Japanese
有馬元気
2023年09月号掲載
Interviewer:藤坂 綾
シンガー・ソングライターの有馬元気が1stメジャー・アルバム『宿命』をリリース。上京してからその才能が溢れ返って仕方がないという自身の言葉通り、全方向に振り切った全11曲からは凄まじいほどの自信が伝わり、その才能に対する喜びと満足感すら感じる。自らシナリオを書き、ディレクションを務めたというダブル・リード曲「挫折」と「憧れをずっと追いかけた」のMV撮影エピソードをはじめ、それぞれの曲に込めた想いと、このアルバムについてたっぷり話してもらった。
トレーラー、観てくださいました?
-もちろん、観ました。
あれ、ワイヤーで吊るしてるからめちゃめちゃ身体痛くなっちゃって。
-そうなんですか。
あれ、CGなんですよ。海に落ちていくようにするのに逆向きにぶら下がった状態で、ワイヤーで高くまで吊るして反転してるんです。最初はほんとに水に飛び込むかって話もあったんですけど、深さが絶対に足りないし、万が一のことがあったら怖いし、ルックスが保てないだろうということでCGになって。でも、「憧れ(をずっと追いかけた)」はほんとに飛び込んでるんですよ。実はあのトレーラー、あれで完結ではなくて「憧れ」に繋がってて。そういう意味で今回はMVもすごくて、「挫折」の撮影は雨に打たれすぎて高熱出すし、撮影中に絡まれてケンカが勃発するし、半分寿命削った感じです。
-「挫折」のMVはふじさんめっせで撮影されたそうですが。
ふじさんめっせを借りるところから始まり、物語を作っていくうえで、どうしても最後の主人公がトラックに轢かれるシーンがマストやったんで、その時点でCGとアクション部がつかなくちゃいけないということが決定し、予算がどんどん膨れ上がっていったりして。
-どういう作品にしようと考えてたんです?
これは、主人公の10年間を時系列で表現してるんです。バンドの演奏シーンはふじさんめっせにプールを作ってるんですけど、そのプールに20トンの水を井戸みたいなところから引っ張ってきて、わかりやすく言うと、洗濯機の水をお風呂から引っ張ってくるみたいな感じ(笑)。上から振ってくるシーンもあるから、朝の4時から5本くらいのホースで引っ張って。"挫折"っていうタイトル、実はメンバーからすごく反対されたんですよ。メインの曲でもあるし、リード曲にするにはネガティヴな言葉すぎるんじゃないかって。
-なるほど。
だから他のタイトルも考えてみたんです、20個くらい。でもどうしてもしっくり来なくて。夢は絶対叶う、みたいな音楽は僕にはできないんです。叶わないことのほうが多いと思うから。でも、じゃあそのなかでどう諦めずにいくか、どう立ち向かっていくかっていうことを描きたいという想いがあるから、本気であるのなら誰もが1度は通る挫折にしたいなと。諦めてしまうことだけが挫折ではないし、その手前でとどまれることもあるから、そういう意味でもやっぱりタイトルは"挫折"だなと。そこから、この主人公の10年間を描きたいなと思ったんです。大学時代、夢を追い掛けてキラキラしていたとき、周りに友達がたくさんいて、すべてが順調に思えてたときから始まり、だんだん"いつまで夢追いかけてるんだよ"って目で見られるようになって、自分のことを信じてくれる人がいなくなって、人間不信になり、幻覚を見るようになっていくっていう物語。ガラスの上を歩いてるシーンがあるんですけど、あれは彼の頭の中の世界で、三途の川みたいなものを表してるんです。自分はこのまま終わってしまうのか、どうなのかって彷徨ってる状況ですよね。実際には周りの友達も何も変なことは言ってないんですよ。"元気?"って話し掛けてるだけであって。
-すべて主人公の自信のなさからくる幻覚。
そうです。なので、主人公が相手の顔にバツをつけるシーンを作りたくて。
-それはどういう意味でですか。
自分は間違ってないっていう意味で。もうコンプレックスの塊なんですよ。現実以上に自分は認められてないと思っていて、自信がなくて仕方がない。全員の顔にバツをつけていくシーンがあるんですけど、あそこはすごくきれいな世界観で、こだわったところですね。そこからラストに向かい、自分の頭の世界が最後のあの道に繋がって、"あれ、なんか光が見える"と思ったらトラックだったっていう設定。そしてあの最後のシーンをきっかけに彼は全部ふっ切れたっていうことなんです。最後に主人公がふたり映ってる場面があるじゃないですか。
-はい。
あれは、10年前の彼と現在の彼で、現在の彼が、風貌は違うけど、また昔の頃と同じ夢を追い掛ける顔に戻ったっていうことを描いてるんです。もう1度頑張ろうって。
-なるほど。
僕は、こうすれば大丈夫だよっていうメッセージを残したいんではなくて、これを観て、なんかわからんけど自分も立ち向かってみようって気持ちになってほしいし、諦めるポイントがほんとにそこでいいのかを考えてみてほしいなと思って。まだ何かやれることがあるんじゃないかとか、視点が違うだけで、自分が思ってるような世界ではないんじゃないかとかね。もちろん現実は厳しいよっていうこともたくさん含んではいるんですけど、それでも最後の"負けないから"、ここにすべてを込めた曲になってます。
-"挫折"っていうタイトルも、この最後の"負けないから"も有馬さんらしいなと思いました。
ありがとうございます。1曲目から11曲目までちゃんとストーリーがあって、この「挫折」から始まり、それでも最後は「憧れをずっと追いかけた」っていうところで終わるように、頭と最後をこのダブル・リードで挟むっていうのは最初から決めてたんです。みんなにも憧れを追い掛けてほしいという想いを込めて。
-「憧れをずっと追いかけた」のMVはすごく幻想的でした。
これは僕の頭の中の世界なんですよ。夢を持った人、夢なんて信じてない人が、僕のその頭の中のありもしない空間に集まってきて、そこでだんだん夢を信じ始めるっていうストーリーで。葛藤してる様子もありながら、曲が進むにつれて人が動き出して、最後にはみんなが生き生きしてくるっていうのを幻想的に描きました。
-貼ってある写真は?
