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INTERVIEW

Japanese

she9

 

she9

Member:なみだじゅり(Vo) AMI(Gt) yuzu(Ba) 苑(Dr)

Interviewer:秦 理絵

"聴いてくれる人を驚かせられるようなことをやっていきたい"。以下のインタビューでメンバーが口にした言葉だ。12月17日にリリースされた、4人組Z世代ガールズ・バンド she9の配信シングル『ハイファイハハイファイ / Dolly』は、まさにそんなバンドのエンターテイナー的なスタンスが体現された1枚になった。「ハイファイハハイファイ」は、ライヴで盛り上がること必至のポップでロックな遊び心が凝縮されたナンバー。一方、ダークでミステリアスな「Dolly」では恋愛の狂気的な一面が表現されている。このタイプの異なる2曲こそジャンルにとらわれないshe9の真骨頂だ。今年、ドラマ主題歌「最強★ピース」と、TikTokでバズった曲「BPM」で配信デビューを果たし、今急成長を遂げているshe9に、2021年を振り返りつつ、新曲のこと、2022年への想いなどたっぷり語ってもらった。

-Skream!では5月に配信リリースした「最強★ピース」と「BPM」以来の取材になります。少しずつライヴをやれる状況になってきましたね。

AMI:だいたい月に2、3本はやれるようになってきました。

-最近のライヴの手応えはどうですか?

AMI:前と比べてお客さんも増えてきたなって思います。ライヴハウス自体にもお客さんが戻ってきてるなって。「最強★ピース」とか振付のある曲をみんなが踊ってくれてるのを見ると、うわぁ、楽しいなぁって思うんですよ。戻ってきてくれて良かったなって。

-もともとライヴで振付をしたいっていう想いで作った曲ですもんね。

yuzu:前は"手を上げて"って言ったら、手を上げてくれる感じだったんです。でも最近はお客さんが自ら上げてくれるようになって。それがすごく嬉しいです。

苑:"どうしたらもっと楽しんでもらえるかな?"とか、メンバーと話し合ったりもしたんです。コロナの前は自分のことでいっぱいいっぱいなところもあったんですけど、今はみんなを楽しませようっていう気持ちが自分の中で大きくなってますね。

yuzu:ライヴをするたびに成長していけるバンドになりたいなって思うんですよ。もっといろんなところでライヴをしたいですし、大きい会場でライヴをしたいなっていう想いも日々増えてるんです。

じゅり:この前、大阪で初遠征できたのも嬉しかったよね。

-どこでライヴをしたんですか?

じゅり:ミナホ("FM802 MINAMI WHEEL 2021")です。

苑:FANJ twiceっていうハコだったんですけど、すごくお客さんが入ってくれたんですよ。最初に幕が下手のほうからシュッと開いたときに、ぶわってお客さんが限界まで......あのときは50パーセントのキャパ制限があったと思うんですけど、いっぱいまで入ってくれてたのが見えたんです。もうそこに感動してしまって。後ろのほうまでみんながノってくれてるのも見えて、すごく嬉しかったです。

-そもそもshe9は結成直後にコロナ禍になってしまって。ライヴができないぶん、TikTokで曲を広めようっていうことで投稿を始めたわけじゃないですか。それがようやくまたライヴハウスに戻れて、しかも遠征もできて。本当に良かったです。

じゅり:はい、バンドをやってるっていうのを実感してます。

-そんななか、8月に配信リリースした「トライミライ」(デジタル・シングル『トライミライ / どうだっていいよ』収録曲)はどんな想いで作った曲だったんですか? 「最強★ピース」とか「BPM」とはまた違うshe9の魅力を感じました。

AMI:最初に台本を読ませていただいたんですよ。それで青春っぽいなっていうのを感じがしたので、それを音に出せたらいいなと思ったんです。エモーショナルで、疾走感あふれる曲にしたいなっていうイメージを持ってアレンジをしましたね。

じゅり:この曲はドラマ("家、ついて行ってイイですか?")の主題歌だったんですけど、それがひとつの物語ではないんですよ。いろいろな物語が組み合わさっている。だから、どの話にも当てはまるけど、あまりにも漠然としないようにっていうのを意識してて。

-どの物語にもあてはまるものというのは?

じゅり:メッセージ性としては、サビで"走って 走って"って歌ってるように前に進んでほしいっていうところですね。ただ、ドラマの物語的にも、"いけ! いけ! 頑張れ! 頑張れ! というより、もっと奥にある葛藤や、もがいてるところを描いてたので。そういった苦しい部分も受け入れて少しずつ進んでいこうっていうことを書いたんです。

-この曲もすでにライヴで演奏してますよね?

