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INTERVIEW

Japanese

yule

2017年02月号掲載

yule

Member:Rei(Gt/Vo) Anna(Vo)

Interviewer:山口 智男

-6曲目の「hope.」ですよね。どんなふうに作ったんですか?

Anna:コードをあまり知らないからメロディから作るんですけど、その曲は4、5年前、ひとりで活動していたころに作ったもので、普通に家でピアノを弾きながら楽しむというか、何か嫌なことがあったらとりあえずこれを弾きながら歌おうかっていう、ただそういう曲だったんですよ。

Rei:スタジオで準備している間、Annaちゃんがこの曲を口ずさんでいて、すごく印象に残ったんですよ。それで、ちょっと違う視点の曲を入れてみたいと思って、コードをつけてアレンジして"アルバムに入れてみない?"って話をしたんです。

Anna:だから、"えぇ、家でひとりで歌ってた曲だよ。いいの!?"って(笑)。

Rei:いや、すごくいい曲だから入れた方がいいって言って、そしたらアレンジもすぐにできて。

Anna:で、一発録り(笑)。家で歌っているようなリラックスした感じを残したいという私のイメージを汲んでくれたんです。

Rei:これからもどんどん聴かせてって言ってるんですけど、私はいいやみたいな感じなんですよ(笑)。僕だったら思いつかないコード感を持っている曲を作るので、アルバムに入っていると幅が広がるから次に何か作るときは3、4曲、Annaちゃんが作った曲を入れたいですね。

Anna:頑張ります(笑)。

-『Symbol』は聴きながらイマジネーションが様々に膨らむ作品でしたが、今回、アルバムを作るにあたってはどんな構想があったんでしょうか? いただいた資料には"主人公が2人いる物語"とありましたが。

Rei:曲数もリリース時期もホント、何も決まってなかったんですよ。そんな状態からスタートして、とにかく曲を作ってどんどんレコーディングしていって曲が半分ぐらい揃った段階で、せっかくアルバムという形にまとめるんだから一貫したテーマがあった方がいいと考えて、みんなで話し合いながら出てきたのがそのテーマだったんですよ。曲が揃ってからまとめて聴いてみると、全体的にそういうテーマが潜んでいたというか、どの曲にも同じようなテーマが違った形で感じられたんです。

-どんな物語なんですか?

Rei:それは裏テーマなので、聴いてくださる方はあまり意識せずに好きなように聴いていただければいいんですけど、全体的に映画とか小説とか、長い物語の流れは意識していて、曲ごとにこっちサイドから見ている、あっちサイドから見ているという視点がふたつあって、なんとなく話が繋がっている。1曲目、2曲目で出発して、どこかに旅していくような物語だと思うんですけど、その旅を続けていくなかで感じるいろいろな感情を切り取っているんです。なんとなく不安になったり、希望を持ったり、何か確信のようなものを得たり、また考え直したりしてその結論は12曲目の「Ruler」になるんですけど、そこは何だろう? とりあえず進もうとしているってことなのかな。

Anna:終わりではないんです。また次に進もうとしている。まだ始まりの1枚目なので。

-1曲1曲、ディテールにまでこだわりながら作った作品だと思うのですが、アコースティックなサウンドとエレクトロニックなサウンドの両方を使いながら、それが両極端にならずに溶け合っているのは、音色の選び方や音作りが絶妙だからではないかと思いました。音色の選び方や音作りには、どんなこだわりが?

Rei:曲の原型はリズムとピアノかギターのコード。それと歌の旋律だけということが多いんですけど、そこから、この曲はメロディにキャッチーさがちょっと足りないという場合は、煌びやかな音を入れて華やかにしたらどうかとか、逆にこれは歌がすごくキャッチーで聴きやすい曲になってるからアレンジはシンプルにして、後ろで鳴っている音はパットとシンセのリフぐらいにしておこうという考え方です。どちらにしてもふたりのヴォーカルとリズムが絶対的な中心と思っているので、曲ごとにその歌とリズムを邪魔せずに引き立てるサウンドを、何十種類も音を試しながら一番相応しいものを選んでいます。今回のアルバムを作ったことで、だいたい自分たちの音楽に合う音色が固まってきたので、最近そのへんはすぐ決められるようになりました。

-音作りには、その他にどんなこだわりがありますか?

Rei:作っているときにだいぶ意識が変わったんですけど、最初はマンドリンと鉄琴がどの曲にも入っていたんですよ。アルバムを作る前は、なんとなくそれが自分たちの個性に繋がっていると感じていたところもあったんですけど、そればかりだと全曲同じように聴こえるかもしれないとどこかで思っていたところもあって、アルバムが半分ぐらいまでできあがったとき、レーベルの社長さんに聴いてもらったら"結構似た感じの曲が多い"と言われて、そこで意識が変わりました。マンドリンや鉄琴を入れると、たしかに独特の音になるんですけど、そこに頼っているといつか限界が来ると思ってマンドリンと鉄琴は絶対必要だと思う曲だけに入れることにしたんです。だから曲によっては、シンセとクラブ・ミュージックっぽいリズムが主体となっているものもあったり、反対にアコースティックの楽器だけで固めている曲もあったりというふうになったんですけど、最終的にはこの6人が演奏すればどんな音を使っていても自然にyuleの音楽になっていると気づけたので良かったのかなと思っています。