これは僕の小さい頃からの写真です。400枚くらい貼られてますね。
-トレーラーから繋がってるとおっしゃってましたが。
トレーラーは最後地底に落ちて、ここまで頑張ってきたけど、ここまでかなって諦めるかのように目を閉じるんですが、この「憧れ」でも沈んでいくシーンがあるじゃないですか。
-はい。
あそこも、結局ダメやったなってことなんですけど、その諦めたときに誰かに手を引っ張られて助かるんです。諦めかけたそのとき、お前はまだそこで諦めるべき人ではないよって。ただ、助けてくれた人が誰かはわからない。これは観てくれた人には自分のことを支えてくれてる人、想ってくれてる人を連想してほしかったし、そういう人が身近にいるんだよってことを伝えたかったから。だから、あえて誰かはわからないようにしてます。
-短編映画を観たような感覚になりますね。実際アルバムもひとつの物語のようになってるし。アルバム・タイトルを"宿命"にしたのは?
これもいろいろ意見が多くて、母からも"「宿命」っていうのはもう決まってるっていうことなんだよ。もうダメだと思ったん?"って反対するようなLINEが来てたんですけど、"いや、違うよ"って。今うまくいってないこともたくさんあるし、嫌なこともたくさんあるけど、それも全部込み込みで最後に俺は売れるっていうことがわかってるから"宿命"って付けたんだよって。今起きてることも全部予想内の範囲やし、それでも俺は最後には絶対売れてるから、今はただそれを辿っていってるだけだって。
-あー、なるほど。
全員が平等に同じだけ売れるとは思ってないですけど、売れる人はひとりではないと思うんです。ある程度選ばれた人間、例えば100人中3人、いや、1万人中3人かな、それくらいはいると思ってて。ただ、その中で各々に与えられた試練があって、そこを越えれたとき3人とも売れると思うんです。その試練を越えられないから売れてないっていうだけで、要はチャンスを逃してる人がこの世の中には多いんですよ。今自分に与えられた状況をクリアすることで売れるんだったら、僕はちゃんと売れる人間だということがわかってるから、"宿命"っていうタイトルを付けました。僕が中二病で終わるか、有言実行で終わるか、その2択に迫られてるタイトルでもあるし、そこは自分にも課せようかなと。めっちゃかっこいい言葉やし、漢字2文字ってかっこいいじゃないですか。
-かっこいいです。インパクトあるし。
ですよね。あとは本気で思ってるしっていうところでもあって、自分にはそういう自信と信念があるよっていうことなんです。メンタル弱いし、ネガティヴなところもあるけど、それでもそこだけは揺るがないよって気持ちですね。自分の楽曲はサブスクのトップ10に入るアーティストにも全然負けてないっていう自信もあるし、今回のアルバムはヤバいと思ってて、ヤバいって語彙力ない人みたいやけど、ほんとヤバくて。
-はい(笑)。
上京して、そんな劇的に強くなることなんてないと思ってたし、そんなに変わることもないとは思ってたんですけど、東京に来てから、ただ東京に住むだけで、僕の才能が溢れかえっちゃったんですよ。東京に出てきてまずできた曲がこの「挫折」と「憧れ」だし。
-えー、そうだったんですか。
そう、だからこれはもうきたなと思って。ただ東京に来ただけなのに、俺めちゃくちゃ成長してるじゃんって。正直不安もあったし、怖い気持ちもあったんですけど、このままじゃ終われないっていう覚悟もあったし、支えてくれてる人たちの顔も浮かんだし。そういうのがあったからここまで来れたし、ここまでの変化もあったのかなって。
LIVE INFO
- 2025.01.21
-
片平里菜
終活クラブ
Homecomings
WurtS
SUPER BEAVER
PEDRO
- 2025.01.22
-
ASIAN DUB FOUNDATION
WurtS
ずっと真夜中でいいのに。
シノダ(ヒトリエ)
SVEN(fox capture plan)
go!go!vanillas × NEE
RAY
アイナ・ジ・エンド
BRADIO
米津玄師
- 2025.01.23
-
終活クラブ
ずっと真夜中でいいのに。
a flood of circle
小山田壮平 / kanekoayano
ヤバイTシャツ屋さん
ASIAN DUB FOUNDATION
米津玄師
暴動クラブ / 板歯目 / M.J.Q(山本久土+クハラカズユキ)
- 2025.01.24
-
片平里菜
東京初期衝動
ザ・シスターズハイ
終活クラブ
Homecomings
夜の本気ダンス
ego apartment
LEGO BIG MORL
神聖かまってちゃん
かりんちょ落書き
ハシリコミーズ
MONO NO AWARE
くるり
Ivy to Fraudulent Game
THE YELLOW MONKEY
RAY
Wez Atlas
- 2025.01.25
-
片平里菜
ブランデー戦記
女王蜂
BLUE ENCOUNT / UNISON SQUARE GARDEN / ヤバイTシャツ屋さん / フレデリック ほか
Helsinki Lambda Club
SpecialThanks
ストレイテナー
上白石萌音
the paddles
bokula.
