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INTERVIEW

Japanese

鈴木みのり

2022年06月号掲載

鈴木みのり

Interviewer:宮﨑 大樹

"マクロスΔ""ウマ娘 プリティーダービー""アイドルマスターシンデレラガールズ"と、ライヴ・イベントを有するアニメ/ゲームのコンテンツなどで目覚ましい活躍を見せる声優/シンガーの鈴木みのり。前作『サイハテ』(5thシングル)でロックな新境地を見せたと思わせたばかりの彼女だが、今回はさらにロック色を強めた新曲「BROKEN IDENTITY」を完成させた。現在放送/配信中のTVアニメ"勇者、辞めます"OPテーマに起用された同楽曲を表題に据えた6thシングルに迫る。

-"マクロスΔ"や"ウマ娘(ウマ娘 プリティーダービー)"といった巨大コンテンツでの活動をしつつ、それ以外でも声優活動もあり、さらに自身のCDリリースと大活躍でお忙しそうですね。

そんなことないですよ! ただ、ライヴがあるコンテンツに出させていただくことが多いので、ライヴの時期が被ると大変な感じはあります。4月初頭に"ワルキューレ"("マクロスΔ"内ユニット)と"アイマス"("アイドルマスターシンデレラガールズ")の大きいライヴがあったので、"アイマス"が無事終わったら次の日から"ワルキューレ"に頭を切り替えて、"ワルキューレ"が終わったら次は5月の"ウマ娘"のライヴに頑張って頭を切り替えていました。大変ですが、楽しいのでありがたいです。

-充実しているようで何よりです。前回Skream!で『サイハテ』について取材した記事(※2021年11月号掲載)の見出しに"ロックな新境地"と書いていたんですけど、"これは今回に取っておけば良かったな"と思える、さらにロックな新曲「BROKEN IDENTITY」が完成しましたね。

そうですね(笑)。私も、取材していただくと聞いて、今作のほうがよりロックだなって思いました。

-「サイハテ」以上にゴリゴリのロックで驚きましたよ。まさかこういう方向性で続いていくとは。

『サイハテ』をリリースするタイミングでは、まだこの曲には出会っていなかったんです。なので、本当に不思議なものだなぁと思っていました。

-「サイハテ」でロックな曲を歌って、リリースをしてみて、手応えはどうでした?

それまではかわいい系統の楽曲が多くて、自分のそういう要素を好きだと言ってくれる人はもちろんいるんですけど、「サイハテ」では歌声自体を褒めてくださる方が多かったんです。楽曲で魅せていく感じ、歌で魅せていく感じがすごくいいと言っていただいて、嬉しかったですね。

-結果的に「BROKEN IDENTITY」は、そんな「サイハテ」のロック色をより濃くしたものに仕上がりました。

「サイハテ」では、ロックなサウンドを自分の声色でも表現できている感覚が自分の中にあったんですけど、より激しい「BROKEN IDENTITY」では、声を張って、突き抜けていくような歌い方をしているんです。そうなると、自分の声と合っているのかなという不安はあって。でも、アニメがオンエアされてオープニングを聴いてくれた方の反応が自分の思っていた以上に良くて、"この方向性も受け容れていただけるんだ"という気持ちになりました。想像以上に、いい一歩を踏み出せました。

-今までにない歌のアプローチがあったんですね。

そうですね。幼い頃、ロックな印象の強いLiSAさんや、アニソンを歌われる有名な方の楽曲を聴いて歌って練習していたので、当時聴いていた曲を改めて聴き直したりして、表現の引き出しを増やしてレコーディングに挑みました。

-言われてみると、パワフルな歌唱はどことなくLiSAさんを彷彿とさせます。

本当ですか? LiSAさんとか、KOTOKOさんの雰囲気に似てると言ってくださる方がいて。自分がその年代のアニソンをすごく聴いていたので、嬉しかったですね。

-そんな「BROKEN IDENTITY」は、TVアニメ"勇者、辞めます"のOPテーマです。

ディレクターさんだったり周りのスタッフさんだったりが"勇者、辞めます"のオープニングとエンディングを誰にしようかと話したときに、どちらかというと日常系の雰囲気の曲を思い浮かべていた気がするんですね。私がスタッフさんに選んでいただいたのも、明るい曲が多いからとか、そういうイメージだったと思うんです。でもこのアニメは、日常系のパートから、どんどんハードな内容になっていくんです。アニメの監督が見ていた世界というのは、そのハードな後半のほうだったみたいで。なので自分自身も挑戦でしたし、スタッフさんもこの方向に舵を切るときにすごく勇気が必要だったと思うんですけど、結果的にとってもロックになりましたね。

-アニメの3話まで観てきたのですが、あの日常系っぽい感じからシリアスな方向に行くんですね。

そうなんです。私も原作小説の第1巻を読ませていただいて、表紙やアニメのキーヴィジュアルの雰囲気だと、やっぱり3話までの印象がすごく強くて。(インタビューが公開される)6月の時点だと、物語も後半になってきていると思うので、みなさんビックリしていると思います。

-アニメ前半ではコミカルにお話が描かれていますけど、設定自体はもともとシリアスでしたよね。強すぎるために人間の国から追放されたという、主人公のバックグラウンドが楽曲の世界観に合っていて。

歌詞もサウンドも、監督と何度もやりとりして作っていただいていたので、特に歌詞は主人公のことを考えざるを得ないなぁと思います。

-曲の制作については、鈴木さんも何かしらの形で関わっていたんですか?

制作の状況をディレクターさんに聞くとか、仮歌で歌わせていただくとか、そういう感じでした。仮歌を何回かレコーディングしたんですけど、本番のレコーディングまでに歌詞が何度も変わっていって、本番で初めて歌う歌詞もありました。それぐらい、ギリギリまで詰めていただきました。

-試行錯誤を繰り返して完成したんですね。楽曲は、間奏の変拍子などドラマチックな展開も聴きどころで。フル尺だとさらに聴き応えがあります。

Mao Yamamoto(作編曲)さんが、"ロックと言えば"な方々に演奏をお願いしてくださったんです。なので、この曲がなかったら関われなかったかもしれないプレイヤーのみなさまに演奏していただいていますし、ストリングスも本当に豪華で。歌だけじゃなく、楽曲全体を通して聴いていただけたらなと思います。

-レコーディングには作編曲のMao Yamamotoさんと、作詞のnana hatoriさんが立ち会ってくれたそうですね。

そうなんです。こういうハードな曲ならではの音の取り方とか、細かい部分もディレクションしてくださいました。かなり体力の要るレコーディングでしたね。そのうち筋肉の筋が切れるんじゃないかというくらいお腹を使って歌っていたので、喉はまだまだ元気だったんですけど、これ以上歌うと体力が......みたいな感じでした。

-ディレクションで特に印象に残っていることはなんでしたか?

"生きて生きて 生き尽くせ"という、頭とサビに出てくるワードがすごくキャッチーな部分で、ここのMaoさんのこだわりがすごかったです。自分自身も"ここはカッコ良く魅せないと、この曲がカッコ良くなりきれないな"というのがありました。このフレーズだけで何回やったんだというぐらい歌いましたね。この"生きて"の"イ"の高さを頭から急に出すってかなり難しかったです。ライヴでどうするんだろう(笑)。

-まだ人前で披露してないですもんね。

きっとリリース・イベントが初披露になります。あとは、フェスとかでも歌えたらいいなと個人的には思っていますね。生で歌ったらより気持ちが入るんじゃないかなと感じています。