていう。開けてるようなイメージがあって。やっぱコロナ禍は内に向いてたような気がするんですよね。いろいろ曲を作る中でいい意味で内向きっていうことなんですけど、そういうのを前作でやったうえで、「Journey」みたいな開けた曲ができあがったっていうのは良かったなっていう感じですね。

-柳下さんは?

柳下:「Bluelight」はこのラインナップの中ではわりと疾走感があって、ちょっと若いときの気持ちというか、仮タイトルが"青春"で、そこからきてるぐらいなんですけど、なんか俺たちに残るわずかな青春の気持ちをちょっと入れたような(笑)。だからフレーズ的にもわかりやすくシンプルな部分も多かったりして、わりとパッションでやったつもりですね。

宮原:でも「Bluelight」は作るのに時間かかりましたね。いろいろメロディの絡みとか、ちゃんとするのにすごい時間がかかったというか。同時に、たしかにヤングの曲なんで、まだ俺たちにこれを求めてるかな? と思いながら作った曲ですね。そんな後ろ向きな感じでもないんですけど、自分たちもカッコいいと思ってもちろんやってるんですが、こういうヤングな曲みんなまだ好きかな? と思ってます。だからこれを読んだ読者の方は感想書いてください(笑)。

-この曲で"一発録りなんだ"と思ったんです。

宮原:あ、この曲はそうですね、一発です。しかもクリック聴いてないかもしれないですね。

-若干走ってる感じありますもんね。

宮原:ありますあります。今作、クリック聴かないでやろうと思ってたんですけど、途中から忘れて聴いてるんですよね(笑)。でも聴いてるテイクもやっぱいいなって思いました(笑)。右行ったり左行ったりして答えに辿り着くんですね、って思いましたね。

又吉:曲の特性みたいのがたぶんあるんですよね。クリック聴いて録るほうがこの曲には合ってるなとか、ないほうがこの曲は聴かせられるなっていうのが自ずと曲によってあるので、そういうのを感じ取って録ったと思います。

-ラストの「Thank You」は全部できてから作られたんですか?

宮原:最後の最後ですね。

-ライヴでソロ回しとかもしやすそうな曲ですね。

芹澤:結構このアルバムの曲は、全体的にそういうのがやりやすい曲が多い気がしますね。

柳下:今までは曲自体がもうセッション状態になってるのがCDに収められてたんですけど、今作に関してはこれがベーシックになって、これをアレンジしてライヴでセッションっぽくしていくっていうような状態で収録されてる感じになった気がしますね。

宮原:そういえば、最近曲に対する考え方が変わったんですけど、ものすごくジャムることってライヴだけで見せればいいやって思ったんですよね。で、リリースするものに関しては最小限の形を見せるというか、"こういう曲です"っていうのを見せて、ライヴで観たら全然アレンジが違ったみたいな。ライヴで観てるときに楽しいと思ったんですよね、長いセッションとかって。そういう気持ちの変化もあってこのサイズ感になっていきました。

-そしてツアー"Journey to SPE 「SPECIAL OTHERS Journey Release Tour 2023」"も始まりますけれども、前回("SPECIAL OTHERS ACOUSTIC TOUR 2023 CD付き!~極~")久しぶりにツアーで回られてどうでした?

柳下:ツアー自体はわりとコロナ明ける前からやってたんですけど、その中でどんどんお客さんの状態が変わってくるというか。マスクしてる状態から外れていったりお客さんが声を出すようになったり、そういうのを段階的に見たときに、やっぱりもとの状態が一番最高だよなって。

宮原:今年のツアーの最初は日比谷野音("SPECIAL OTHERS TOUR 2023")だったんですけど、そのときに結構歓声も上がってて、戻ってきたのを感じましたね。

柳下:やっぱり歓声が上がってくれると、僕らもセッションしたりするので、こっちの気持ちにもすごくそれが反映されるっていうのがあって、やっぱりないよりあったほうがいいなって思いました。

芹澤:出したいのに出せないって状態は良くないなって。やっぱりちょっと変わるんですよね。出したいのに出せない静かさと本当に聴き入ってる静かさって、なんでそれが伝わってるのかはわかんないですけど、わかるんですよ。その窮屈さっていうのはないほうがお客さんもいいと思うし、声出しても出さなくても楽しめるけど、出したい人は出せたほうがいい。恥ずかしい思いをする人がひとりもいない状況が一番いいですから。