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INTERVIEW

Japanese

MOSHIMO

2020年03月号掲載

MOSHIMO

Member:岩淵 紗貴(Vo/Gt) 一瀬 貴之(Gt)

Interviewer:三木 あゆみ

マイナスなこともあるけど、岩淵がいれば大丈夫かなって


-そして、最後の「誓いのキス、たばこの匂い」は、歌詞がよりストレートに入ってくる感じがします。どんなシーンで生まれたんですか。

岩淵:これは、朝、二日酔いで帰りながら、私は一番じゃないんだろうなって、言葉にしたら相手が消えちゃうんだろうなって思いながら線路沿いを歩いてたときのことを書いた曲ですね。MVもそういう感じで。

-切ないですね。MOSHIMOの作品には、岩淵さんの恋愛が背景になっている曲も多い気がします。

岩淵:そうですね。"めっちゃ恋愛してますね"ってよく言われるんですけど、ひとりの人のことを一部切り出して、広げて書いてるだけなんですよ。だから、"経験豊富ですね"って言われるんですけど、全然そんなことない。経験豊富じゃないから、今こうなってるんだよ! っていう。相手の人は嫌でしょうね(笑)。

-MVは一瀬さんが手掛けたとのことですが、映像についてもお話をお聞きしたいです。

一瀬:最近、MVを自分で撮ることが多いんですけど、曲を聞いて、どういうシチュエーションだったかを岩淵にヒアリングして、そこからカメラマンを誰にしようとか、どういう編集にしようとかを、ある程度自分で固めてから持っていきますね。今回の撮影の日は寒くて。一発撮りだったんですけど、おじいちゃんが通っちゃったからカットとか、一番いい落ちサビのところでブレイクがあるんですけど、そこでママチャリが通ったりして。そういうので何テイクも撮り直したのはいい思い出になりましたね(笑)。8~9テイクくらいやったと思います。早朝にみんなで集まって。

-早朝は寒いですよね。岩淵さんなんてトレーナー1枚ですし。

岩淵:でも、トレーナー1枚なんてまだいいほう! 次に出る「もっと」のMVが(※取材は2月中旬)めちゃくちゃ過酷で。海辺で、気温0℃の中Tシャツっていう(笑)。

一瀬:これは自分が撮ったやつではないんですけど、砂浜での撮影で、その日の風速が17メートルくらいで、ドラム・セットが自立できなくて、風で飛ばされたんですよ。みんなでドラム・セット飛ばされるなんて初めて見たとか言って。それで、もう今日は撮影するのは絶対困難だってなって。翌日また集まって、もう1回行って撮りましたね。

岩淵:だって、目が開けられなかったですもん。砂が舞いすぎてて。

一瀬:前日がそんな感じだったんで、次の日に"今日は快適だね"って言ってたんですけど、その日もすごく寒くて。

岩淵:手がかじかんで感覚がなくなって、ピックが持てないんですよ。でも、楽しかったですね。

一瀬:あと、今まで意外とやったことのない、演奏シーンだけで押すっていうMVになってるので、そこは自分たちでも新鮮でした。

-では改めて、今作への想いを聞かせてください。

岩淵:とにかく、ありのままの自分でいたいなって想いで作ったアルバムで。強がってしまう人たちに対して、"弱いところを見せてもいいんだよ"、"弱さを受け入れるのも大事なんじゃない?"って言ってあげられるような作品になったかなと思うので、強がってしまうような人には特に聴いてもらいたいですね。

一瀬:毎日のようにファンの子たちから、学校がつらいとか、仕事行く前に元気が欲しいとか、恋がうまくいかないとか、いろんな悩みを聞くんですけど、そういうなかで"MOSHIMOのライヴを観て元気貰えました!"みたいに言ってくれる人が多いので、そういう人たちの背中を押せる、日常の支えになるアルバムになったらいいなと思います。

-そして、今作を引っ提げて、Zepp DiverCity(TOKYO)公演を含むツアー"NEW ALBUM「噛む」RELEASE ONE MAN TOUR「噛みしめる」"も予定されていますね。

岩淵:このツアーは、メンバーが抜ける前から決まってたんです。Zepp DiverCity(TOKYO)も決まっていて。それで、脱退の話があってから、"このライヴどうする?"って話になったんですよ。で、普通だったらやめてると思うんですけど、今までお客さんと一緒に這い上がろうぜっていうライヴをずっとやってきたのに、ここで私が挫けてどうすんのって思って。私のこの謎のガッツみたいなパワーは後ろ向きなところで使うものじゃないなと。それで、どうなるかはわからないけど、やろうぜってなったんです。お客さんの中にはメンバーが抜けて不安に思っている人もたくさんいたんですけど、うちらが前向きに進んでいったほうが、お客さんも一緒に"Zepp頑張ろう"って思ってくれるんじゃないかなって。そういう人たちとライヴや音楽を通じていいことも悪いことも共有して、一緒に泣いたり、バカになってはしゃいだりして、高いところを目指していけるバンドでいたいし、お客さんと一緒に年を取っていきたいと思ったんです。

一瀬:Zeppをやる決断をして良かったです。僕はもっと上、もっと大きなところでやりたいし、Zeppくらいでああだこうだ言っても仕方ないなって思ったんですよ。あとは、岩淵に芯があって、岩淵に共感してるファンの方も多いので、メンバーが抜けちゃうっていうマイナスなこともあると思うんですけど、岩淵がいれば大丈夫かなって感じたんですよね。

岩淵:ありがとう。かっけぇな。

-すごくいい話です。お客さんにも伝わるツアーになると思います。

岩淵:人はなんとかなるんだぞ! ってライヴをしたいですね。私も日常の嫌なこととかを発散するような感じでライヴをしているところもあるので、お客さんと同じ気持ちで、みんなが前向きな気持ちになれるようなライヴをしたいと思います。あとは、終わったあとに打ち上げでおいしいものを食べて、おいしいお酒を飲めたら最高ですね(笑)。