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INTERVIEW

Japanese

ArtTheaterGuild

 

ArtTheaterGuild

Member:伊藤のぞみ(Vo/Gt) 木村祐介(Gt/Cho) 浅井 萌(Dr)

Interviewer:TAISHI IWAMI

-ArtTheaterGuildの曲を聴いて、背景にthe pillowsの存在を感じる人は少なくないと思うんです。そこの答え合わせを思いっきりやってる、という自覚があってのことなんでしょうか。

伊藤:曲作りやアレンジにおいてのモデルになってる場合が多いです。

-伊藤さんはビデオの中でTHE STROKESのTシャツも着ていましたが、そういった海外のオルタナティヴ・ロックやインディー・ロックを聴くようになったことと、the pillowsを好きになったことは、時系列としてはどう並ぶのですか?

伊藤:the pillowsが先です。

木村:僕も伊藤と同じです。中学1年生のときにthe pillowsに出会って衝撃を受けて、そこから、さわおさんやthe pillowsのみなさんがどんな音楽を好きなのか掘り下げるようになって、PIXIESからTHE BREEDERSの流れとか、そういうのも好きになっていきました。そこで面白かったのが、真鍋さん(the pillowsの真鍋吉明/Gt)さんが、雑誌かなんかで"ギターが上手くなるにはどうしたらいいですか"っていうファンからの質問に、"LED ZEPPELINを練習した方がいい"って答えてて、僕も必死に練習したんです。でも、実際に真鍋さんと話せるようになってそのことを話したら"あれは半分ジョークだよ。LED ZEPPELINの曲が弾けても、俺みたいなタイプのギターにはなれないし"って(笑)。

伊藤:それは僕的にはピュアないい話。

木村:何年も騙されてた(笑)。

-でもJimmy Page(LED ZEPPELIN/Gt)の技を習得して悪いことはないですよね。

木村:ArtTheaterGuildの音楽性だと、ダイレクトには生きないけど、技術としてはすごく役に立ってます。

-浅井さんはビデオの中でDNAのTシャツを着られていて、今(※取材時)はBAUHAUSのTシャツ姿。ArtTheaterGuildの音楽は90年代のオルタナティヴ・ロックが起点になっていると思うんですが、そこで70年代後半や80年代の、プレ・オルタナティヴ的なバンドを抑えているところが、ニクい。

浅井:DNAのようなニューヨークものとか、ポスト・パンクとか、日本だとゆらゆら帝国とか、アンダーグラウンドなにおいのする音楽も好きですし、ArtTheaterGuildのような音楽も好きで、対バンするバンドの音源とかもよくチェックしてます。

伊藤:でも、24歳の女の子らしからぬ感じで、突き詰めてるところはとことん詰めてる感じはしますけど。

浅井:そうかもしれないです(笑)。

-そのセンスがドラムにも出てると思うんです。

伊藤:僕はそういう80年代のポスト・パンクとかを浅井さんから教えてもらったんで、そこまで深くは話せないんですけど、各々のアレンジに個性は出ていると思います。

-ビデオを見てもわかりますが、まず、ほぼ手数が少なくて基本的なパターンの繰り返し。さらに、スネアとキックとタムを一緒に"ドンッ"って、形だけなら初めてドラムを前にした瞬間にでもできるプレイを、ポイントで散りばめています。でも、そこになんとも言えない味わいがあって癖になる。

伊藤:浅井さんも僕も、もともとシンプルなドラムが好きで、"手数があるから技術がある"じゃなくて、少ない手数の中でアイディアを出すっていうのは、打楽器の真骨頂だと思っていて。だから彼女とこのバンドとの相性がいいんだと思います。

-浅井さんは、何か心掛けていることはありますか?

浅井:カンカンした音は個人的に好きじゃないんで、チューニング的には低めのセッティングにしてます。でも、パターン的なことは感覚的にやっていて、頭で試行錯誤してる感じではないんです。正直何も考えてない(笑)。あ! でも、スネアの1打、バスドラの1打、フロアの1打、ひとつひとつの音をしっかり届けられるようにって考えると、ライヴも含めて緊張しなくなるっていうのはあります。"今いい音が出た"って思えると、次の音にも繋がっていく。手数は少ない方が好きだし、そこで出る音にこだわってるっていうことかな。

伊藤:そうなんだ(笑)。

浅井:そうなんですよ(笑)。

-で、曲の終わり方がカッコいい。

伊藤:"爆発させようぜ"って言ってくれたのはさわおさんですね。

-さわおさんはプロデューサーという立場から、どのように制作に関わられているんですか?

伊藤:さわおさんは自分たちがやりたいことを尊重してくれたうえで、例えば僕が弾いてるコードに対して"ベースがここにいちゃいけないよ"とか、"ここは歌メロを大事にしたいんでしょ? だったらギターがこういうフレーズを出すとぶつかっちゃうから、ちょっと変えた方がいいかも"とか、音楽的なアドバイスをくれるんです。そういうことをパッと見つけてくれて。で、実際にそれをやると明らかに良くなる。効率はアップするし、僕らがやりたいことと確実に繋がっていくし、いろいろ学べるし、ありがたいことしかないです。

-"HAUGA"というアルバム・タイトルも気になったのですが、これはみなさんで?

伊藤:"ホウガ"と読むんですけど、"芽吹く"という意味と、ArtTheaterGuildなんで"邦画"とかけて。で、最初は"HOUGA"だったんですけど、検索に引っ掛かりやすいようにとか、もうちょっとユーモアが欲しいとか、そういうことをさわおさんと話していたときに、"じゃあ「O」を「A」にしたら?"って言ってくれて、ビビッときました。

-"Theater"と"邦画"を関連づけたということは、シネマ仕立てのアルバムだとか、そういうことですか?

伊藤:ArtTheaterGuildっていうバンド名そのものが、映画の配給会社(※1960年~1980年代にかけて活動した映画配給会社"日本アート・シアター・ギルド")から拝借した名前なんですが、だから映画っぽくとか、そういうコンセプチュアルなイメージではありません。曲を作った時期もバラバラですし。でも、今まで出してきた曲との違いは、必ず曲に対してモデルが存在するということ。誰かに向けて作った曲が集まってるんで、そういう意味で、気持ちの入れようとしての繋がりはあると思います。