Japanese
MANAKO / she9 / ザ・コインロッカーズ
Skream! マガジン 2021年08月号掲載
2021.07.03 @下北沢LIVEHOLIC
Writer 宮﨑 大樹 Photo by yui
今や音楽とSNSは切っても切れない関係になりつつある。そんななか、それぞれがSNSを駆使してバズを生み出しながら音楽活動を続けるガールズ・バンド/女性ヴォーカル・バンドによる3マンが実現した。
手拍子に迎えられて登場したザ・コインロッカーズが、「憂鬱な空が好きなんだ」で6人編成ならではの厚みのあるサウンドを届けていく。この日の午前中に別のイベントに出演していたこともあってか、メンバーもファンもすでにエンジンは温まっているようで、会場は初っ端から高い熱量で満たされた。ライヴハウスでのパフォーマンスが久しぶりだという彼女たち。さらに、ここ下北沢は、ザ・コインロッカーズにとって初のライヴ・ツアーで多くの公演を行った思い出の街でもあるのだから、感慨深い気持ちになったファンもいたんじゃないだろうか。アイドルとバンドのカルチャーが混ざり合ったフロアは、このザ・コインロッカーズならではのものだったし、音楽的にも、エモーショナルなミドル・チューン「月はどこに行った?」、船井美玖(Vo)と絹本夏海(E.Gt/Vo)が歌で引っ張ったアッパーなポップ・ソング「マジでピンと」など、多彩さを見せたステージだった。最後はパンク・ナンバー「コインロッカーの中身」を披露。全6曲を駆け抜け、次のアーティストへバトンを繋げた。
2番手は、TikTokの"バンドあるある"動画でも話題のshe9。ポップで弾ける1曲「マッシュの男にだまされるな」で、なみだじゅり(Vo)がピョンピョン跳ねて楽しげな姿を見せると、ひとり、またひとりと手を挙げる観客が増えていく。続けて披露したダンサブルな「最強★ピース」では振付も取り入れ、型にはまらない、自由度の高いライヴが展開される。しかも、奇をてらうだけではなく、テクニカルなフレーズも織り交ぜるあたりがニクかった。"今日はこんなに集まってくれると思ってなくて。熱気が伝わってきます。負けないように頑張ります!"(なみだじゅり)と語った彼女たちは、その音楽同様にポジティヴなエネルギーで溢れている。かと思えば"こんな梅雨の時期にもよく似合う1曲です"と紹介し、情感たっぷりな歌声と演奏でも魅せた。バンドの底知れない可能性を感じさせた彼女たちは、徐々にBPMが加速していくその名も「BPM」で、盛大なハンド・クラップを起こしてステージを締めた。
この日のトリを務めたのは、"踊ってみた"動画で人気を集めるカリスマ、まなこ率いるバンド"MANAKO"だ。始動したばかりのMANAKOが、バンド・セットでライヴをするのはまだ2度目ということで、そのパフォーマンスに注目が集まる。そんななか披露された「休日」を伸びやかに歌い上げるまなこは、オレンジの照明に照らされた姿も相まって、とてもアーティスティックだ。まなこが"声は出せないですけど、みなさん手を挙げてクラップで盛り上がっていきましょう!"と煽ってから「青とドライブ」へ。力強く、音圧のあるバンドのサウンドに負けない歌声が見事に映えていた。ギターの弦が切れるアクシデントをMCで難なく乗り切り、メロディックで自然と身体を揺らしてしまう「前向きなサヨナラを」、暖色系のサウンドが温かく心地いい「まっしろなキミに」と続ける。"みんなへの愛を込めて"と前置きして披露した「またね」では、その言葉通りに愛情、慈愛、優しさが歌声と共に溢れ出していた。最後は、「with you」でオーディエンスひとりひとりに寄り添うような歌を届けてイベントは終幕へ。
この日、フレッシュでカラフルなステージを作り上げてくれた3組。梅雨明け前の、まだまだジメジメした日々が続いたなかでの開催だったが、そんなことを忘れさせてくれるくらいに、晴れ晴れと爽やかな気分になる対バン・イベントだった。
[Setlist]
■ザ・コインロッカーズ
1. 憂鬱な空が好きなんだ
2. 夢がない僕が夢をみたんだ
3. 月はどこに行った?
4. マジでピンと
5. 仮病
6. コインロッカーの中身■she9
1. マッシュの男にだまされるな
2. 最強★ピース
3. タイトル未定
4. はじめて僕は
5. 乙女マスター
6. High Tension!!
7. BPM■MANAKO
1. 休日
2. 青とドライブ
3. 前向きなサヨナラを
4. まっしろなキミに
5. またね
6. with you
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