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INTERVIEW

Japanese

THE LITTLE BLACK

THE LITTLE BLACK

Member:のび太(Vo/Gt) 彩(Ba) マット(Dr)

Interviewer:石角 友香

WHITE ASHの解散直後にドラマーを一般公募したり、アマチュア・バンドと同じ土俵に乗る形でオーディションに挑んだり、のび太の本気を目の当たりにしてきた時期を経て、いよいよ1stミニ・アルバム『THE LITTLE BLACK』をドロップするTHE LITTLE BLACK。R&Bやヒップホップをルーツに持つドラマー、マットのスキルとエッセンスが加味された3ピースのグルーヴは、むしろ以前より、国内外のリアルな音楽シーンとリンクするヴィヴィッドさに溢れている。すでにミニ・アルバムなら2枚分ぐらい曲や構想はあるという今、バンドが楽しくてしょうがない様子の3人のこれまでと現状を報告しよう。

-WHITE ASHの解散後、のび太さんと彩さんの動きの早さをリアルタイムで追い掛けてて、ワクワクした覚えがあります。

のび太:解散が去年の3月31日で、そこから1週間経ってないですからね、新バンドのメンバー募集のツイート(笑)。

-今やマットさんもすっかり馴染んで。

のび太:そうですね。前のバンド(※WHITE ASH)から応援してくれてるファンの方々からすると、僕と彩さんはある程度馴染みがあるわけじゃないですか。それで新バンドをやるにあたって、まず形から前のバンドとは違うんだっていうのを明確にするためには、まず人数を変えちゃうのが見た目にも一番わかりやすいなと思って。じゃあ3ピースでロックをやろうとなったときに、僕と彩さんともうひとりのバランスがうまくいかないと、"ふたりとサポート"っぽく見えて嫌だなと。そう考えると、もうひとりがある程度、人としてキャラクターが確立されてて個性が強い人じゃないと、3人並んだときにいい感じにならないなっていうのは、オーディションのときに思ってたんです。マットは1次審査から、特に緊張するわけでもなく、普通に会話ができたというか。その馴染みやすさ、溶け込む感じがあったんで、"あ、これはいいな"と。それが今も続いてる感じですね。

-アレンジとか曲云々の前にバンド像を先に決めたってことですよね。

のび太:新たにバンドをスタートさせるにあたって、WHITE ASHと比較されちゃうのはどうしようもないことだと思っているんです。でも少なからず、似てるようだけど別物なんだなっていうのを、見た目的にも音的にもわかってもらえたらいいなというのがあって。3人だけどちゃんと寂しくないアレンジというか、聴いたときに"もう1本ギターあったらいいのにな"って思われないような曲の構成や音作りも、試行錯誤しながら作っていくなかで、自分自身としても、今さらギタリストとしての自覚っていうか(笑)、責任感じゃないですけど、出てきてますね。

-ライヴが終わったら、その日のライヴ音源をアップしたりというのは、当初はメンバーだけで運営してたんですか?

のび太:そうですね。それこそ今回の1stミニ・アルバムをリリースするこのタイミングでようやく事務所が決まって。今年の5月ぐらいまではずーっと自分たちだけでメールのやりとりから何からやってました。

-そこはのび太さんという情報発信できる存在の強みがありますね。

のび太:前のバンドの"知名度貯金"みたいなものを使いながら。だけど、それの有効期限も、もって半年から1年ぐらいだろうなっていうのも自分の中であって。だからTHE LITTLE BLACKの結成から1年の間に、ある程度知ってもらえるチャンスを増やす、何かしらのトピックを掴んでいかないといけないなと思って、そのひとつが"RO JACK"のオーディションにエントリーしたことだったんですよ。エントリーした時点で知ってもらえるチャンスが増えると思ったんです。"まさかエントリーするとは"っていう意見もあっただろうけど、どうせだったら賛否両論ある方がいいかなと。

-マットさんから見て、音楽性もですけど、ふたりとやりたいと思った一番大きいモチベーションはなんでしたか?

