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INTERVIEW

Japanese

LILI LIMIT

2016年11月号掲載

LILI LIMIT

メンバー:牧野 純平(Vo) 土器 大洋(Gt)

インタビュアー:山口 智男

この夏、数々のフェスに出演しながら、改めて自分たちらしさを追求してきたLILI LIMITがメジャー1stフル・アルバム『a.k.a』をリリース。自分たちが一番好きなものだけを素直に作りながら、未来を先取りしたニュー・ウェーヴ・サウンドはピシッと焦点が定まってきたことを印象づける。11月11日の名古屋公演を皮切りに初のワンマン・ツアーもスタート。アルバムの曲を引っ提げ、"僕たちのことを本当に好きになってくれる人たちを探しに行こうと思います"という牧野純平の言葉からはアルバムに対する大きな自信が窺える。

-メジャーからリリースする1stフル・アルバム『a.k.a』はとても聴き応えのあるものになりました。宝探しをしているように聴けるアルバムなのかなと思ったんですよ。楽曲そのものはポップなんですけど、いろいろなところに意外性を含み、謎めいた仕掛けがあって、そういう仕掛けを見つけるたびに"おおっ"と驚いたり、想像を膨らませてみたりっていう聴き方が、宝箱を見つけてワクワクしながらひとつひとつ開けるような感じでした。

土器:嬉しいです。

-今年7月にリリースしたメジャー・デビューEP『LIVING ROOM EP』の延長上にある作品だと思うのですが、アルバムを作るにあたっては、どんな作品にしたいと考えたんでしょうか?

牧野:メンバーそれぞれが考えていたとは思うんですけど、"どういう作品にしようか"みたいなことは特に話し合ってないんです。EPに入ってる曲と同じタイミングで作った曲と、EPを作り終えてから作った曲が半々ずつ入っているんですけど、この1年、僕らが感じてきたものが素直に、自然に出ているアルバムになっていると思います。

土器:そのときそのとき、一番鳴らしたいと思った音をパッケージしているんです。メンバーごとに、この1年好きだった音楽が反映されていたり、その時期ハマッていた手法が散りばめられていたり、そうやって自分たちが好きなものに向き合いながら作ることができたと思います。

-『LIVING ROOM EP』を作ったとき、コンセプトを立てたり物語を作ったりしたうえで、LILI LIMITの、ある部分を見せていった方が良さが伝わることに気づいたとおっしゃっていたんで、今回もそういうところでは意識的だったのかなと思ったんですけど。

牧野:楽曲を作るうえでは、それはなかったです。アルバムにコンセプトはあるんですけど、それは曲が揃ってから僕が感じてつけたものなので。

土器:歌と歌詞と曲名と、あとはアートワークを作りながら徐々に形にしていったんですよ。

-そのコンセプトとは、どういうものなのでしょうか?

牧野:(アルバム・タイトルの)"a.k.a"って"also known as(=またの名を/別名)"の頭文字なんですけど、今回の13曲はそれぞれバラバラに聞こえて、独り立ちできるようなものが多かったので、このアルバム全体を良かったと言ってもらえることとはまた別に、1曲1曲が聴く人それぞれの物語にハマればいいという願いがあったんです。だから、とりあえず1曲1曲がバラバラに聞こえてほしかった。そのうえで、いい感じの流れができるように曲順も考えて、13曲通してもすごく良いものにしたいと思って、それはアートワークにも反映させました。

-あぁ。トランプのカード1枚1枚が1曲1曲で、それは独立しているけど――

牧野:重ねると、ひとつのヴィジュアル・イメージに見えるという。

-『LIVING ROOM EP』は1組のカップルを主人公にした4曲が収録されていましたが、今回もそのカップルが主人公で、EPで歌っていたことの以前と以後を歌っているんじゃないかと思いながら聴かせていただきました。

牧野:あぁ、それは結構ありますね。12曲目の「Naked」と13曲目の「Self Portrait」は違うんですけど、10曲目の「A Few Incisive Mornings」までは、そのふたりの話であると言えば、そう言えるかもしれない。

-今回も牧野さんが書いた歌詞に土器さんが曲をつけるという作り方だったと思うのですが、中には作曲のクレジットが牧野さんと土器さんふたりになっている曲もありますね?

