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INTERVIEW

Japanese

錯乱前戦

2020年03月号掲載

錯乱前戦

Member:ヤマモトユウキ(Vo) 成田 幸駿(Gt) 森田 祐樹(Gt) 佐野 雄治(Ba) サディスティック天野(Dr)

Interviewer:山口 哲生

-天野さんは、軽音部に入るまでドラムをされてたんですか?

天野:まったくやってなかったです。高校の軽音部に入って初めてドラムを叩いたんで。ドラムに興味を持ち始めたのは中3の夏ぐらいかな。

ヤマモト:みんな結構直前なんだな。

天野:当時"太鼓の達人"にハマったんですよ。友達とPSPでずっとやってたんですけど、X JAPANの「紅」のスコアをちょっとでも良くしたいと思って何回も聴いているうちに、バンドのほうに興味を持ってYouTubeでライヴ映像を観たら、"YOSHIKI(Dr/Pf)すげぇな"と。そこからドラムをやってみたいなって、椅子に座って8ビートの練習をしたりしてました。

-もともとはどんな音楽が好きだったんですか?

天野:両親どっちも音楽をよく聴いてたんです。お父さんは歌謡曲が好きで、お母さんがフィリピンの人なんですけど、フィリピンのクラブ・ミュージックとかを聴いてて。

佐野:すげぇ!

天野:そういうテンション上がる系の曲をずっと家で流してたんですけど、そっちはあんまり興味持てなくて。小学校のときに、"音楽のある風景"っていう昭和30年代とかの曲をどんどん紹介するテレビ番組があったんですよ。それで一時期、日本の古い音楽をすごく聴いていて、近くの図書館までCDを借りにいって聴いたりしてました。

成田:体育の時間に(石原)裕次郎歌ってたよな?

天野:歌ってたっけ(笑)? お父さんがめっちゃ好きだったんですよ。でも、洋楽はまったく聴いてなくて、みんなに教えてもらって聴くようになった感じでした。

-佐野さんも高校までベースを弾くとかは......。

佐野:いや、全然まったく。そもそもベースになったのも、5人でバンドをやろうってなったときに、(山本が)ヴォーカルをやるって言ってたし、ギターもふたりいるし、(天野が)ドラムやりたいって言ってたから、じゃあベースだね、みたいな感じだったんで。そもそも軽音部に入るまではバンドってドラムとギターとヴォーカルだけだと思ってたし、最初はギターとベースの違いも全然わかんないぐらいだったから。

-好きな音楽は?

佐野:軽音部に入ってからちゃんと音楽を聴くようになった感じでしたね。それまでも聴く機会はあったけど、なんとなく耳で覚えているぐらいの感じっていうか。親が70年代生まれなんで、親が学生だったときに聴いていた音楽がよく流れてましたね。KOOL & THE GANGとか、EARTH, WIND & FIREとか。軽音部に入ってから知ることが多かったです。

-みなさん楽器を始めたばかりではありつつも、曲はすぐに作れました?

ヤマモト:はい。それなりにやろうと思えばできたんで。変な曲だったけど。

佐野:曲として成立してはいたけどね。

ヤマモト:まぁ、新しかったですよ。オルタナティヴな感じで。

一同:(笑)

成田:今みたいに作ったらみんなでアレンジしていく感じじゃなくて、作ったことが嬉しくて、それをすぐにやってたから、曲ができるペース自体は早かったんですよ。

天野:合わせて練習したかったのもあったんで。

-2017年に本格的に活動開始されたわけですが、始動直後に"出れんの!?サマソニ!? 2017"で出演権を獲得したり、そこからフェスに出演したりと、一気に注目を集めた感じでしたけど、その状況をどう受け止めていましたか?

ヤマモト:う~ん......あんまり深く考えてなかったかな。

-驚きとかは?

ヤマモト:ビックリはしなかったですね。普通に嬉しいなって。

成田:"サマソニ(SUMMER SONIC)"に出るのが決まったときって、まだライヴハウスにも出てなかったから、俺らのことが好きな人も少なかったと思うし、"「サマソニ」に出ます!"って言って周りが"おぉー!"ってなったかどうかというと(苦笑)、そうでもなかったんじゃないかなって。

ヤマモト:"サマソニ"に出たあともしばらくは客0だったしね。

成田:うん。ライヴをやっていくうちにお客さんがついてきた感じだったから、そこで大反響があったかと言ったらそんなこともなかったです。

ヤマモト:やっぱMV出してからじゃない? YouTubeに「ロッキンロール」のMVを出してから、ちょっとみんな見てくれるようになったなっていう感じがあって。そのとき思ったのは、やっぱネットって強いなと。

成田:それまでTwitterで告知もあんまりするほうじゃなかったしね。

ヤマモト:Twitterってやってなかったっけ?

