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INTERVIEW

Japanese

ましのみ

2019年02月号掲載

ましのみ

Interviewer:宮﨑 大樹

-「エゴサーチで幸あれエブリデイ」(『ぺっとぼとリテラシー』収録曲)のようにまさにSNSのワードが入った曲もありますが、実際よくエゴサーチをするんですよね? いいこともあれば悪いこともある、場合によっては反応自体が得られないみたいなこともあると思うんですが、そういう反応で、SNSを使用するのがいやになることはないんですか?

1年前とかはエゴサーチが自分の中で流行っていた時期で、いいことにも悪いことにも全部"いいね"してましたね(笑)。"SNSだから見てないと思っているかもしれないけど、私は見ているからね"って。でも、怖いかなと思ってやめました、大人になりましたね(笑)。

-いわゆる威嚇ファボみたいな(笑)。

そこまでの気持ちではなかったですけどね(笑)。私が思っている以上に怖く受け入れられるかもしれないなと。エゴサーチは参考にする程度なんですよ。それこそ今回のアルバムは今まで以上に(ファンに)寄り添うようなアルバムなんですけど、逆にこれまでは寄り添わなかったんですよね。ファンの人はすごく大事で、喜んでほしいけど、寄り添ったことばかりだったら期待している以上のことが返ってこなくて、つまらないんじゃないかなと思っていて。"そう来るんだ!?"って期待を裏切るからこそ面白いんじゃないかなと。そういうわけで、エゴサーチをしていても"へー、そうやって受け取る人もいるんだ"くらいの考え方なんですよ。でも今回は"そういう根底があるけど、寄り添ってみよう"という作品なんです。

-今回のアルバムで寄り添ってみようと思った理由はなんですか?

デビュー・アルバム(『ぺっとぼとリテラシー』)が初めての全国流通盤だったんですよ。初めて全国流通していろんな地域にCDが届いて、それがきっかけでライヴをやりに行かせてもらって。ライヴで顔を見たり、サイン会で話をしたりするなかで、こういう人たちがこういうふうに思って私の曲を受け止めてくれているんだなっていうのがやっと見えてきたんですよね。世間という大きな壁に向かって戦うということがすべてだったのにプラスして、人が見えたことで優しさとか愛情が生まれてきたんですよ。私のこととか私の曲を好きでいてくれる人には幸せになってほしいじゃないですか? 昔からネガティヴな表現の曲でも、聴いた人が少しでも幸せな方向に行けるようにっていう思いがあったんですけど、それをもう少しだけ寄り添って、言葉の選び方とか構成の作り方とか、伝え方の部分でより届けることを意識して作ってみようと。

-そういう気持ちで前作との変化が出てきたんですね。

そうですね。前作は何も見えない、どうなっているかわからないところに切り込んでいこうっていうことだったので、棘をすごく大事にしてました。寄り添う必要はまったくない、ゼロだと思っていたんですよ。今回は寄り添おうって思ったところで、生音を入れてみたところもあるし、バラードも多くなったし、緩やかなものが増えました。その反動で1stアルバムのときよりも刺激的で楽しいものを作ってみるということもできて、幅が広がったなというのはすごく思いましたね。チャレンジができたなと。

-たしかに、『ぺっとぼとリテラシー』はましのみさんのイメージを定着させるようなポップでキャッチ―な印象が強かったのに比べて、今回はラヴ・ソングやバラードの印象も強く受けました。これは寄り添うという気持ちの表れなんですね。

そういうのをやってみようという気持ちがあったからこそ、緩やかなものがいいと思えたというか。「美化されちゃって大変です」とか、こんなにバカっぽくていいのかなという歌詞なんですけど、あえてそういう歌詞にすることで、そのときの状況をリアルに表せているのかなと思って。"寄り添いたい"というものがあったからこそできた曲がたくさんあるなと。

