Japanese
鈴木みのり
2022年06月号掲載
Interviewer:宮﨑 大樹
自分がアーティストとして歌ったときに、鈴木みのりを1回忘れて、曲の世界観を楽しんでもらいたい
-そんな表題曲をロックな方向に振り切って、カップリングの2曲はまた違う方向に仕上がりましたね。
表題曲は「BROKEN IDENTITY」なんですけど、今回の3曲は、どれが表題曲でもいいくらいの気持ちで作っていただいたんです。「リップ」という曲は、私がキャラクターソングでお世話になったすりぃさんというボカロPの方にお願いしました。カップリング曲で恐れ多いくらいの気持ちでしたね。
-すりぃさんの楽曲については、鈴木みのりさんが歌った「限りなく灰色へ」のカバー動画が100万回再生を超えていますね。
すりぃさんの楽曲自体の人気もありますし、自分が"東雲絵名"という役で参加している"プロジェクトセカイ(プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク)"のコンテンツの大きさもあって、すごく盛り上がっています。私の動画も100万回再生されたんですけど、すりぃさんが投稿した鏡音レンが歌う「限りなく灰色へ」は先日1,000万回再生されていてたんです。最近のネット文化を代表する作家さんのおひとりだといちファンとして思います。
-すりぃさんにカップリング曲をお願いすることになったのは、まさにそのカバー動画の反響を受けてですか?
もちろんそれもあるんですけど、「限りなく灰色へ」は、キャラクターの性格も相まって、自分の感情を前に出して歌うのがすごく楽しかったんです。それと、すりぃさんの楽曲が自分に合っている気がしたという自分の感覚もあって、絶対ご一緒したかったんです。あとは初めてお話した際、すりぃさんが"実は「マクロスΔ」を観ていて、「一度だけの恋なら」(オープニング・テーマ)を聴いて、すごく音楽的に感銘を受けた"というようなことを言ってくださったんです。それを聞いて、何かご縁がある方なのかなと感じていました。
-「リップ」の制作はいかがでしたか?
すりぃさんが楽曲提供してくださるときの制作スタイルとして、"どんな曲にしたいですか?"、"それを作るにあたってここまではOKですか?"、"逆にここから先はダメとかありますか?"とか、細かく30分くらいお話をさせていただくんです。"こんなに話したら、私の頭の中で曲がイメージできちゃいそうだ"というくらいお話させていただいて。それでも私の予想をいい意味で裏切ってくださる楽曲のタイプでビックリしました。
-そんなやりとりがあったんですね。
すりぃさんとディレクターさん、それと私でのリモート打ち合わせだったんですけど、すりぃさんが"「中指立てて」とか、そういうのはダメですか"と言っていて(笑)。そのときは"カッコ良ければ"とか話していたんですけど、その質問が面白いなって思いました。そこまで気にしてくださるんだという驚きでしたね。とっても丁寧な方で......!
-そうやって、攻められるところまで攻めた結果、ちょっぴり官能的な大人の恋愛ソングに仕上がりましたね。
最初にワンコーラスを聴かせていただいたんですけど、すごく意外でした。自分の今後挑戦していきたいテーマのひとつは、"聴いているときにあまり鈴木みのりを浮かべてほしくない"ということ。そのための1歩として、今までのイメージにあまりない恋愛の曲を、とお願いしたんです。あとは、何かマイナスな感情を吐き出すイメージでというふうにお伝えしていたので、バンド・サウンドな楽曲が仕上がってくるのかしらなんて思っていたら、想像以上に大人っぽくセクシーな感じで。でも重たすぎないダンス・チューンで意外でした。
-こういう楽曲は、これまであまり歌ってきてないのでは?
そうですね。イメージの殻を破りたいというか、そういう反抗期――反抗期ではないですけど(笑)、反抗したいなぁというのもあって。"ファンの方がビックリしちゃうくらいで全然大丈夫です"、"驚かせるくらいやってください"みたいなことを言っていたんですけど、まさかここまで大人になるとは思わず(笑)。
-(笑)"鈴木みのり像"みたいなものを壊したい願望があるんですか?
