Japanese
透明図鑑
2021年10月号掲載
Interviewer:宮﨑 大樹
-0thシングルと今回の1stシングルで、すでに"透明図鑑節"みたいなものが確立された感じがします。つぎはぎ感のあるヴォーカルだったり、声でリズムを作ったり、変拍子や複雑なリズムを入れたり、一聴して透明図鑑さんの音楽だとわかるものに仕上がりました。
アーティストにはその人らしさというか、聴いたら"この人だな"みたいに感じるものがそれぞれあると思うのですが、私はそういうのが嫌で『空に沈める』では共作をした部分もあったんです。嫌というか、怖かったんです。メロディの癖とかってきっとあるじゃないですか? そういうのが出続けると、リスナーが飽きちゃうんじゃないかという怖さを感じていて。それって、バンドマンやアーティストとしての活動期間が短いから感じるものなのかなとも思っていたんですね。プレイヤーって、バンドやアーティストを中心としている方よりは、新しい音楽との出会いが多いお仕事に感じていて。だから同じ曲調をやり続けるという経験があまりないんです。
-そうかもしれないです。
そういう恐れがあったのですが、変わるきっかけがあって。今回ヴァイオリンをお願いした人(石原悠企)が、高校からの友達なのですが、彼と友人の3人でたまたま話す機会があって。彼らもプレイヤーなので、そういった視点の話を聞きつつ、"私は今こういうことが怖いんだよね"と正直に話したら、"クラシックの作曲家でも、例えばブラームスを弾いて、「これこれ! ブラームスのこの感じ!」となるし、それが人の良さなんだから、怖がらないで出したらいいんじゃない?"と言ってくれて。それから、癖を楽しんでいくのもいいんじゃないかという気持ちになりました。「水彩の魚」を"これこれ!"って楽しんでくださる方がいるのはすごく嬉しいことだし、自分でも前作と並べて聴いて、"あ、わかる。同じ人だ"みたいになりましたね(笑)。そういうのも悪くないんじゃないかって、最近は思っています。
-そうやって透明図鑑さんらしさも出しつつ、目指していったのは先ほど話に出た"聴きやすさ"ですか?
そうですね。相変わらず、メロディから書くことはほぼないので、最後にメロディをつけるのですが、そのときに"メロディいらないんじゃないか説"というが出てきて(笑)。楽器ごとにラインで歌っているから、それをメロディと受け取ってもらって、インストで聴いてもらうのもありかもという気はしたんですけど、さすがになぁと思って......。
-インストのアーティストではないのに、1stがインストというのは......と。でも、たしかに歌がなくても成立しているんですよね。
声のことをヴォーカルと思っていない節があるっぽいなと、最近自分でも感じています。おそらく、他の楽器と同等の扱いをしているんだと思います。だから今回もサビ以外はヴォーカリストという目線だととても歌いづらかったです(笑)。
-テーマは"夜"ということで、歌詞にも"夜"が入っているのはありつつ、それ以上に情景が"夜"でした。聴感としては水中を流れていくようでもあり、空に浮かんでいるようでもあり、不思議な感覚がありますね。
「水彩の魚」は、とにかく横に流れるような曲にしたくて。人によってもちろん感じ方が違うと思うのですが、私の中で同じ拍子が続いていくのって、行進しているみたいな感覚になっちゃうんです。それはそれで一定のリズムで流れていくから、流れ自体はあるんだと思うのですが、今回はもっと滑らかに流れるイメージがあったので、拍子を変えたり、サビやDメロでポリリズムを入れたりすることで、どんどん流れる感覚や前に景色が進む曲にできるんじゃないかという計算がありました。そのうえで、歌モノとして成立させるということを考えたときに、曲の構成としてどう組み立てるのが体感としてちょうどいいのかを吟味しました。
-歌詞はどんなイメージで書いていったんですか?
