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INTERVIEW

Japanese

Mr.Nuts

2017年07月号掲載

Mr.Nuts

Member:ヤハラシュン(Vo/Gt) 館山 翔吾(Dr) アシハラナオキ(Ba)

Interviewer:秦 理絵

-「ガラスの日」はメロディがとてもきれいな曲じゃないですか。こういうバラード曲がEPに入ることで、Mr.Nutsの表現の振り幅も出せてるんじゃないかと思います。

ヤハラ:たしかに振り幅を出せるバンドになりたいっていうのは考えてたんですけど、今回の4曲を入れるときに、正直に言うと良い曲を4曲突っ込んで、歌詞は全部同じテーマでなければいけないっていうのもあったから、振り幅を狙わなかったんです。それでも振り幅を感じてもらえるものになったのは良かったと思います。

-話を聞いてると、「ファイター」がバンドにとって大切な曲だと思いますけど、「帰り道」をリード曲にしたいと思ったのは何か理由があるんですか?

ヤハラ:この曲は聴きやすいメロディで難しい言葉は一切使わずに書こうと思った曲なんです。「帰り道」で言いたいことは、タイトルからは想像もつかないことで。"ありがとう"とか"ごめんなさい"っていう言葉を言うときに、余計な装備はつけないで、丸裸な気持ちで伝えないと何も意味がないんだよっていうことを伝えたくて作ったんです。何をリード曲にするかっていう話し合いをするなかで、最初、僕は完全に「ファイター」にしようと思ってて。周りの人たちが「帰り道」がいいって言ってくれたんですよね。で、改めて考えてみたら、自分が最大限に言いたいことはこの曲だなって気づいたんです。

-それはやっぱりヤハラさん自身が"ありがとう"とか"ごめんね"を言うときに武装してしまったりする部分があるからですか?

ヤハラ:あぁ......そう言われてみると、そうかもしれないです。あんまり自覚はなかったんですけど。そのときの自分の気持ちとは違う言葉を発してしまうときがあるんだと思います。自分が曲の中で、"そのままの言葉で伝えろ"って言ってるんだから、自分もそうしなきゃいけない。半分戒めのような気持ちもあるかもしれないですね。

-わかります。「20歳」という曲は実際にハタチになったときに書いたんですか?

ヤハラ:そうですね。ハタチになってすぐぐらいに書きました。書き始めたときは、21歳とか22歳になったら歌えなくなっちゃうんじゃないかと思ったんですけど、完成していくにつれて、この曲もずっと歌い続けていけるなっていう歌詞になって。タイトル曲として歌っていいぐらい、自分の考えがまとまった歌になりました。

-歌詞に出てくる"「来た道は戻れるけど時間は戻ってこないよ」"っていうのは本当に言われた言葉ですか?

ヤハラ:高校を卒業したてのときに中学の友達に言われたんです。そのときは友達だとは思ってなかったんですけど。当時、僕は周りの人に対しての刺々しさを隠してなくて、つっぱってたんですね。でも、そいつは何事もストイックに全力でやるタイプの人で。僕はそういう人が苦手だったんですよ。そううまくいかない人間だっているんだから、それを強要しないでくれと思ってたんです。だから最初は"いや、こいつは何を言ってるんだ"と思ったんですけど、大人になって"あぁ、あながち間違いじゃないんだな"って思うと、その人のことも嫌いじゃなくなってきて。無駄にしてた時間のことに気づけたんです。

-「ファイター」とかを聴かせてもらうと、ヤハラさん自身もストイックなタイプなのかなと思ってたんですけど、昔は違った?

ヤハラ:自分の中で、自分が吐いてる言葉がストイックだと思ったことがないんです。でも、たしかに「ファイター」を歌っていくうちに、お客さんとか周りの人に"ヤハラさんは強い人ですね"とか、"ストイックで感動します"とか言われるから、これをストイックと取る人もいるんだなと思って。振り返ると、自分がストイックで苦手だと思ってた人の発言も、実は自分のことをストイックだとは思ってなくて、自分なりの正解を言ってくれてただけなんですよね。いまはその言葉が大事なことだったなって思ってるから、これからも大事にしていきたいと思って素直に書きました。

-ちなみに、Mr.Nutsには7分ぐらいの長い曲もありますけど、今回はほぼ5分ぐらいじゃないですか。意識的に短くしたんですか?

ヤハラ:自分が違和感のないように曲を作ると自然に7分半ぐらいになるんです。周りの人にも"曲が長い"って言われるんですけど、バンプ(の曲)も結構長いんですね。だから長く感じないぐらい良い曲を書けば、長くてもいいと思ってるんです。でも、これからは短くて良い曲を書けるようになりたいと思って、いままであった曲も短くしたりして、あえて簡潔にまとめるようにしてます。

-伝えたいことが溢れちゃうんですね。

ヤハラ:溢れてますね。7分でも足りないぐらいです(笑)。僕らは気が小っちゃいんですよ。だから、普段生活をしてると取り繕って喋ってしまうことがあるんです。でも、そうするとしばらく経ったときにつらくなってきちゃうというか。曲の中では正直じゃないと、自分が崩れちゃうんですよね。恥ずかしいぐらい赤裸々に書くことによって、自分の気持ちをすっきりさせてるというか。何かを言われて悔しいとか、悲しい、嬉しい、そのすべてを歌詞に入れることによって、自分がすっきりしてる部分もありますね。

-つまり、Mr.Nutsが音楽を作ることは自分の気持ちを整理する作業でもあると。

ヤハラ:僕は人並みに幸せだけど、毎日悩むし、小説とか映画になるようなすごい人生のストーリーを持ってるわけじゃない。それを歌いたいんです。たぶんみんなが求めてるのもそういうことだと思う。平凡というか。それが一番歌いたいことですね。