成田:やってたことはやってた。

佐野:みんなめんどくさがってほぼやってなかったけど(笑)。

ヤマモト:YouTubeで聴いてもらえることは嬉しいんだけど、ライヴだけじゃ客ってそんなに来ないのかなって。でも、まぁそうか。聴けるものがあるっていうのが普通だから。

-ネットに上がったものも、いいものじゃないとお客さんには響かないと思いますよ。

ヤマモト:たしかに。昔だったらそれがラジオだったっていう感じですよね。

-そうかもしれないですね。そして、今回1stフル・アルバム『おれは錯乱前戦だ!!』をリリースされます。1曲目の「ドンドア」のイントロからワクワクしっぱなしだったんですけど、こういう作品にしようみたいな話はされたんですか?

ヤマモト:話し合いとかは特にしてなかったです。話し合いをせずとも、この曲をやろうかっていう共通したものがあったんで。再録についてはちょっと話したか?

森田:うん。『あッe.p.』(2018年リリース)が廃盤になったから、そこから入れるかっていうのをちょっと話し合ったぐらい。

ヤマモト:今録ったほうが絶対にいいと思った曲を再録しました。「boy meets boys」とかは、アレンジはそこまで変わってないけど、いろいろ良くなってたし。

-錯乱前戦はいろんな形で曲を作られていますよね。例えば、お話のあった「boy meets boys」は、ヤマモトさんが作詞作曲をされていて。この曲はどういうふうに作っていったんですか?

ヤマモト:たしかこれは自転車に乗りながら作った曲。

-鼻歌で歌いながら?

ヤマモト:そうです。リフはリフでまた別にあって、それと自転車に乗っていたときに作ったやつを合わせた感じですね。

-それをもとにスタジオに入ってみんなで合わせていくと?

森田:そうですね。アレンジっていうか、ユウキがこういうノリにしてほしいと言うところとかを細かく修正したり、あとはGarageBandとかで軽く作ったものを持ってきて、そこからみんなで合わせていったりするときもあります。

-"boy meets boys"というタイトルや歌詞はどういうところから出てきたんですか?

ヤマモト:中学のときにロックンロール・バンドを聴いたときの感じっていうか。昔よく観ていたDVDがあって。ナチュラルローソンで売ってたんですけど、レジェンドみたいなロックンロール・バンド20組ぐらいのライヴ映像が、1曲ずつ入っている謎のコンピレーションDVDなんです。RAMONES、NEW YORK DOLLS、THE ROLLING STONESとかも入っていて......懐かしいな。

-ヤマモトさんが曲を作るときって曲を作ろうと思って作り出しますか? ふと思いつくことが多いですか?

ヤマモト:作ろうとは思うんですけど、そういうときはあんまりできないです。作ろうと思っていないときにいい感じで作れることが多い。真面目にやろうとしても、あんまりうまくいかないことが多いです。

-歌詞については、歌いたいテーマみたいなものが常にあったりします?

ヤマモト:テーマはないですね。自然に出てくるフレーズみたいなのがあって、そこから広げていく感じ。

-ヤマモトさんの歌詞って行間があるというか、説明的すぎないけど、言いたいことが伝わるものが多い印象がありました。そこは気をつけているところでもあるんですか? あまり直接的にならないようにしようとか。

ヤマモト:あんまり直接的になると、ちょっと照れちゃうというか。だから、こういう感じになっちゃうのかな。ストレートな言い回しができる人ではないので、そうなるんだと思います。あんまり考えたことはないけど。

-あと、成田さんが中心になって作られている曲もありますよね。

成田:俺も"よっしゃ、今から作るぞ!"っていう感じではなくて、そういうのが思い浮かぶときって家にいないんですよ。近くにある公園に遊びにいっているときとか、それこそ自転車に乗ってるときとか。そのときに思い浮かんだ歌詞やギターのフレーズを、あとからゆっくり考えていく感じですね。先に曲名を決めてから作ろうかなと思ったときもあったんですけど、それだとできなくて。