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INTERVIEW

Japanese

yule

2017年02月号掲載

yule

Member:Rei(Gt/Vo) Anna(Vo)

Interviewer:山口 智男

トラディショナルなフォークの影響を滲ませながら、アコースティック・サウンドだけに留まらず、エレクトロニック、ポスト・ロック、シューゲイザーといった多彩なサウンドを股にかけながらイマジネイティヴな曲の数々を奏でる男女混声の6人組、yule。彼らが初の全国流通盤となるフル・アルバム『Symbol』をリリースする。結成からわずか2年の若いバンドとはにわかには信じられない完成度の高さとスケールに圧倒されるが、これはまだ、ほんの始まりにすぎないらしい。そんなことを期待させるアルバムについて、結成メンバーであるReiとAnnaに話を訊いた。

-yuleは2015年1月にReiさんとAnnaさんが中心になって結成されたそうですね。"yule"というバンド名の意味と今回のサウンドを考え合わせると、バンドを始めたときに予め明確な音楽性、方向性が見えていたように思えるのですが、どんなふうに始まったんですか?

Rei:もともとAnnaちゃんと僕は別々に活動していたんです。僕は主に宅録をやりつつ、たまに弾き語りしたりバンド・セットで演奏したりしていて。

Anna:私はずっとアコースティックの2人組をやっていたんですけど、ずっとバンドがやりたかったんです(笑)。そのあとRei君と出会うきっかけがあったんですけど、たまたま私がやりたい音楽の要素がRei君が作っていた音楽にあって、なんだこれは!? ずっとやりたかったやつだ! という衝撃があったんですよ(笑)。

Rei:そこからどんな感じでやっていこうか、編成はどうしようかっていろいろ話をしていったんですけど、最初に出てきたのが、野外に木でできたステージがあって電飾があって、そういうところで演奏したら似合うようなバンドにしたい、だったんです(笑)。もともとふたりともアコースティックな音楽をやっていたんで、それが基盤にはなっているんですけど、明確にこういう音楽をやっていこうという話はせずに、なんとなく僕が作っていたデモの延長でって感じで、最初にできたのが「sleepless sleep」(Track.3)とか「starry song」(Track.5)とか。そういうちょっとケルト民謡的な要素とかアイリッシュ・フォークの要素とかが入った曲ができて、なんとなく方向性が見えたんですけど、そういう方向性1本で行ったら後々広がらないと思って、「羊が眠る頃」(Track.11)のようなまた違う要素を持った曲も作ってという感じですね。

Anna:アコースティック・ユニットをやっていたときもカホンやウィンドチャイムを使いながら、もっと面白いことが絶対できると思っていたし、電子音というか、DTMと言われる音楽にも興味があったので、組み合わせたら面白いんじゃないかと。あとは、そのユニットでは私しか歌ってなかったんですけど、男性ヴォーカルが欲しかったんですよ。私の声って私の声だけじゃ活きなくて、誰かの声があってこそ活きると感じることが多々あるんです。それで男性ヴォーカルを探しながら、こういう音楽がしたいんですといろいろな人に語っていたらyuleができていました。ただ最初はRei君が作った曲をバンド・サウンドで鳴らしたとき、"本当に表現できるんだろうか"、"こんなドラム叩ける人おるんやろか"、"私はバンドがやりたいんだけどな"ってちょっと不安でしたけど(笑)。

-そのあと、バンドに加わった4人が持ち込んだ要素もあるんですか?

Rei:僕たちずっと自主制作のEPを販売していたんですけど、そこでやっているアレンジはほとんど僕が作ったアレンジをそのままなぞるように演奏してもらっていたんです。でも今回、アルバムを作るまでの1年ちょっとの活動を通して、みんなでいろいろ、もっとこうした方がいいんじゃないかというアイディアを出し合い、それらが練られていって今回のアルバムに繋がったんです。だからEPとアルバムを聴き比べてもらうと、かなり進歩していると思ってもらえるはずです。バンド・サウンドになったことはもちろん、僕個人では思いつかなかった他の5人のアイディアもいっぱい入っている。その意味では、このメンバーだからこそ作れた音楽になっていると思います。

Anna:EPのときはもっと素朴でしたね。試行錯誤しながらとりあえず作ったものだから、yuleになりきれてなかった。

Rei:バンドを始めてまだ数ヶ月だったから自分たちで自分たちのことを理解していなかった。

Anna:まだメンバーとも深く関わりあえてなかったですしね。

-6人編成になって、お互いのことを理解してからの曲作りの方法って変わりましたか?

Rei:方法はそんなに変わってないんですけど、意識は変わりました。まず僕がデモを作るというやり方が基本なんですけど、ひとりでやっていたときはライヴで再現することはまったく考えてなかったので、思いついた音は全部入れたんですよ。でも6人になってからは、メンバーの個性や得意な奏法を思い浮かべながら作るようになりました。

-Reiさんが作る曲は歌いやすいですか?

Anna:以前は自分で作った歌を歌ってきたんですけど、yuleを始めたとき、他の人が作った歌を歌う喜びがまずありました。"あ、こんなメロディが来た"みたいな面白さは始めてから今までずっとあって、"あ、こここう来るんだ"みたいなところもRei君の性格上、結構あって(笑)、すごく楽しませてもらってます。もちろん、もっとこうした方がいいんじゃないかってときは話し合うんですけど、主となるメロディに対してこうした方がいいというのはないですね。それは他のメンバーもそうだと思うんですけど、Rei君が曲を投げるとまずLINEでみんなが"いいね!"、"いいね!"、"いいね!"って(笑)。めっちゃみんな同感してるやんみたいな。そういうのがyuleにはずっとあって。

Rei:ありがとうって感じです(笑)。

Anna:Rei君の作る曲を、みんな好きでいるってことがいいなって思います。

Rei:今回、Annaちゃんも1曲作っているじゃないですか。

Anna:いやいや、それはもう曲というか、鼻歌程度の歌を入れてくれたっていうだけなんですけど。