赤色のグリッター

INTERVIEW

Japanese

赤色のグリッター

2017年04月号掲載

Member：佐藤リョウスケ（Vo/Gt）鈴木陸生（Gt/Cho）渡辺明日香（Ba/Cho）クラカズヒデユキ（Dr/Cho）

Interviewer：沖さやこ

－「カーテン」は歌詞に幼さもあるので、高校生と聞いて腑に落ちました。

佐藤：高校生で終電まで誰かを待ってるのは、僕がお母さんだったら怒って問い詰めますけど（笑）。僕は積極的に行くけど肝心なことが言えないタイプなので......たぶん僕は心が女の子なんですよ。女々しいというか。

－そうですね。今回は依存にも近い愛情を思わせる描写が目立つというか。

佐藤：私生活も依存系なので、ひたすらピュアだと思います。自負してます（笑）。

－（笑）「愛のジレンマ」（Track.1）なんてまさしくそういう曲ですものね。

佐藤："これ言っちゃだめ"みたいなのがあると言いたくなったりするじゃないですか。言いたいことを止めてしまったら失うものはたくさんあるなと思うんですよね。だからこうあるべき、みたいな正解を作らないようにはしていて。ありきたりな言葉じゃなくて、こういう言葉使ってきたか！というものが作りたくて作った曲です。......好きになっても、つらいことだらけじゃないですか。例えば返信が来なかったり、その人に彼氏や他に好きな人がいたりとか。でも"好き"という気持ちはどんどん前に前に行っちゃう。返信が来ないことも他に好きな人がいることも許しちゃう。でも好きだし、それがつらい――そういう葛藤を書きました。

－気にしすぎでは？と思うほど"過去"が出てきますが。

佐藤：僕、過去を気にしがちで。好きになった人が使っている言葉も口癖も全部、むかしの人が使っていた言葉で。それがあっていまがあるのはもちろんだし、素敵なことだとは思うんですけど......自分はそれがつらいし、許せない（笑）。

一同：（笑）

佐藤：そういう話は聞きたくない（笑）。だから僕も、過去の話を一切しないんですよ。ゼロからあなたを知りたいから、僕もゼロからいきたい。どこかに一緒に行ったとき、過去に行ったことがあったとしても初めて来たふりをしてほしい（笑）。"好きになった人の過去が嫌だ"という気持ちがずっとあったので、ずっとそういう曲を作りたかったんですよね。この曲ができたときは"やっとできた......"という感慨深さがありました。好きになった相手の過去が本当に嫌なんです（笑）。

－オケができてからこの歌詞とメロディが乗ったということは、バンドではどういうイメージで音作りを？

クラカズ：ドラムには6曲すべてにイメージがあって、「愛のジレンマ」は"血しぶき"でした。結構怖いというか、粘度が高いイメージがあったので、そういうドロッとしたドラムが叩けたらと。

渡辺：うんうん。初めて聴いたときから私も赤のイメージが強くて、それがずっと頭にこびりついていて取れなかったんですよ。そこからベース・ラインをつけて、サビの後半にハイ・ポジションに行くところはどろどろしたイメージを出したくてメロディに合わせて弾いてみたりして。

鈴木：ギターは（佐藤が）作ってきたデモのフレーズをもとにアレンジしていくんですけど。メロディと歌詞が感情的なので、自分までエモーショナルになると、さらにドロッと人間臭さが出るぶん、モヤッとした曲になりそうな気がして。だから機械的......まではいかないけれど、自分の個性を控えめにして、"負けない"感じにしたかった。とにかくはっきりするように、シャキッと、芯を1本立てるような音にしないとなと思って粒立ちのいいものにして。自分がいままでやってきていないことをたくさん取り入れました。

佐藤：僕が考えるフレーズも、陸生が考えるフレーズも、それぞれ良さがあって。音楽で一番面白いのは作曲してるときなんですけど、ギターのフレーズを考えるのは2番目に面白いです（笑）。自分的にいいと思える曲があって、他の3人には僕が持っていないものがあって――それを知ったんですよね。だから日々学んでいくことがあって。僕らは4つの脳みそでひとつの曲を考えることができるのは強いなと思います。

－もともと佐藤さんはシンガー・ソングライター気質なフロントマンだったと思うんですよね。それがいろんな人と出会ったり、バンドで音を重ねていくうちに、バンドマン気質になってきたのかもしれないですね。

佐藤：単純に"もったいないな"と思うようになってきたんですよね。自分が"こうだ！"と思うプライドは絶対大切だと思うんですけど、柔軟性は大事だなと気づけて。それは浅田さんとか、出会った人から学んだことでもあります。自分がいいと思ったものでも、他のメンバーがいいと言ったものでも、"いい"と思ったものを最優先にする。それが4人でやる意味だと思うんです。きれいな欠片が落ちてるのに拾わなかったら、もったいないですよね。拾ってみて使えそうなら使えばいいし、そのとき使えなかったらポケットにしまっておけばいいし。