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INTERVIEW

Japanese

Maki

 

Maki

Member:山本 響(Ba/Vo) 佳大(Gt) まっち(Dr)

Interviewer:三木 あゆみ

-次の「日常」はいろんなことを考えさせられる今、すごく必要な曲だと感じました。でも、書いた当時はコロナの時期とは被っていないですよね。どういう思いがあってできた曲だったんですか?

山本:常に"何事も当たり前じゃないな"って思うことが多々あって、それを歌にしなきゃいけないなとは考えていたんです。今のコロナの影響とかもまったくないときに作った歌なんですけど、不思議なことに(今の状況に)ハマっちゃったなって。......預言者だったんすかね。

まっち:いや、急にふざけるなよ(笑)。

山本:(笑)でもきっと、今のこういう時代じゃなく、違う世界線に生きている自分がいたとしても、その自分はこの曲を書いていたと思います。作るべくして作った曲ですね。

-こういう楽曲だからこそ、コロナ禍の状況の中でMVを制作することになったと思うんですけど、改めて詳しい経緯を教えていただけますか?

山本:もともとMVを作る予定ではなかったんですけど、"作るしかないでしょ!"っていう感じになって。社長にお願いしてOKが出て、佳大君が映像とか作れるので、"作って!"って言った感じです(笑)。それで、その当時はライヴハウスに行けない時期だったので、ライヴハウスの思い出の写真を募集して。歌詞を自分が書いて、佳大君がその写真をひたすらくっつけてくれました。

-すごくたくさんの写真が寄せられてましたよね。

佳大:そうですね。400枚くらいあったかな。

山本:すげぇな。

-みなさんから寄せられたライヴハウスの思い出の写真を見て、何か感じることはありましたか?

佳大:その当時、ライヴができなくてライヴハウスが一番恋しい時期だったんですよ。なので、みんなの写真を見てたら泣きそうになっちゃいましたね。

山本&まっち:かわいい(笑)。

佳大:え、ならない!?

山本:なるけど、俺は泣きそうになっちゃいましたとか言わなかったかもしれないっす(笑)。狙ったっすよね?

佳大:いやいや(笑)。

まっち:"佳大君かわいい"って言われるやつや。

山本:僕も泣いちゃいそうになりました。

-(笑)まっちさんも寄せられた写真をチェックしましたか?

まっち:はい。僕もなんか送ろうと思ってバンドの写真を探したんですよ。けど、載せられないような写真ばっかりで......自粛しました(笑)。

山本:自粛期間だったしね。

まっち:(笑)ただ、できあがったMVの中に僕がめちゃめちゃ泥酔してる写真が1枚入ってて、ちょっとそれは恥ずかしかったですね。

山本:でも、佳大君はそれを見て泣きそうになってるから。

一同:(笑)

-では、次の「火垂る」についても聞かせてください。これはジブリ映画"火垂るの墓"の"ほたる"と同じ字ですよね。"黒い雨"という言葉も出てきますし。

山本:これは僕の高校のときの修学旅行の話ですね。修学旅行の初日に広島の原爆ドームに行ったんですよ。楽しいはずの修学旅行の初日で、みんながガツンと食らうような場所に行って。そのときのことを書いたものです。もともとは"火垂る"っていうタイトルじゃなくて、終戦記念日の日付にしようかなって思ってたんですけど、それだと直接的すぎるなって感じて。自分の中で戦争と言えばなんだろうって考えたときに、出てきたのが"火垂るの墓"だったので、そこから取らせていただきました。

-そうだったんですね。

山本:自分のひいばあちゃんが大正生まれで、戦争のときの話とかをよく聞かせてくれてたのは覚えてたんです。後世に伝えていくっていう役目として教えてもらったんじゃないかなと思って、最終的には自分たちの曲を通して伝えていけたらなって考えていて。

-個人的には曲名を見てもっと暗い曲なのかなと想像してたんですけど、実際のサウンドとしてはパワーのある曲だなとも感じたんです。

山本:サウンド面では明るくしようとしてたわけではないんですけど、最後の部分は印象を強くしていこうというのがありましたね。それ以外は事実を述べたという感じで。個人的にはですけど。ふたりはどうですかね。

まっち:そもそも僕と佳大君はできあがるまで曲のテーマを知らないことが多いんですよね。できあがってからこういう曲だったんだ、みたいな。レコーディングが終わって、完成したものを聴くときに歌詞を知るんですよ。

佳大:曲の内容とかはインタビューで知るよね。

-では実際に曲のテーマを知ったとき、いろいろ感じることもあったんじゃないですか?

まっち:「火垂る」については、よくこのテーマにしたなというか。同い年なんですけど、この年でこういうことをちゃんと曲に落とし込めるんだなっていうところで、よくこの曲を歌ったなっていうふうには思いましたね。佳大君はどうです?

佳大:僕は日本語があんまり得意じゃないので、歌詞とかの意図を汲み取るのが苦手なんですよね......。

まっち:じゃあもう喋らなくて大丈夫です(笑)。

一同:(笑)

山本:(ギターが)うまいからいいよ。

佳大:口で喋れないから、ギターで喋ってます(笑)。

-素敵なギターを弾いていらっしゃるので(笑)。では、そのあとの「虎」についても聞かせていただきたいんですが。「フタリ」と対になるような歌詞も多い気もしたんですけど、関係があったりしますか?

山本:うーん......でも、どっちも自分目線の曲ではあって。陰と陽だったら、「虎」のほうが陰な感じの曲ですね。自分はバンドをやっている表現者ではあるんですけど、大きな括りで言うと群衆のひとりで。それについて考えて悩んでいたときにできた曲なんです。数学だったら答えがあるかもしれないですけど、音楽ってよくわからないもんで、まったく答えがないですからね......。いい曲ってなんだろうとか、いい人ってどんな人だろうとか。そこから、喧嘩の仲裁をする人はいい人なのか、じゃあ喧嘩する人は悪い人なのかとか、怒ってることを伝えることは悪いことなのかとか。何がいいことで何が悪いことなのかみたいなものをずっと考えてたんですよね。

-なるほど。そういう自分の中で燻っている思いが曲に表れることは多いんですか?

山本:そうですね。全部自分目線の曲ではあります。逆に言えば、お客さん目線の曲は書いたことがないかもしれない。作ったら作ったで、"それ俺の歌じゃないじゃん"ってなっちゃう。お客さん目線で書くことは一生ないかもしれないですね。

-でも、自分目線だからこそ説得力があるし、共感が得られるところもある気がしますし。何よりそれが届くからライヴハウスで手を挙げたくなるのが、Makiの音楽なんじゃないかなって思います。この曲は、最後にドラムの余韻の音が入っているところで、ライヴ感がダイレクトに感じられました。

まっち:あれは......パワーですね。

"力こそパワー"ですか(笑)?

まっち:(笑)でも、きれいに叩こうっていうことよりも、パッてCDで聴いただけでも、自分のドラムだってわかってもらえるような音にしようとは思ってまして。音作りに関してはこだわっていますね。もう、疾走感とパワーです。

山本:速さとパワーってこと?

まっち:速さこそスピード。

一同:(笑)