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INTERVIEW

Japanese

Johnnivan

2020年06月号掲載

Johnnivan

Member:Johnathan(Vo) Shogo(Key) Kento(Ba)

Interviewer:宮﨑 大樹

ヴォーカルのJohnathanとキーボードのShogoを中心に、日本/韓国/アメリカの多国籍メンバーで結成された5人組USインディー・ダンス・ロック・バンド、Johnnivan。彼らが完成させた1stフル・アルバムのタイトル"Students"は、音楽を学び続けていこうとするバンドの姿勢の表れだ。それは、"世界一になろうとは思っていない"という本誌インタビューでの言葉にも表れているが、一方で、そこへつけ加えられたのは、作品とライヴのクオリティでアジアのナンバーワンを目指しているというスケールの大きな展望。彼らの音楽への探究心が結晶となった1stフル・アルバムへの自信が窺える。Skream!初登場となるバンドからJohnathan、Shogo、Kentoの3人に話を訊いた。

-Johnnivanは、ヴォーカルのJohnathanさん、キーボードのShogoさんを中心に結成されたんですよね。

Shogo:僕の3つ下の後輩としてJohnathanが大学に入ってきて、音楽サークルみたいなところで出会いまして。彼の才能が素晴らしかったので、一緒にバンドをやりたいと思ったんです。他の3人は、僕が今まで出会った中で一番このバンドに合いそうなベスト・メンバーを集めてスタートさせていきました。

-バンドに合いそうなベスト・メンバーを選んだということですが、ギターのJunsooさん、ベースのKentoさん、ドラムのYusakuさん含め、みなさんの音楽的なバックグラウンドはバラバラだそうですね。どういう部分が声を掛けた決め手になったんですか?

Shogo:声を掛けた理由はふたつあって、ひとつは演奏の柔軟性ですね。最初は、どういう音楽をやっていくかっていうのがはっきりしていない状態だったんですけど、今までやってきた音楽とは違う、新しい音楽をやっていくだろうなっていうことまではわかっていたので、どういう音楽性に行ったとしても対応できるマルチに能力の高い3人を選びました。もうひとつは気持ち的なところになるんですけど、根性のある3人を選びましたね(笑)。どこかしらで壁にぶち当たるかなと思っていたので、どんなにつらくても、いいものを作りたいと思える、挫けないようなメンバーを選びました。

-そこからどうやって音楽的な方向性が定まっていったんですか?

Shogo:僕が個人的にPHOENIXを好きだったので、最初にJohnathanを誘ったときは、そういう音楽をできたらいいねっていうふわっとしたものだったんですよ。そこからお互いにデモを送り合ったりしていて、最初は全然イメージが違ったんですけど、そのイメージがだんだん一緒になっていきました。

-Johnathanさんは、Shogoさんに声を掛けられたときのことを覚えてますか?

Johnathan:鮮明に覚えてますね。誘われた当時は、アメリカのアリゾナに留学中だったんですけど、LINEで"バンドやらないか!!?(笑)"みたいな。サークルでライヴを何回か一緒にやったこともあったので、僕はわりと軽いノリで引き受けました。そのあと"曲を書けるか?"って聞かれたので、何度か試行錯誤してやっていって。

-Kentoさんはどうですか?

Kento:僕も留学をしていたんです。Shogoと僕は年齢も大学の代も一緒で、サークルの中でバンドを組んでいたりはしたんですけど、"Johnathanとバンドを組むけど一緒にやらない?"みたいに突然LINEで連絡が来ました。そのときはJohnathanと関わったことがなかったので、"あぁ、あのJohnathanね"みたいな感じだったんです。"やべぇのが来た"って、Johnathanの噂は聞いていたので、やってみようかなと。

-先ほどフライング気味に音楽的なバックグラウンドが違うらしいと言っちゃったのですが、改めてみなさんがどういう音楽を聴いてきたのか聞かせてもらえますか?

Johnathan:中学くらいからだと、ARCTIC MONKEYSだったり、NINE INCH NAILS、RADIOHEAD、BLURだったり。そこからだんだん5人で共有しているサウンドにも直結するLCD SOUNDSYSTEM、THE STROKES、David Bowie、Mitskiとか、そのあたりを聴いています。

Kento:自分のバックグラウンドは完全に邦楽で、東京事変、the band apart、toeとか、だんだんシャレオツ系に走っていって、大学に入って洋楽を聴き始めたって感じです。そこでプログレとかもやってました。GENESISだったりCAMELだったり、いろいろやってまして。で、このバンドを組むにあたって、PHOENIXとかLCD SOUNDSYSTEMを聴き始めて、TAME IMPALAだったりTORO Y MOIだったり、そっちの方面に移行していった感じです。

Shogo:僕は高校に入るまではあんまりバンドを聴いていなくて、クラシック・ピアノをやっていたんですけど、そのなかで作曲者としてはラフマニノフが一番好きでした。高校に入ってバンドをやりたいなと思って、最初に影響を受けたのがPHOENIXで、今はいろんなジャンルを通り終わって、LCD SOUNDSYSTEM、MGMT、TAME IMPALAとか、大御所だったらそういうのが好きです。

-今はみなさん洋楽志向なんですね。Johnnivanの音楽は、デモ音源と、プレイリストと言われるデモ音源を制作するうえで参考にした曲を集めた音源集から、曲のコンセプトを決めて制作していくそうですけど、邦楽でも影響を受けたアーティストはいますか?

