Japanese
あるくとーーふ
Member:利佳子(Vo) 貴仁(Gt) Nakamura Koji(Ba) amico(key)
Interviewer:秦 理絵
-ポップなんだけど、尖ってるっていう二面性があるくとーーふの面白さだと思いますけど、目指したい音楽性は何かあったんですか?
利佳子:最初にできたのが「真実は嘘をつく」で、次にできたのが「悪役のはなし」(『FACT Re:』収録曲)で。もうそこから、"攻撃的ポップ"っていうのを掲げていたんです。"攻撃的ポップ"っていう言葉自体を作ったのはもうちょっとあとだったと思うんだけど。
Nakamura:意識としてね。
利佳子:そうそう。ポップだけど、攻撃的な感じでギャップを生むとか。自分たちにしかできない、あるくとーーふという音楽のジャンルを作りたいねってスタンスでやってます。
amico:『HAPPY END!』(2020年リリースの3rd EP)に入ってる「トリッキーフューチャー」とかもそうですけど。最近は"攻撃的"の幅を広げていて。歌詞だけじゃなくて、メッセージ性も捻くれてたら面白いよね、みたいな感じになってますね。単にポップで落ち着くんじゃなくて、あまのじゃく的なことをやってみようっていうのも含めて、攻撃的なポップなのかなって。
Nakamura:最初はわかりやすく攻撃的ポップだったけど、最近はポップさの中にちょっと棘があるとか。チクチクしたもの。そういうものを意識してますね。
貴仁:個人的なことで言うと、わりと自分はジャズとかR&B系が好きなので、それをどうやって攻撃的ポップに持ち込むかっていうのを最近の課題にしてるんです。そういうのをみんなは聴かないので。
利佳子:みんなそれぞれに好きなアーティストもいるからね。
-例えば?
Nakamura:もともと僕がベースを始めたかったのがRED HOT CHILI PEPPERSの影響なんですよね。ファンクとか、あとはDAFT PUNKとか、テクノも好きです。そっち系のリズム重視の音楽がルーツですね。
amico:私が最初に好きになったのが、UNISON SQUARE GARDENで。バンドをやってから幅が広がったんです。この中で一番、J-POPっぽい、王道な感じが好きな気がします。アイドルとかアニソンとか、そういう系も好きですね。
利佳子:私もUNISON SQUARE GARDENが好きなんですけど。それより前は、いきものがかりをよく聴いてました。高校でバンドを始めてからは日本のポップ・パンク。低音がガンッていう。See You Smileとかが好きですね。
-ちなみに、ヒナノさんは?
利佳子:ヒナは邦楽ロックですね。
-なるほど。ここからは1stミニ・アルバム『サイファールーム』の話を聞かせてください。自分たちでは、どんな作品になったと思いますか?
amico:上京して初めての作品なので、今までより視野を広げたかったんですよね。長野にいるときにはできなかったものをやりたくて。こっちのほうが刺激も受けられるので、そういうのも表れてるんじゃないかなと思いますね。
利佳子:新しい門出みたいな作品ですね。自分たちがやりたいことができるようになって、みんな前回(『HAPPY END!』)よりも一気に成長してるんですよ。
貴仁:みんな大学に進学して。もともと全員一緒だったのが別々の場所に行って、違う人間関係が生まれて、そこでの新しい経験も反映されてると思います。
Nakamura:今回のミニ・アルバムは試行錯誤の塊ですね。東京に来て、いろいろなものに触れて、こんなことしたい、あんなことしたいみたいな。もがいてるんです。
amico:手探りな状態かもしれないね。
-曲作りの流れも変わったんですか?
利佳子:結構変わったよね。
Nakamura:コロナ禍になって、GarageBand(※音楽制作ソフト)とかを使うようになりました。
amico:今までは高校の部活でほぼ毎日会ってたので。毎日スタジオで一緒にやればよかったんですけど。すぐにコミュニケーションをとれる状況じゃなくなったので。オンラインで進めたら、そっちのほうが効率がいいねってなって、スムーズにもうちょっと細かく作れるようになったんです。
貴仁:今までのスタジオで作ったやつだと、その場の発想みたいなのがメインだったのが、練り込まれた発想に変わって。曲の質も上がったと思います。
-アルバムのテーマとして、"脱出ゲーム"を掲げてたみたいですけど、これは最初に決めるんですか? 何曲かできて決まっていくんですか?
amico:最初は違うテーマだったんですよ。でも、曲を全部作り終えてみたら、テーマと違うなと思ってしまって。あとから考えたら、"脱出ゲーム"のほうが、今の自分たちのメッセージ性に合ってるなと思ったんです。脱出ゲームって、謎解きをして部屋から出るじゃないですか。謎解きの過程を踏んで、もっと広いところに出たいみたいな気持ちと、今の自分たちを越えて、さらに広いところに行きたいっていう気持ちを、いい感じに重ねられるなと思って、このタイトルになったんです。
-タイトルのきっかけになった曲とかはあるんですか?
amico:個人的に「オオカミUFO」が今までにやったことのないジャンルだったので。新しいあるくとーーふの大事なキーみたいな感じなのかな、と思ってました。
-「オオカミUFO」は雨っぽい雰囲気がいいですね。しっとりした曲調になりましたけど、どんなふうにふくらませていったんですか?
amico:おしゃれな感じというか、引き算をメインに作った曲です。今までの私たちは本当に足し算! 足し算! みたいな感じだったので。
貴仁:とにかく引き算は意識しましたね。キーボードとの兼ね合いを考えながら作ったんですけど、自分の中では好きなジャンルに近かったので。作りやすかったです。
-こういうグルーヴィな曲ではベースの存在感が映えますね。
Nakamura:今回の7曲の中では、一番早くベースのイメージが湧いたんですよ。作る前にはっきりヴィジョンが見えたのが初めてでしたね。
amico:この曲のベース、いいですよね。
貴仁:うん、ベースいい。
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