Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

ましのみ

2019年02月号掲載

ましのみ

インタビュアー:宮﨑 大樹

2Lのペットボトルがトレードマークのシンガー・ソングライター、ましのみ。彼女は、"歌う"という活動以外にもラップ(※通称:ましらっぷ)や寸劇など、様々なエンターテイメントをライヴのほかSNSを駆使して発信している、いわば現代型シンガー・ソングライターだ。Skream!では、そんな彼女にとってSNSとは? という点に迫るインタビューを敢行。2月20日にリリースする2ndアルバム『ぺっとぼとレセプション』についても話を訊いた。ましのみと2ndアルバム。SNSというテーマを通じて見えてきたものがあるのでは。

-ましのみさんって、ピアノ、ベース、アコギと各種楽器経歴がありますよね。音楽をやっていくなかで、バンドという選択肢もあったかと思うんですけど、そのなかでシンガー・ソングライターの道を選んだ理由を聞いてもいいですか?

小さいころから"歌手になりたい"という思いはあったんですけど、普通のサラリーマンの親のもとで育っていたので、夢として認めることができず、恥ずかしいし、良くないことなんだろうなというのがありながら子供時代を過ごしてきて。高校3年生のときに大学とその先の進路を考えるじゃないですか? もともとはそこで理系に進んで勉強を頑張って、いい職業に就いてって考えていたんですけど、ずっと計算とか試験管とかに向き合う人生がやっぱり無理かも、歌手っていう奥底にある夢が諦められないなって思ったのが高校3年生のときで、遅かったんですよね。始めるならギリギリだなと思ったので、スピード感が何より大事だったんです。シンガー・ソングライターがやりたかったわけではないけど、ひとりで曲を作ってライヴをするっていうのが、そういう意味では一番効率が良かったんですよ。

-なるほど。

あとは、高校生のときに趣味でバンドを組んだこともあるんですけど、大人数が集まると平和を望んでしまって意見が言えないんです。スタッフ対アーティストの仕事の関係と違って、バンドって曖昧じゃないですか? 仕事なのか友人なのかとか。自分の意見があっても"こういうのがやりたい"って言えないと思ったので、バンドだとうまくやっていく自信がなかったのもあります。

-今ではシンガー・ソングライターにこだわりはあります? もしくはバンドにもチャレンジしてみたいって思いますか?

シンガー・ソングライターとしてやっていくなかでバック・バンドがついてもらってライヴをすることは魅力的で楽しいなとは思います。私自身はエレクトロというサウンドにめちゃくちゃこだわりがあるというわけではなくて、いろいろなものをやりたいなという気持ちはあるんですけど、バンドを組みたいというのはないというか、趣味でバンドを組んでそこから本気にしていくみたいなのをやりたいという気持ちは今でもないですね。ひとりでやった方が向いているし、バンド・サウンドにするなら別の方法もあるなって。でも憧れることはあります。ぶつかって生まれることもあるんだろうなとか。

-特に影響を受けたアーティストはいますか?

あんまり音楽を聴いてこなかったので、音楽性という意味での影響ではないんですけど、人生的なところで、miwaさんが大学生をしながら歌の活動をされていたんですよね。両方を取る生き方も可能なんだっていうロール・モデルを見せてくれたというか、そういう生き方を選択できたという意味では人生的な影響を受けているなって思います。何かを捨てるわけではなく両方取れているのは尊敬しますね。憧れます。

-miwaさんってギターの弾き語りじゃないですか? ましのみさんはキーボードの弾き語りスタイルを選んでいますけど、ギターをメインでやるという選択肢も考えました?

考えましたよ。初めのころはギターをライヴで使っていたこともありました。最初は親に秘密にして活動していたんですけど、リビングの隣にあったグランドピアノだと音が大きいので、曲を作るとバレるじゃないですか? だから、Fが押さえられなくて放置していたギターを使って部屋で作曲したので、初ライヴの曲の半分くらいはギターでした。残りの曲は親がいない間にピアノで作って。ギターを始めて2週間で初ライヴをしたのかな、今思えばよく立てたなと。そこから活動していくうちに、ピアノを習っていたこともあって、冷静に考えるとそっちの方が表現の幅が広いなと思って結局ピアノにしました。

-話は変わるんですけど、いろんなインタビューを読ませていただいて、この人は頭がいいんだろうなぁと思っていたんですよ。勉強的な意味ももちろんそうなんですけど、デビューまで逆算してスピード感のためにシンガー・ソングライターを選ぶとか、すごく論理的に考える力が高いし、自己プロデュースとか、どこか俯瞰しているような歌詞に左脳が発達しているんだなぁと。一方で言葉のチョイスとか発想から右脳的にも優れているなぁと思っていて。

ありがとうございます(笑)。でも、もともとは自己プロデュース力とか全然なくて。そんなの考えたくないじゃないですか? "なんで自分のことを俯瞰してプロデュースしないといけないんだ"って思っていたんですけど、やらざるを得ない環境だったんですよ。将来バリバリ働くというのも夢だったんですけど、それを上回る夢が音楽で。就活のタイミングになって音楽が全然ダメだったら働く方の夢を選んじゃうだろうなと思ったんですよ。そうなるのがいやだったので、就活までには目途が欲しくて。それには考えるしかなかったんです。

-考えるということで言えば、アルバムとしての前作『ぺっとぼとリテラシー』(2018年2月リリース)に続く新作アルバム『ぺっとぼとレセプション』も、トレードマークであるペットボトルにフィーチャーしたタイトルとジャケットになっていますけど、こういう部分にもましのみさん自身の考えが入っているんですか?