Johnathan:まだ掘っている途中ですけど、大貫妙子とかYMOとか、勝手に自分たちの中で先輩扱いしているCHAIとか。サウンドには直結していないんですけど、聴いておくだけでDNAに1本追加されるのかな、みたいな感じで、勉強がてら聴いています。

-ところで、Johnnivanというバンド名は、Johnathanさんの音楽性を生かしていきたいからという理由で、Johnathanさんの本名、Johnathan Sullivanの略にしたんですよね。

Shogo:そうです。最初にやりとりしたデモを通して、彼の曲の持つ世界観が素晴らしいなと思いまして。

-最初のデモの段階からダンス・ロックなどの今の音楽性に近かったんですか?

Shogo:結構、右往左往してましたね、ボツになった曲も数十曲ありますし。今もダンス・ロックで統一しているっていう意識はないんですよ。たまたまそういうのが多いだけかもしれないです。

Johnathan:いつでもジャズに移行する準備はできています。

一同:(笑)

-Johnnivanでの曲作りについて、メンバーのバックボーンが異なるからこそ、バンドで大切にしていることや、バンドの軸としていることはありますか?

Johnathan:原案はわりと自分が作っているんですけど、そのときに意識しているのは、ライヴとかバンド・セットでどう再現するかっていうのは考えずに、自分が面白いと思ったものに出会えたら、ひたすらそこを突き詰めていくっていうのがひとつ。もうひとつは、自己満足にならないレベルで短くするということ。短い曲を書かないといけないわけではないですけど、7~8分とかの曲はもう少し、作曲者としての自信がついてからっていうのと、聴いてくれるほどのベースができてからなのかなって。今までリリースしたものは、その大きな柱ふたつで書いていきました。

-Johnathanさんは、デモをどのぐらいまで作り込んでいくんですか?

Johnathan:曲によってバラバラなんですけど、最低ラインはドラム、ベース、ギター、シンセのパートができていて、ヴォーカル以外でひとつの曲になっている状態です。音符がぶつかっているとか、明らかに人間じゃ叩けないよねっていうのが入っている状態ではあるんですけど、曲だなっていうのは認識できるレベルですね。

-そこからブラッシュアップしていくと。再現の可否は考えずに面白いものを作るという姿勢は、今回の1stアルバム『Students』に表れている気がしました。

Johnathan:ライヴでやるっていうのを前提に書いちゃうと、人間5人、手が10本、それ以上のものが加えられなくなってしまうので、それを1回取っ払わないと行きたいところまでいけないのかなっていうのはありますね。

Shogo:ただ、ライヴでもある意味再現できるとは思っていて。曲の雰囲気っていうのはやっぱりライヴで伝えやすいんですよね。音源を聴いたときには、曲の雰囲気や世界観に入り込むための導入剤っていうものが必要で、そのためにいろんなレイヤーを重ねている感じです。

-音を重ねているけど、ごちゃごちゃしていないですよね。一音一音に意味を持たせているというか。

Shogo:そうですね。無駄なものは入れないようにしていて、そこは非常にこだわっています。

-『Students』が完成して、バンドにとってどんな作品になったと思いますか?

Johnathan:"1st"っていうのは意識していたので、いいものを作るっていうのは当たり前ですけど、10年後、20年後に振り返ってみて、ここから成長していく、いいスタート地点なったんじゃないかなと。

Shogo:次に繋がる1枚になったと思いますね。作品制作を中心とするバンドになっていきたくて、1st、2ndって出したときに、予想できない成長をしていくバンドになりたいんです。約1年前にEP『PILOT』を出したんですけど、そこから予想できないような成長を遂げたアルバムにできたので、2枚目もそうやって驚かせるアルバムを作れたらと思います。

-ダンス・ロックの曲が多くはあるんですけど、個人的には、まずはヘッドフォンで一音一音集中して聴きたいアルバムだなと思いました。

Shogo:ひとりで、部屋の中で、1曲目から10曲目まで静かに聴いてほしいですね。僕がそうやって音楽と向き合っているので。

Kento:ベーシストとしてはじっくり低音の効くイヤホンで聴いて、ベースがこう鳴っているんだなって思いながら聴いてほしいです。

-前作はEP、今回は初のアルバムです。曲数も増えたということで、アルバムならではの意識したことはありますか?

Johnathan:結成したときからずっと一緒なんですけど、いいものを作りましょうねっていうのは大大大大大原則です。意識的にアルバムを作ろうってなったのは去年の夏なんですけど、その時点では、サウンドは曲の進む方向に任せるとして、大枠としては10曲、30分台を駆け抜けるようにしたくて。余分なものは入れないとか、そういった、ふわっとしているけど作るうえでは欠かせないものをいくつか設けました。

-曲の進む方向に任せたということは、作品のコンセプトみたいなものは定めなかったということですね?

Johnathan:そうですね。曲を思いついた時点で、"これはアルバムの最後にできそう"みたいなものは曲単位ではあったんですけど、サウンドとしては特に話し合いませんでした。最初に自分たちで設けた10曲の枠の中に、できあがった曲がはまっていくのかを考えた感じです。