HY
SCOOBIE DO
Umisaya
ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ
Dear Chambers
sajou no hana
Aimer
あいみょん
め組
IDLES
かすみん(おこさまぷれ〜と。)
神聖かまってちゃん
Czecho No Republic
GOOD BYE APRIL
フラワーカンパニーズ
パピプペポは難しい
Rhythmic Toy World
眉村ちあき
Mega Shinnosuke
サカナクション
Hedigan's
kobore
tacica
9mm Parabellum Bullet
Cloudy
- 2025.01.26
-
マリンブルーデージー
ASP × ExWHYZ
[Alexandros] / キタニタツヤ / マカロニえんぴつ / Creepy Nuts / ヤングスキニー ほか
Helsinki Lambda Club
THE BACK HORN
SpecialThanks
ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ
the paddles
ストレイテナー
HY
上白石萌音
SCOOBIE DO
SILENT SIREN
夜の本気ダンス
東京初期衝動
Homecomings
アイナ・ジ・エンド
Dear Chambers
Mega Shinnosuke
崎山蒼志
Bye-Bye-Handの方程式
CYNHN
Aimer
あいみょん
I Don't Like Mondays.
フラワーカンパニーズ
tacica
琴音
Lucky Kilimanjaro
ADAM at
LEGO BIG MORL
篠塚将行(それでも世界が続くなら)
サカナクション
阿部真央
Bubble Baby
- 2025.01.28
-
マリンブルーデージー / かたこと
the HIATUS
WurtS
米津玄師
SUPER BEAVER
ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ
the quiet room / Maki
安藤裕子
- 2025.01.29
-
THE ORAL CIGARETTES
the HIATUS
Saucy Dog
米津玄師
Hakubi
君島大空
Appare!
Helsinki Lambda Club
ポルカドットスティングレイ
ネクライトーキー
- 2025.01.31
-
ビレッジマンズストア
神聖かまってちゃん
LEGO BIG MORL
UNISON SQUARE GARDEN
KNOCK OUT MONKEY
Wez Atlas
くるり
ザ・ダービーズ
インナージャーニー / 板歯目 / Apes ほか
ヤユヨ
WANIMA × MONGOL800
TYCHO
Aooo
AYANE
9mm Parabellum Bullet
小林私 / Redhair Rosy / INF ほか
Halujio
the telephones
Bye-Bye-Handの方程式
- 2025.02.01
-
あいみょん
Hedigan's
ストレイテナー
ASP × GANG PARADE
夜の本気ダンス
I Don't Like Mondays.
ブランデー戦記
女王蜂
WONK
WurtS
the telephones
bokula.
GOOD BYE APRIL
SILENT SIREN
"でらロックフェスティバル 2025"
ADAM at
片平里菜
wacci
kobore
sajou no hana
CYNHN
OKAMOTO'S
Kroi
Aimer
"BAYCAMP 202502"
清 竜人 / 清 竜人25
9mm Parabellum Bullet
- 2025.02.02
-
あいみょん
四星球
bokula.
ExWHYZ × KiSS KiSS
LEGO BIG MORL
Laura day romance / XIIX / レトロリロン
I Don't Like Mondays.
Keishi Tanaka
ブランデー戦記
Panorama Panama Town
ラックライフ
"でらロックフェスティバル 2025"
CYNHN
ひめかのん(おこさまぷれ~と。)
片平里菜
ANABANTFULLS
DIALOGUE+
怒髪天
崎山蒼志
上白石萌音
浪漫革命
- 2025.02.03
-
マカロニえんぴつ
- 2025.02.05
-
マルシィ
ザ・シスターズハイ
the HIATUS
サカナクション
くるり
WurtS
"Road To 革命ロジック2025"
RELEASE INFO
- 2025.01.22
- 2025.01.24
- 2025.01.25
- 2025.01.28
- 2025.01.29
- 2025.01.31
- 2025.02.01
- 2025.02.05
- 2025.02.07
- 2025.02.10
- 2025.02.12
- 2025.02.15
- 2025.02.19
- 2025.02.26
- 2025.02.28
- 2025.03.01
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
ヒトリエ
Skream! 2025年01月号