そうですね。今回で言うと"ぺっとぼとレセプション"というタイトルには、聴いている人に私から寄り添って、ましのみっていう世界に誘うアルバムにできたらな、という思いがありました。ヴィジュアルもそれに沿ってシュールでインパクトのあるものにしたくて。最初はどうにかして自分が中に入れるくらいの巨大ペットボトルを作れないかなと(笑)。そこをましのみの世界だと見立てるヴィジュアルを考えていたんですけど、そこから派生してこういうヴィジュアルになったんですよね。

-アルバムの世界観がペットボトルを用いて表現されているということですね。ましのみさんにペットボトルのイメージが生まれたのは、ライヴで常備されている2リットルのペットボトルからかと思いますが、今やもうペットボトルに思い入れや愛情があります?

ペットボトルについては、配信とかライヴとかで2リットルのペットボトルを飲んでいたらファンの人に言われるから、それで愛着が湧いてきたんですよ。最初は全然興味がなかったんですけど、人に言われているとかわいく思えてくるんですよね(笑)。トランペットをずっとやっている人がトランペットを持つと落ち着くみたいな感じで、ペットボトルの持ち心地がステージに上がったときに安心する感触になりました。ペットボトルの真ん中の凹みがあれば安心する感じです(笑)。

-(笑)ましのみさんを知っていくうえで、SNSやライヴでのラップとか寸劇もポイントですよね。

ラップは日常会話で韻を踏むという遊びにハマっていて、それをやってみたらわりと反応があったので、知ってもらえるきっかけになればいいなと思って始めました。寸劇もそうかも。モノを喋らせるのが好きなんですよ。"なんとかだよね?"、"そんなことないよぉ"(※ペットボトルで人形遊びが始まる)とかやるのが普段から好きで。それをライヴでMC代わりにやったんです。当時はブッキング・ライヴに出ることが多かったので、お客さんがパッと顔を上げてくれるきっかけになればいいな、という思いつきでやってみた感じですね。

-個人的にはTwitterで公開していた"2019"の4つの数字だけを歌詞に使った曲が好きでした。"お礼に豆腐給付(0 0 2 10 2 9 2)"とかよく思いつくなって(笑)。で、今回はそういったSNSをテーマのひとつとしてお話を聞いていきたいと思っているのですが、広い意味でのSNSで言うと、LINE LIVEなどで弾き語りや雑談、寸劇などの生配信も頻繁に行っていますよね。ほかのアーティストも生配信はしていますが、ましのみさんは特に頻度が多いんじゃないかと思っていて。

一番多かった時期は大学1年生のときで、毎日ツイキャスをしていたので、そのころと比べると多いっていう実感はないんですよ。何に重点を置くかっていう話なんですけど、配信を毎日していた時期は生活が酷かったんです(笑)。配信、作曲、ライヴと切羽詰まっていて、学校にも行けないし、体調が悪くなるし。そのときはそれで良かったんですけど、続けていくには体調管理も大事だなと思って。2018年は、作曲とかを優先しながら、それなりの頻度で配信ができたらなと思ってやっていました。そうして生活スタイルが掴めてきたので、2019年はもっと配信を増やせていけたらいいなとちょうど思っていたところで。

-配信などを積極的にしていこうっていう思いはどこから生まれたのでしょうか?

初めは単純に集客を増やすためですね。ツイキャスをやっていた子がライヴをやってみたらお客さんがすごい来るっていうことがあったんですよ。だから私もツイキャスをやってみようということで、毎日の配信を始めたんです。今となっては、東京にいない人とかライヴに行ったことのない地域の人も配信なら観られるので、何より広まるチャンスだなと思っています。12月24日のクリスマス・イヴにライヴ(ニッポン放送"第44回 ラジオ・チャリティ・ミュージックソン~ありがとうは魔法のコトバ~"内のチャリティ・ライヴ)があったんですけど、強風で中止になっちゃったんですよ。それで、スタッフの方が頑張ってくださって中止の約2時間後にはその日のセットリストでライヴ配信したんですけど、結局その配信を観てくれた人数って、ライヴの人数より多いと思うんですよね。配信は生で音楽を届けるという意味では劣るんですけど、自分という存在を知ってもらうきっかけとして便利だと思います。コミュニケーションを取れて楽しいですし、私も励みになりますね。

-SNSを通じてのファンとの距離感がすごくいいなと思ったんですよ。

もともと人との距離の取り方が苦手なタイプだったので、友達を作るのとかも苦手なんですよ(笑)。そういうのもあって、ライヴでファンの方に会っても距離を詰められないタイプで。SNSでもそうだったんですけど、最近はInstagramの質問とかで慣れてきました。やっと楽しんでできるようになってきたなと。