-全体的にストレートな歌詞が多くなっているなと思いましたが、これも寄り添うというテーマだからこそだと。

書きたいことは私の中に眠っているもの以外の何者でもないので、寄り添うからといって全然考えてもいないようなことは入っていないんですよ。言葉を選ぶときに、より意味がわからなくて刺激的な方を選ぶのか、より伝わりやすい方を選ぶのか、というところで、1回聴いてスッと入りやすい言葉を選んだ曲が多いですね。実際自分がそういうふうに意識した曲が寄り添ってくれていると受け取られるのか、そうじゃない曲が寄り添っていると取られるかどうかはわからないので、実験的であるというか、反応が楽しみです。

-その一方で、タイトルやサビはましのみさんらしいワード・センスに溢れています。このあたりはリスナーの目を引くようにという印象を受けました。

そうじゃないと自分が納得できないのはあったのかなと(笑)。寄り添うという部分を意識したうえでも自分の好きな言葉を使ったり並べたりしたかったので、そこが重要なポイントでもあるのかなと思いましたね。引っ掛かりを残したいという気持ちも、もちろんあります。


今までは歌詞とメロディが中心だったけど、音に関しても作りたいものをより考えられるようになった


-サウンドとしては、エレクトロ・サウンドが今回もありつつも、声とキーボードを際立たせていて、より弾き語りを意識したのかと思いました。

そこも寄り添うというところがあります。隙間があった方がスッと入ってきやすいのかなと思って。生音を入れて人間味、温かみを出した方が優しくていいものになるんじゃないかなと作った「錯覚」という曲もありますし、ピアノを生かしている曲も多いかもしれないです。1stアルバムに比べて自分のやれること、やれないこと、もっと挑戦してみたいことっていうのが把握できていて、今までは歌詞とメロディが中心だったんですけど、音に関しても作りたいものをより考えられるようになったのかなと思いますね。

-ここまで聞いて本当に"寄り添う"っていうことに徹底したアルバムになっているのがわかりますね。

そうですね。それを軸に置いたから「コピペライター」、「' s」、「凸凹」、「AKA=CHAN」みたいに反動で生まれた曲もあるので、このテーマにして良かったなと思いますね。

-「コピペライター」の歌詞とか"よくぞ言ってくれた!"って思いました。YouTubeのコメント欄って本当に"これ誰々のパクリでしょ"みたいなコメントばっかりで。

ね! 思いますよね! そんなコメントばっかり並んでるなぁ、もっと違うこと言ってほしいなぁって思います。そういうコメントも量産型ですし、音楽に限らず自分で決めればそれでいいのにって思っちゃいますよね。

-"いいぞ! もっとやれ!"って思いました(笑)。さて、話は変わってリリース後には、3月にワンマン・ライヴ"ぺっとぼとリテラシー vol.3 ~レセプションパーティー"の開催も予定されていますが、もう演出なども考えていますか?

ちょうど構成を考えているところなんですけど、12月にリリース記念ワンマンとは別コンセプトの"MashinomiX"というワンマンをやったんです。これは、楽曲をよりいい形で聴かせるにはどうしたらいいかっていうのを意識したライヴで。今まではライヴの構成をガチガチにしていたんですけど、ちょっと緩めて隙間を作ったら、余裕ができてライヴを楽しむことができたんですよ。そういう楽曲自体を生かすというところに集中して、そこから広げてエンターテイメントを作るというのを今回はやってみたらいいかなと。ライヴを意識して作った「' s」みたいに、歌うだけで今までとはライヴの雰囲気が変わる曲も多いので、曲をうまく届けて、生でみんなをエスコートできる場所にできたらいいなと思ってます。

LIVE INFORMATION

"ぺっとぼとリテラシー vol.3 ~レセプションパーティーin OSAKAでひとつになりまショータイム~"
3月15日(金)大阪 アメリカ村 BEYOND
OPEN 18:00 / START 19:00

"ぺっとぼとリテラシー vol.3 ~レセプションパーティーin TOKYOでひとつになりまショータイム~"
3月21日(木・祝)東京 渋谷ストリームホール
OPEN 17:00 / START 18:00

【チケット】
前売 ¥3,500(税込/D別)
※学生は¥500キャッシュバック(当日、学生証をご提示ください)
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