牧野:僕がメロディをちょっといじることもあって。

土器:例えば、「A Few Incisive Mornings」は自分の中にオケだけイメージがあって、その他は牧野に振ってみたいと思ったんです。だから牧野が作ったメロディがほぼベースになっています。最初にオケを作ったときメロディもつけたんですけど、それはいったん置いておいて、"好きなように歌ってみてよ"ってオケだけ渡したんです。

牧野:それで、メロディと歌詞を何パターンか出したんですよ。

土器:そのひとつは最初、自分が考えたものに近くて、わりと言葉数が多かったんですけど、もうひとつはきれいに言葉を乗せた歌っていう感じの日本っぽい雰囲気があるもので。結局それを採用したんですけど、それは言葉も含め、ゆったり流れるようなものにした方がフル・アルバムの中で収まりが良くなると思ったからなんです。

-とても穏やかな歌ですよね。でも、リズムがさりげなくダンサブルで、そういうセンスは抜群ですよね。作り方もそうだと思うんですけど、他に新しいことを試したという曲はありますか?

土器:4曲目の「Observe」は新しいというか、これだけネタ要素の多い曲は初めてかもしれない。この曲のドラムのパターンは1年ぐらい前からやってみたかったんですよ。四つ打ちじゃないけど、踊れるリズムと機械的なベースで、演奏をぐいぐい引っ張るということをやってみたくて。その他にも随所に"ジャン!"ってクイズ番組で出題するときに使うようなオーケストラ・ヒットが入っているんですけど、そういうパッと聴きダサい音もキレキレの曲に乗せたらかっこよく聞こえるんじゃないかって思いつきから入れてみました。後半は、優しめに叩いたハンドクラップの音が入っているんですけど、それはバイノーラル・マイクを使って、耳の後ろから聞こえてくるように録ったんです。そういう思いつきから面白そうだと思った音を結構入れた曲ですね。

-そういう曲がある一方で、Track.6「Suite Room」のように今までにないくらいロッキンなギター・リフを鳴らすギター・ロック・ナンバーがあったり、Track.5「On The Knees」のような生っぽいバンド・サウンドを聴かせる曲があったり、そういうバリエーションは曲ごとにいろいろやってみた結果なんですか?

土器:他の曲ではギターを持ち替えて、さらに音を加えたりすることが多いんですけど、「On The Knees」は、ほぼスタジオで出した音そのままなんです。そういうシンプルな曲も入れたくて。「Suite Room」は難しいことを考えずに、ギターで押す曲を単純にやりたかったんですよ(笑)。わりとコード進行とリズムと歌だけでできあがっちゃったんで、それ以外に難しいことを入れる必要がなかったんです。それに僕らはバンドなので、一番バンドらしい音でパッケージしてみました。

-ストリングスとホーンを使ってオーケストラ風のアレンジとなった「Self Portrait」は、その対極と言える曲ですね。

土器:「Self Portrait」と「Wink, Blink」(Track.2)で生のストリングスとホーンを初めて入れてみました。これまでメンバー以外が演奏している音を入れたことはなかったんですけど、それが曲にとって一番いい形だったのでお願いしました。それも挑戦と言えるかもしれないですね。「Self Portrait」は在日ファンクの村上基さんにトランペットを入れてもらったんですけど、最初はサビのあとに入るメインのメロディだけを吹いてもらうつもりだったんです。でも、それだけではせっかく来てもらったのに申し訳ないし、こっちとしてももっと何かやってみたいと思って、"間奏はこれぐらいの尺なんですけど、とにかく何か吹いてみてください"って無茶振りをしてしまいました(笑)。こっちもなんて伝えていいかわからないし、向こうもどう吹いていいかわからないしってお互いに探り合いながら(笑)、何回か吹いてもらったら、それがすごく良かったんですよ。何も決まってないからこそ出てきた音っていうのもあったかもしれないですけど、そこからビッグバンドの経験と管楽器の知識もある志水(美日/Key)がおいしい音を選択したんです。

-"ギターで押す曲をやりたかった"とおっしゃいましたけど、この間、ライヴを観させていただいて、土器さんって今までの流れとは違うギター・ヒーローになれるんじゃないかと思ったんですよ。そしたら、1曲目の「A Short Film」ですげぇかっこいいクレイジーなギター・ソロが飛び出してきて、"そうそう、これこれ!"って思ったんですけど、今回、ギターはどんなアプローチでフレーズを考えたんですか?

土器:自分の趣味を入れている感じではあるんですけど、自分を出すタイミングと出さないタイミングは考えました。この曲はギタリスト=土器大洋をめっちゃ押していこうとか、この曲はオケに徹しようとか極端に分けましたね。例えば、「A Short Film」と「Naked」の2曲はやりたいように弾きました。特に前者のソロはたとえ受け入れられなくても自分が気持ち良ければいいぐらいの気持ちで弾いたんですよ。そういうのは久しぶりだったから、ある意味挑戦でしたね。逆に「Wink, Blink」はとにかく歪ませて、芯が出ないようにして、背景になろうと思いながら弾きました。