そこまではないんですけどね。10代後半、デビューして間もないときはかわいい曲が多かったりしたので、そろそろ次のやり方をしてもいいのかな、と思って。ただ、こんな大人な歌を歌っても、きっとあか抜けない部分はあると思うんですけど......いい意味で言うと素朴ですかね(笑)。自分の感覚ですが、私は好きなアーティストの曲を聴いているとき、歌っているご本人を思い浮かべるというよりかは、自分自身の日常生活での出来事とか、自分の中に新しい登場人物を作って聴くことがすごく好きで。
-はい。
自分がアーティストとして歌ったときに、ファンの方が私の曲を聴いて、"みのりちゃん、かわいいなぁ"、"みのりちゃん、こういう気持ちなのかなぁ"という当てはめ方じゃなくて、鈴木みのりを1回忘れて、曲の世界観を楽しんでもらいたい気持ちがあって。そういったメッセージを込めて、楽曲自体の世界観に没入できる楽曲を制作していったら、もしかしたらそういうふうに聴いてくださる方も増えていくかなと思ったんです。そういうことが大きいですね。
-振り幅という意味では、過去のMVがフル・バージョンで公開されたばかりですけど、デビューのころから観返すと結果的にものすごい振れ幅になりましたよね。
そうですね。それはやっぱりありがたいことですし、曲に合わせて自分も成長していけたらいいなって。来る曲に見合う自分に、内も外もなっていかなきゃなと思います。
-ただ、その一方でライヴのセットリストを組むのが難しそうではあります。
難しいです。このシングルの特典にもなるんですけど、去年やったライヴのときでさえ、もうすでに悩んでいました。ここに「BROKEN IDENTITY」が加わるとなると、1曲だけすごくカッコいいテイストになるので、どこに持っていけばいいか悩みますね。
-「BROKEN IDENTITY」をきっかけに、これからカッコいい曲が増えていくかもしれないですね。
そうですね。それはみなさんからの「BROKEN IDENTITY」の感想を見てより思いました。
-カップリングの話に戻すと、3曲目が「ときめきの時空と林檎」です。80年代テイストなアレンジ楽曲を作り出す"無果汁団"のサウンド・プロデュースということで。鈴木さんが80年代にタイム・トラベルしてアニソンを歌ったらこんな感じなんだろうなと。
そんな気がします。タイトルから懐かしい感じなんだろうなとわかるのがすごいですよね。「BROKEN IDENTITY」、「リップ」、前回の「サイハテ」も含めて、今までの私のイメージから遠ざかっている楽曲が多かったので、デビューから応援してくださっている、そのときの自分を好きでいてくださる方を置いてけぼりにしたくないね、ということでポップな楽曲を作りました。80年代感のある楽曲が好きなディレクターさんの推薦もあり、ぜひと言って無果汁団さんにお願いしました。それで、ディレクターさんがご連絡したときに、どういう曲を作っていくかもまだ確定していなかったんですけど、無果汁団さんが張り切ってくださって、私のプロフィールを調べたうえで、私をイメージしたデモ楽曲をすぐに作ってくださったそうで。とても嬉しかったですね。
-80年代って、鈴木さんはまだ生まれていない時期ですよね。
そうなんですよ。80年代はまだ生まれていないくせに、懐かしい感じがありましたね。生まれは97年ですけど、80年代くらいのアニメを再放送とかで観ていたので、ちょっと昔の気持ちになりました。とにかく明るく、かわいくというのは意識して歌ったんですけど、そういう曲が久々だったので、楽しくなって、張り切って歌っていましたね。
-SF的、ファンタジー的な歌詞で、"時空"は"マクロス"、"林檎"は"みのりんご(鈴木の愛称)"をイメージさせますよね。そういうところからインスパイアされたんだろうなと。
それはすごく感じました。『上ミノ』(2020年リリースの2ndアルバム)にacane_madderさんが作ってくださった「gloria」という曲があって、その曲は、ファンの方が思っている"鈴木みのり像"なんだろうなという感じがするんです。この「ときめきの時空と林檎」も、その感じがあったので、ファンの方の期待に応えるような曲なんじゃないかなと思います。
-3曲についてお話を聞いてきましたが、改めてシングル全体としての仕上がりはいかがですか?
かなりカラフルな1枚になったなと感じますね。ジャケットで着ている衣装のような、原色のものがドーンと3つという感じがしました。みなさんのお気に入りの1曲を選んでいただきたいです。それがきっと、また自分の活動の糧になるんじゃないかなと思います。
-お気に入りの曲は分かれそうですね。
そうですね。シングルをリリースするたびに、カップリング曲も表題曲に負けていないくらい人気なんです。
-ちなみに、早期W予約特典がバンダナなんですよね。ロック=バンダナという、なんともステレオタイプな特典で(笑)。
そうなんです(笑)。「BROKEN IDENTITY」がロックだよね、というのは共通認識だったんですけど、スタッフさんの中では"ロックと言えばバンダナだよね"というのがあったらしくて。私の年代だとそれは共通認識じゃないんですけど(笑)、なんか納得して、バンダナになりました。デザインはみなさんと相談して決めました。
-男女で使えるデザインなんですよね。
そうですそうです。まさかのバンダナだったので、自分のレギュラーラジオでもおススメのバンダナの使い方をみなさんにプレゼンするコーナーをやったりして。いつもと違う盛り上げ方をしています(笑)。
-そういう面白み、遊び心も鈴木さんの魅力のひとつだとは思います。
それが私なのか、私のスタッフさんなのか、わからなくなってきたところがありますけどね(笑)。
-(笑)さて、シングルの表題という意味では"カッコいい鈴木みのり"が続いた感じはあるんですけど、次回作はどんなものを作っていきたいですか?
楽曲はご縁だと思っているので、こういう自分をやりたいなと思いつつ、それに反したものが来たりとか、逆にそれに寄り添ったものがきたりとか、タイアップの作品によってではあるんです。タイアップの作品が引っ張ってくださる感じがするので、それに乗っていきたいなと思いつつも、やっぱり自分の年齢と精神にも沿った歌を歌っていきたいなぁというのはあります。言葉に重みがあって、しっかり歌いこなすような楽曲を歌っていきたいと思います。
-前作で作詞作曲をしていたので、また鈴木さんの作る曲を聴きたいファンの方も多いと思います。
やりたいです。その想いはすごくありますし、作り始めたからこそ、いろんな楽曲の作り手の視点も考えるようになりました。時とともに自分の考え方や心持ちも変わっていくので、そういうものを残す意味でもやっていきたいですね。
-シングルが続くとまとまった作品にも期待です。
いつかアルバムも出せたらと思っていますが、どんな方と一緒に音楽を作っていこうかなぁと、考えるだけでワクワクします。
-作品が出るたびに、次はどんな"鈴木みのり"を見せてくれるのかと、楽しみにさせるアーティスト性をお持ちだと思います。
ありがとうございます。引き続きそんな私でいたいなと思います。
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