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INTERVIEW

Japanese

DATS

 

DATS

Member:MONJOE(Vo/Syn)

Interviewer:TAISHI IWAMI

-そこでDATSが「Mobile」と、続くアルバム『Application』(2017年リリース)、そして2018年6月にリリースしたアルバム『Digital Analog Translation System』ではタイトルとして提案した、打ち込みの音源と生演奏のライヴが両軸として機能することもあれば、それらがシームレスに繋がる瞬間もあるスタイルは、新しい価値観の提案に繋がったと思います。

「Mobile」ができた経緯についてさっき話しましたけど、正直言ってそういうことを考えてたわけではなくて、トラックメイカーとしての自分の過信を、勢いのままバンド名義でやった感は否めないのですが、『DIVE』の頃も含めて、DATSが一貫して持っていた唯一のコンセプトは、"ダンス・ミュージックをやりたい"ということでした。だから、おっしゃるような"新しい価値観"は、オンタイムで思っていたことも後づけでロジカルになっていった部分もありますし、小さな規模の話ではありますけど、提案はできたのかなって。

-音源では打ち込みを惜しむことなく使い、それぞれの生楽器としてのパートを必ず弾くことにこだわらず、ライヴでは同期と生音との向き合い方を模索して新たな臨場感を求めるような、スタイルとして近いバンドは最近増えてきたように思います。

"DATSでもやってるんだから、俺らがやったらもっとカッコ良くなるんじゃね?"って、思わせることはできたように思います。そこには、yahyelの存在もあったと思いますし、D.A.N.のようなバンドもいますし。

-そして2019年に入り、次のEP『オドラサレテル』は、再びバンド・サウンドにフォーカスします。前任のベースだった伊原さん(伊原卓哉)が抜けて、ギターの早川さん(早川知輝)がベースに移り、新ギタリスト 吉田さん(吉田巧)が加入したことも作用していると思うんですが、ここにきて、また新たな舵を切った理由はなんだったのでしょう。

メンバー・チェンジも理由のひとつではあるんですけど、メディアの言う"シティ・ポップ"とか"お洒落"とは、一切無縁の曲を出してやろうって。ここまでいろんなことを話しましたけど、結局は中2みたいな反抗期的思考で出しちゃいました(笑)。

-それが最も健康的だという話でもあったので、エレクトロ路線が不健康だったわけではないにせよ、納得できます。

自分たちが何を愛していたのか。そこに立ち返ろうとしたことに加えて、吉田が入ったことが作用した、新体制になったからこその作品ですね。

-タイトル曲はTHE STONE ROSESとRED HOT CHILI PEPPERSがビッグ・ビートを通過して今に至ったような曲で。

ビッグ・ビートって、THE CHEMICAL BROTHERSやFATBOY SLIMがその代表に挙げられますけど、ロックのリフを弾ける奴が、DJに"これをトラックに乗せてくれ"って、そういう音楽じゃないですか。それは俺というトラックメイカーを抱えるバンドに、コテコテのUKロック野郎である吉田が入ってきた状況に近くて。

-たしかに。

あとはTHE STONE ROSESやHAPPY MONDAYS、THE CHARLATANSとかハシエンダ(1982年にオープンしたマンチェスターのクラブ)とか、バンドとクラブ・カルチャーの橋渡しになった、"マッドチェスター"というムーヴメントにも、すごく憧れがあって。僕らがやってるのは、あくまでダンス・ミュージック。"こんなダンス・ミュージックもあるぞ"って、自分たちなりに提案するようなイメージもありました。

-そしてその『オドラサレテル』と地続きとも言える新曲が、今回の「Game Over」だと思います。この曲はどんなことをイメージして作ったのですか?

今回はTVアニメ"ノー・ガンズ・ライフ"のエンディング・テーマとして書き下ろしたんで、まずは原作を読んだんです。そのときに、浮かび上がってきた言葉は、"自分の枠を超えていく"ということ。枠を超えるためには勇気が必要で、その勇気さえ持てれば、新しい明日が待ってるんじゃないかと思ったんです。

-それはDATSが歩んできた道そのもののようにも思います。だからやりやすかったんじゃないかと。

だからこそ、さらに、今までにやったことのない、チャレンジングな曲にしようと思いました。その象徴が"キャッチーなサビ"にとことん挑んだことですね。

-たしかに、今までになく"サビらしいサビ"に振り切っていると思いました。では、MONJOEさんにとって、その"キャッチー"とはどういうことですか? 世の中的な"キャッチー"に合わせたのなら、ここまでの商業的成功に対する健全性の話と少し矛盾してくるようにも思うのですが。

タイアップなんで、作品に抱いたイメージをストレートに表現したい想いが、"キャッチー"という概念にチャレンジすることを後押ししてくれたことがまず念頭にありました。あと、僕らはもともと、いわゆるJ-POPと言われるヒット曲に抵抗があるわけじゃないんです。むしろ好きですし、カラオケに行ったらガンガン歌います。そのうえで、今までも十分キャッチーな曲を書きたいと思って書いてきたつもりだったんですけど、このタイミングでもっとやれるんじゃないかと。

-ご自身の中にあった"キャッチー"のイメージを拡張させたわけですね。

そうです。何がキャッチーたらしめるかって、定義づけるのは難しいし、"これがキャッチーです"って作っても、人に聴かれてない曲はたくさんある。キャッチーであることが伝わってないならそれはキャッチーじゃない。そこで、どうやったら納得のいく"キャッチー"を生めるか考えたときに、やっぱり好きなことを突き詰めたことが、説得力を帯びたものが一番強いんじゃないかと。その想いをサビに思いっきり込めて、あとは好きにやろうぜって、そんな曲です。

-では最後に、これからのDATSが向かう方向性について、話を聞かせてもらえますか?

そんな感じで、そこまで物事をコンセプチュアルに考えてきたわけではないし、結構人や環境に影響されやすい人間でもあるんで、時々ブレるんですよね。だから、できることなら結成前に戻って、DATSというバンドのコンセプトを作り直して、一貫した何かを感じてもらえるバンドとして歩き直したいです。

-元も子もない(笑)。

それは冗談としても、RAGE AGAINST THE MACHINEとか、めちゃくちゃカッコいいじゃないですか。活動そのものがメッセージになってて。そういう主義や思想を掲げられるバンドにはなりたくて、それはバンドとしてある程度走ってきた今から考えてもいいと思うんです。

-情報過多なこの時代に何を切り取るか。振り切った姿勢を示す、そういうメッセージは発してこられたじゃないですか。

おっしゃるように、この膨大な情報の中から何を選んだらいいか、自信を持って示せるバンドでありたいと思ってます。そこをさらに掘り下げて、次のフェーズを見せられる段階にはきてるんで、楽しみに待っとけって感じですね。それも根拠のない自信ではありますけど。結局何も変わってないから、その自信と愚直に向き合っていきます。