苑:ライヴでやると、イントロのギターでみんながワーッとなるんです。で、そこから手拍子がくるんですね。それは作ってるときから想像してたことというか。

じゅり:ライヴができない時期でも、私たちはライヴでやる前提で曲を作っていきたいっていうのがあるからね。"走って 走って"っていうサビの部分も、みんなで歌ってもらうのをイメージしながら、作ったっていうのもあったり。

苑:今は声を出せないけど、また声を出せるようになったら、そこもみんなに歌ってもらいたいです。

yuzu:今この曲はライヴで必ずやってて。さっき言った大阪の"ミナホ"でもやったんですよ。そこですごくたくさんの方がノってくれるのを見て胸が熱くなりました。もっとこういうふうにみんなで楽しめる曲をたくさん作りたいなって思いましたね。

-なるほど。今回リリースされた最新曲「ハイファイハハイファイ」も、またライヴがイメージできる曲ですね。タイトルはバンド名の候補になった言葉だそうですけど?

じゅり:はい(笑)。本当にバンド名を悩みに悩んでたときで。池袋のカフェでね?

AMI:うん。

じゅり:沈黙の中でポツリと喋りながら"どうしよっか......"って頭を抱えて話してたときで。私が言ったんだよね?

AMI:じゅりが急に"ハイファイハハイファイ"ってどう?って。

じゅり:ちょっと言いにくい言葉をあえて使うことで、逆に言いたいって思ってくださるんじゃないかっていう発想があったんですよ。結構本気だったよね?

AMI:それを聞いたときは、え? ってなりましたけど(笑)。面白い言葉だなっていうのはずっとあって。記憶に残ってたんですよね。

じゅり:サビに"アンラッキーでハッピーな異世界"っていう歌詞があるんですけど。あれも、アンラッキーとハッピーっていうバンド名にしようと思ってたんです(笑)。

苑:AMIが言ったんだよ、アンラッキーとハッピーは。

AMI:え、私が言ったの!? ヤバ、おかしかったのかもしれない(笑)。

-曲自体はいつ頃に作ったものなんですか?

じゅり:バンドを結成して、ライヴをし始めたぐらいですね。ライヴで盛り上がれる明るい曲をって思ったときに、もしかしたら、あの言葉が使えるかもと思って引っ張りだしてきたんです。ただ、インパクトがありすぎるぶん、なかなか曲にする勇気が出せなくて。"一応これ......作ったけど、どうですか?"って出したら、みんなが気に入ってくれて。あ、こんなに自由に書いてもいいんだって、自分の中で殻を破ることができたきっかけの曲ですね。

-アレンジはどんなことを意識して作っていきましたか?

yuzu:はちゃめちゃな感じの曲にしたいなと思いました。きれいなアレンジではなくて。ベースに関して言うと、パワフルで勢いのある感じにしたかったんです。例えば1番のBメロで歌のメロディと同じフレーズを弾いたり、2番のAメロでスラップを入れてみたり、サビの最後をハイポジションで弾いてみたり。手数を多くするんじゃなくて、ちょっとしたアクセントで楽しさを表現したいなと思いましたね。

-曲調自はポップでキュートだけど、yuzuさんのベースがどっしりと下で支えてるから、そこにギャップもあるというか。骨太なロックになってますよね。

yuzu:そこは意識してました。ずっしりとした感じにしたかったです。だからあんまり弾きすぎないようにシンプルな方向になっていったんです。

AMI:yuzuのベースがしっかり支えてくれたので、そのなかで私のギターは自由に遊べたんですよ。歌のメロディに沿って、歌うように弾いてる部分もあったり、間奏ではモジュレーションを使って遊んでみたりもしてますね。この曲を作ったのが本当に宅録し始めたぐらいだったんです。なので、いろいろなことを試しながら、あのかたちに辿り着いた感じはします。試して遊んでの繰り返しでしたね。

-苑さん、ドラムはどうでしょう?

苑:この曲は打ち込みなんですよ。

-あ、あんまりそんなふうに聴こえませんでした。

苑:この曲は機械っぽいというか、デジタルな感じでイメージしてたんですよ。だから全然叩けるんです。生でもやるんですけど、あえて打ち込みでやってみたかった曲で。そこは隠れた遊び心だと思って受け取ってもらえたら嬉しいですね。

-ドラマーだと、生で叩いてこそみたいな気持ちになりません?

苑:いや、いろいろな音を出せるのが逆に楽しいんです。それをどうドラムに組み込んでいこうかとか、どのタイミングでこの面白い音を入れていこうかな、とか。そういうのもすごく楽しいので。自分はデジタルな音は使っていきたい派ですね。