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INTERVIEW

Japanese

LILY

2016年08月号掲載

LILY

Member:福島 拓也(Vo/Gt) 橋倉 祐介(Ba) パンチ(Dr)

Interviewer:松井 恵梨菜

-1曲目の頭から厚みとあたたかさのあるコーラスが聞こえてきて、すごくパワーを感じました。

福島:1曲目にその声の入っている「スパイラル」を持ってくることで、"これからも一緒に音楽を作っていくんだ"という決意表明をしたかったというか。みんなが応えてくれたことに対する、俺らの答えですよね。あの声をひとりでも多くの人に聴いてもらいたいなと思ってます。

-「スパイラル」は、当初描いていたという"羽化"を連想させます。

福島:もともと、イメージはサッカーだったんですよ。僕らの地元群馬県にJ2(リーグ)のチームがありまして、そこと一緒にできたらいいねっていう話から「スパイラル」を作ってみたんです。それでやっと今年、7月20日にJ2のホームになってるスタジアムで「スパイラル」を歌えることになったんですよ(※取材日は7月5日)。スタジアムという大きな空間で、たくさんの人とあの声をもう一度出せるわけですよね。なんかそれってすごくワクワクしません?

パンチ:最初は1曲目になるってことも今回のアルバムに入れるってことも考えてなくて。でも、実際にアルバムの1曲目になって、サッカーのスタジアムで試合の日に演奏できる......思い描いたものが1年越しで実現するっていうのはすごく嬉しいですよね。

-アンセム的な1曲になりそうですよね。この曲のコーラスが何百、何千人と増えていったら、活動を振り返ったときにものすごい軌跡を感じられると思います。

福島:試合の日はキックオフの前とハーフタイムのときに演奏させてもらうんですけど、もちろんみなさん音楽を聴きに来るわけじゃなくて、サッカーの試合を観に来るわけですよ。だから、最初からすべての人であのコーラスはできないと思うんです。でも、ひとつの声から派生していって、最終的にみんなで大合唱になっていたら、本当に嬉しいですね。このバンドはバラードが好きで、それがすごく武器になっているし、押していきたいとは思ってるんですが、「スパイラル」のように一緒になってワーッて盛り上がる曲も、救われるものがあると思うんですよね。"あー、楽しかった"って、音楽はそのポジションにあればいいと思っていて。だからもっとたくさんの人が「スパイラル」を歌えるように、俺らがもっともっと頑張って、いろんなところでライヴをやって広めていきたいですね。

-バラードがお好きとのことですが、今作は前作以上に普遍性があり、バンドを聴かないような層の人たちにも届くような作品になっていると感じました。

福島:もともとメロディが良いものが好きで、それが自分にとって自信がある部分でもあるんです。でも、例えばいわゆる短三度転調......わかりやすい転調ですよね。そういうのがすごく好きなんですけど、自分で最初作ったものの、ちょっとやりすぎかなとか、これちょっとJ−POPに寄りすぎじゃないかと思って消してしまうことが以前はあって。それが、橋倉が入ってから"いや、これ自然に聴けますよ。気になるなら、こういうふうにやっていったらいいんじゃないですか?"って言ってくれたんです。その結果、本来のメロディが活きているのかもしれないですね。

-そんな中でも、曲で描いている人物像に合わせて曲調を変えているような印象を受けました。"キャバクラ嬢"を描いた「ダーリン」(Track.2)は大人の雰囲気があったり、"バンドマン"を描いた「coin toss」(Track.5)はロックだったり。テーマができてから曲を作っていくのでしょうか?

福島:僕、歌詞と曲を一緒に作っちゃうんですよ。ワードにそのままメロディが乗る感覚ですね。僕らは、音や曲の作りはバンドっぽくないかもしれないです。「ダーリン」なんかもう歌謡曲ですから(笑)。でも、ああいう歌謡曲のようなものをライヴハウスでどうやるんだろう、3ピースでどう表現するんだろうっていうところをいろんな人に観てもらいたいですね。そしたらCDの聴き方や曲の世界観も変わるのかなって思います。曲に似つかわしくない激しい演奏をしますので(笑)。

-「coin toss」はバンドマンが主人公ということで、ご自分を重ねた部分も大きいのではないかと思ったのですが、いかがですか?

福島:すごく重なりますね。でも、どの曲も僕が書いている以上、根本は自分の心から出てきた気持ちであって、このバンドから出てきた気持ちなんですよ。

-この曲は特にリアルに感じました。

福島:もう、どんなに頑張っても結果なんか出ないんじゃないかって思ったときに、そんなこと考えたってしょうがない、もうちょっともがいてみようってことを歌ってます。今まではそれをきれいな言葉にして、オブラートに包んできてたんですけど、今回はそのすべてを一度取っ払って、思ったことを思ったように書きました。ある意味バンドにとっては新しい挑戦だから、それをみなさんがどう受け取ってくださるのか、不安ではありますがワクワクもしてますね。

-最後に、『Gene』にかける思いをみなさんからうかがってもよろしいですか?

橋倉:間違いなく良い作品ができたという自信があります。聴いてもらう人にとって、"私の曲かな"って思える曲が必ず1曲はあるんじゃないかなと思います。僕たちの大変なこととかいろいろお話ししましたが、まずはそれを取っ払って、曲と向き合って、何か思ってもらえたら嬉しいですね。

パンチ:他のアーティストさんのCDを聴くときと同じように聴いても、素直にいいアルバムだなと思えるものができたなと。あと、全曲がスルメみたいな感じですね。うん。スルメみたいなアルバムができました。みんなしゃぶってください。

一同:(笑)

福島:完全にバンドが誤解されますね。でも俺、そのコメント嫌いじゃないです(笑)。本当にいろんなことをお話ししたんですけど、ひと言でいえば、さっきの言葉です。みんなと同じ目線で音楽をやってるってことだけ、本当にわかってもらいたいなと思っていて。みんなが毎日戦ってることと俺らがやってることはなんにも変わらないから。誰からも必要とされてないと思うこともあるんですけど、だから今俺らが応援歌を歌うっていうことに意義が出てくるような気もしてますので。一緒に戦うような気持ちでいられればいいなと思います。その姿勢の現時点での集大成が『Gene』なので、ただただ手に取ってもらって聴いてもらいたいですね。