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INTERVIEW

Japanese

アゲハ

2018年09月号掲載

アゲハ

Member:揺紗(Vo/Gt) 齋藤 紳一郎(Gt) YUKIA(Ba) ヒロキ(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

変態を経て頼もしき羽を得たアゲハは、ここから自由に飛び回っていくことになるのだろう。先だって8月19日にその存在を明らかにしたアゲハは、そのバンド名のごとく羽化したばかりの真新しいバンドだ。それでいて、アゲハを構成するメンバーたちは、それぞれにこれまで様々なキャリアを積んできた面々であり、その実力については保証されているも同然だと言える。来たる10月19日に渋谷REXでの初ワンマン"TheBeginningGIG「-STRANGE ATTRACTOR-」"を開催し、会場限定ミニ・アルバム『UPPER SCHOOL』を発表するという彼らは、きっとここから"アゲ派"を増殖させていくことになるに違いない。

-アゲハは8月に発表された新しいバンドですが、メンバーのみなさんはそれぞれにキャリアをお持ちでもいらっしゃいます。まずは、どのような経緯をもってこのバンドがスタートしたのかということから教えてください。

揺紗:僕がバンドをやっていなかった時期に、趣味で作った曲を齋藤君に"ギター弾いてくれない?"って頼んだのが、今思うと最初のきっかけでした。

齋藤:俺は俺で、自分の作った曲を(揺紗に)"歌ってくれない?"ってなってね(笑)。

揺紗:そんなことをやっているうちに、だんだんと自然に"じゃあ、一緒にバンドやろうか"となっていった感じです。

-揺紗さんと齋藤さんは、もともといつごろから繋がりを持つようになられたのですか?

齋藤:僕はLSNでサポート・ギターをやっているんですが、そこで歌っているのが揺紗で、ちょうど同い年だったのもあって、仲良くなったんですよ。

-だとすると、まず揃ったのはギタリストである齋藤さんとヴォーカリストである揺紗さんです。リズム隊のおふたりとは、どのような形で合流することになったのですか?

齋藤:なんとなく"誰かいたらいいね"くらいの感覚で考えていたら、ちょうどこのふたりがいたんですよね。

揺紗:まず、ゆっきー(YUKIA)とは、とあるイベントで知り合って、そこから"一緒にやってみない?"っていう話をし出したんですけど、"誰かいいドラムいない?"って彼に聞いたら、"俺はヒロキと一緒じゃないとやだ"っていうことでヒロキを紹介されて、そのままこの4人が揃いました(笑)。

YUKIA:ヒロキとは前のバンドで1年くらい一緒にやっていたんですけど、"いい感じに息が合ってきたな"と思い始めたくらいのタイミングで解散してしまったんですよ。それで、もし次にリズム隊としてやるときがあったらまたヒロキがいいなと思っていたから、"やるなら彼とぜひ!"っていうことを言いました。

ヒロキ:ゆっきーにベース・サポートしてもらっていたバンドが解散して、サポート・ドラマーとしての活動が中心になっていたんです。だからゆっきーから話が来たときには、"また一緒にやれるんだ"というのがとても嬉しかったですね。それも、むちゃくちゃいい声をしている、むちゃくちゃいい曲を書く人がいるバンドだということで、すごいテンション上がりました。"この曲のドラムを俺が叩きたい!"って純粋に思ったんです。

-かくしてこの4人が揃ったことになりますが、初期段階では、バンドとしてここから進んでいく方向や展望については、どのような話し合いがあったのでしょうか?

齋藤:何よりも"純粋に自分たちが好きなことをやっていこう"という雰囲気が、みんなの中にありました。"それぞれがやりたいことを100パーセント出せるようなバンドにしていきたいよね"という感じで始まったんです。だから、うちは曲の中にちょっとだけメタルの要素が入っているものもあったりするし、そこはいろいろなんですよ。

YUKIA:例えば、1曲の中にファンクだったり、メタルだったり、フュージョンだったりが微妙に混じりあったりしているんですよ。そういう意味では、実はかなり雑多でマニアックなことをやっているバンドかもしれません。

齋藤:カラーで言うと、もともと揺紗君はポップな曲を作るのがとても上手な人なんですね。俺は逆に、わりと切ない、暗いみたいなものが得意な方なので、実際にこのバンドのための曲作りを始めてからは、その中間に位置するような曲も作っていくことになって、そこは試行錯誤をしていったところもあります。

-なるほど。今回の取材用にいただいた資料によると、アゲハは"ジャパニーズ・ロック・バンド"であるという旨の文言が書かれていますけれど、特定のジャンルを指さない言葉をここで用いているのはあえてのことだと言えそうですね。

齋藤:すごく簡単に言っちゃうと、最も重要な軸として考えているのは揺紗君の歌であり、メロディ・ラインそのものなんですよ。そこありきで、サウンドの面ではみんなそれぞれ自由にやっていこうよという姿勢を言葉にしたら、"ジャパニーズ・ロック・バンド"というのに行き着いたっていうことですかね。

-つまり、アゲハにおいてはヴォーカリストである揺紗さんの肩に掛かってくるものが、だいぶ大きいことになるのではありませんか?

揺紗:そういうことになっちゃいます(笑)。いやでも、僕は別に楽しくやれたらそれでいいんです。別に20代前半とかでいきなり始めるバンドじゃないし、必要以上に気負っているところや、燃えたぎる野望みたいなのは全然ないですから。希望としては、細く長くでも続けていって、"そのうち野外フェスとかに出られるようになったら面白いだろうなぁ"とか思ってるくらいですよ。

-楽器隊のみなさんは、個人レベルだとこのバンドに対してはどのような希望をお持ちなのでしょうか?

ヒロキ:僕もこれまでいろいろやってきたぶん、長く続けられるバンドにしていきたいなという気持ちが強いです。バンドはひとつのチームでもあるので、4人でここからひとつずつの課題とかも乗り越えながら楽しくやっていきたいと思ってます。赤く激しく燃えたぎるっていう感じとはちょっと違いますけど、自分の中では青い炎がふつふつと湧いているような感覚に近いですね。

-実際には赤よりも青い炎の方が温度は高いそうですから、それだけの高い熱量をもってヒロキさんはアゲハに臨んでいるということになりそうです。では、齋藤さんは?

齋藤:自分の場合、これまではすでに活動しているバンドにあとから加入するパターンが多かったんですよ。まぁ、昔ハードコアみたいなバンドを最初からやっていたこともあるにはあるんですけど、それもメンバーが結婚とかしちゃってなくなっちゃったので、それなりに長くバンドをやってきている一方で、いちギタリストとしてはまだ、"俺はこうだ"っていうものを完全には作り切れていないところがあるんですよね。だから、このバンドではそれを構築していきたいなと思ってます。