夜に泳いでいる熱が魚になり、自分の身体の中を巡って色彩豊かな絵を描いていく――という話です。
-かなり抽象的な歌詞なんですけど、そう聞いてから読むとテーマがすっと入ってきますね。"退屈"とか"飽き"という言葉も出てくるので、透明図鑑さんの内面的な部分も出ているのかなと思ったんです。
それもあると思います。日々や時間はどんどん前に進んでいてどこかではっきりと完成がくるものではないと思っているので、絵として完結することはない、というところで"終わらない絵の~"という歌詞を書きました。その延長線上で、歩くことや時間を過ごすことを考えたときに、毎日同じ時間に起きて学校や会社に行き、ほぼ同じ場所で過ごして帰るような生活のルーティンがそれぞれにあるなと感じて。それって、安定はしていて、すごく贅沢な話だと思うのですが、"本当にそれでいいのか? いつか飽きるんじゃない?"みたいなことを考えるようになって。安定を嫌っている感じがミュージシャン志向な話だと思うのですが(笑)、そういう気持ちがあるんです。それを道になぞらえたときに、"歩きやすい場所っていいけど、それはどうなんだい?"みたいなことを感じていたので、それをそのまま歌詞にしました。おそらく不安定志向なんです(笑)。
-アーティストにはそういう気質の人が多い気がしますけど、図鑑さんは特に安定が似合わないかもしれないですね。で、それは曲にも表れている気がします。
(笑)私、お仕事でイヤモニに繋がれているだけで気になっちゃうんです。動ける範囲を決められちゃってる感じがして(笑)。私生活でも。縛られたり、こうしなさいって言われたりするのがすごく苦手なんだと思います。何かガチガチに固められると逃げたくなっちゃう。
-それって、サポート・ミュージシャンの仕事では大変なんじゃないですか?
いろんな方に言われます(笑)。演奏も好きなのと、ここではこのアーティストさんを演奏で支えるんだという意思がちゃんと自分にもあるから成り立ってるのだと思います。でも言われてみれば、私が入れていただいている現場は、鍵盤アレンジありきの現場が多いですね。
-「水彩の魚」の鍵盤についてはさすが透明図鑑さんという話なのですが、ピアノが曲全体の世界観を支えているような感じがしました。
変なピアノですよね(笑)。ど頭のピアノのリフから書きました。ちょうどこの曲を書くときに、改めて自分が育ってきた環境ってなんなんだろうと思って、触れてきたクラシックを中心にひと通り勉強し直しました。アナライズをし直したり、当時はあまりしていなかった和声の動きをもっとよく見てみたり。学生時代の尺度とはまた違って、自発的に興味を持ってやるようになったことで成果も大きかったです。その結果、これは強みとして生かしていいんじゃないかと思うようになったんです。これから自分にできることはなんだろうと考えたときに、今まで触れてきたクラシックを中心にして、エレクトロニカだったりロックだったりのルーツを混ぜて提案していくことだと思ったんですよ。なので、今回は近現代のロシア音楽や、近現代のフランス音楽のピアノの和声感やリズム感を生かして書きました。
-アーティストとしてのヴィジョンが見えてきたというか。
ソロをやっていくなかで目標にしていることがあるんです。ピアノはここにいなくちゃいけないよ、とか、ここでこういう拍子じゃなきゃいけないよ、という流れみたいなものが今日本で一般的に流行っていると言われている音楽にはなんとなくあると感じています。流行るということはそれだけ多くの人が心地よく聴けるということでもあるとは思う反面、同じような曲がずらっと並んでいるように聴こえちゃったりすることも時にはあると思っています。それに、そういうことって、何かルールブックがあって決まっているわけではないですし、物理的に演奏や録音という面で難しいことはありますが、それ以外のことで必ずしなくてはいけないことはないと思っています。もちろん、こうしたほうが耳の中で心地いいね、みたいなものは体感としてある程度時代に合わせて掴んでいかなくちゃいけないのですが、自分が新しく音楽を作っていく、書いていくなかでできること、やっていきたいと思っていることは、リスナーにとって聴きやすい状態のなかで、一般的な定義を緩やかに覆して、新しく提案していくことだと感じているんです。そういうことをソロのプロジェクトのひとつの目標にしたいのはあります。
-そんな目標を抱きつつ、今は2ndに向けてどんどん曲を書いていこうというところですか? 今回のように単曲で配信が続いていくのでしょうか?
書き終わってみないとなんとも言えないのですが、次は2曲入りか3曲入りのどちらかにしたい気持ちはあります。今はとにかく曲を書いて、リリースをいっぱいしたいですね。私が透明図鑑として歩み始めたのは2018年末、2019年頭くらいからなので、まだ透明図鑑はこんな人だということをあまり認知されていなくて。それがいいと思って全部捨てて芸名で再出発したのですが、こんな音楽を書くやつだというのを今回でようやく表現できたばかりだと思うので、たくさん知ってもらって、面白がってもらうところをスタートにしたいです。
透明図鑑
RELEASE INFORMATION
1st SINGLE
「水彩の魚」

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