マット:僕が高校生のときに前のバンドのライヴを観に行ったことがあったんですよ。観に行ったり音源聴いたりしてた人と一緒にバンドをできるかもしれないチャンスが、オーディションって形で落ちてたから、最初から熱いメールを送って(笑)。

のび太:もともと(マットは)福岡出身で、たしか2013年だっけ? SiMの対バン・ツアーで福岡に行って(2013年7月17日に福岡 BEAT STATIONで開催された"EViLS TOUR 2013")、ツーマンやったときにお客さんとして観に来てくれたっていう話を聞いて。5年前は普通に演者とお客さんっていう立場だったのが、5年後同じステージで音を鳴らしてるっていうのは、ほんと人生何が起こるかわからないというか。


マットはロックンロール以外のところがルーツだから、それが逆にこの3人の強み


-マットさんの音楽的な志向は主にヒップホップですか?

マット:そうですね。ドラムは高校生のときに始めたんですけど、ロックからメタルの方にどんどん行ったんです。それがアメリカに留学してヒップホップとかの演奏を聴いて"ヤバい!"ってなって、そこからもうずっとそっち側ですね。バンドは今ロックをやってるんで、ドラムに出てるところはたぶんそういうヒップホップとかだけど、気持ち的にはロックって感じです。

-アメリカ留学は音楽で行かれたんですか?

マット:1年ぐらい音大に行ってて、そこでいろいろ出会いがあって。

-最近、アメリカに音楽留学する人はわりと新世代ジャズとかを志向して渡米しますよね。

マット:そうですね。ただそこは西海岸と東海岸でめちゃくちゃ違うんで。東にバークリー(音楽大学)とかあるんですけど、そっちに行ってる人はたぶんモダン系のジャズとかやってて、僕は西側の大学に行ったんですけど、西側は、一応ジャズから来てるけど、R&Bとかもうちょっとゴスペルとか、パワフルな感じが僕のイメージとしてはあります。

-のび太さん、彩さんはすごい人に出会いましたね(笑)。

のび太:そうなんです(笑)。オーディションでは、一応応募してくれたみなさん全員にお会いして、リハーサル・スタジオで自分の一番自信がある曲を叩くっていうのを1個やったんですけど、そのときにマットが叩いたやつは......。

-何かをカバーしたんですか?

マット:BASEMENT JAXXの「Buffalo」って曲をドラムで。

のび太:今まで自分たちが作ってきたものがあって、どうしてもロックからは逃れられない。じゃあ3ピースでロックンロールをやるってなったときに、すごいロックンロールが好きなドラマーを入れたら、それはそれでちゃんと形にはなると思うんですけど、そうじゃなくて、マットってR&Bだったりヒップホップだったり、そういう黒い要素がすごいあって。ロックとは違うところにルーツがあるドラマーがロックンロールをやったときに、たぶんそのまんまやったとしても絶対違うものになるというか。歪な感じになって、それが逆にこのバンドの強みになるなと。普通じゃないフィルを入れたりするので(笑)、"そこにそのフィルぶっ込むか!?"みたいな。それを期待して、マットを迎え入れたところもあるので。

-去年ぐらいまで打ち込みとかエレクトロニックなバンドが多かったけど、今年は海外のバンドでも生ドラムが多くなってたりして、演奏の強みというか、それを感じたのでタイムリーでもあると思います。

のび太:そうですね。ジャンル的に言うと、海外でもロックよりR&Bやヒップホップがすごい勢いがありますけど、でもそういう方たちも、ライヴのときはトラックじゃなくて普通に生バンドなので。それを観ると、ほんとにライヴで見せるってなったときはやっぱ人が強いんだなっていうのは感じたりします。"やっぱ人だよね"と思いますね。

-結果的に新しいアプローチをするきっかけになったというか。

のび太:やっぱりマットのドラムになったことによって、創作意欲もそうですし、単純に3人で音を合わせる楽しさみたいなのがあるので、曲作りも結構早くできる。そういう意味でも作るごとに"今度こういう曲作ってみたいな"、"ああいう曲作ってみたいな"っていうのが生まれてくるので、もう1回生まれ変わってやれてるのが今楽しいなって感じですね。