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INTERVIEW

Japanese

LILY

2016年08月号掲載

LILY

Member:福島 拓也(Vo/Gt) 橋倉 祐介(Ba) パンチ(Dr)

Interviewer:松井 恵梨菜

ずっと応援歌を歌い続けてきた群馬の3ピース、LILY。彼らが8月3日にリリースする2枚目の全国流通盤『Gene』には、1年前の前作『Cocoon』発表後、バンドに突きつけられた現実が鮮烈に刻み込まれていた。数々のトライ&エラーを繰り返してもなお、出ない答え、変わらない現状。しかしそれを受け入れたうえで突き進むことを諦めなかった彼らが辿り着いたのは、"頑張れ"と一切言わない応援歌だった。そのような手段を取った、彼らの真意とは――? この1年間の歩み、そしてその成果として形となった、バンドが新たな勝負をかける今作について赤裸々に語ってもらった。

-前作『Cocoon』(2015年リリースの全国流通盤1stミニ・アルバム)をリリースしてからちょうど1年が経ちますが、手応えはいかがでしたか?

福島:前作を出すときはやっぱり全国流通することで世界が変わっていくのかなって思ってたんですよ。もちろん、いろんな人と一緒に作ることで出会う人の数は増えたんですけど、自分たちの中で急激に何かが変わるってことはなかったですね。"音楽でやっていくぞ"っていう気持ちが新たになったというか。もう一度、イチから音楽のことを考えようと思いました。

-そう思うようになって、具体的に何か変えたことはありますか?

福島:とにかく音だったり、ライヴでの動き方だったり、いろんなトライ&エラーを繰り返してますね。ライヴを思いっきり盛り上げてやってみたり、逆にとにかく聴かせるライヴをしてみたり。それでも何ひとつ答えは出ないですけど。

-未だに答えは出ないですか?

福島:どのバンドさんも一緒だと思うんですけど、やっぱり答えが出た瞬間にバンドの進化が止まってしまうというか。

パンチ:一生付き合っていくのかなって思いますね、この葛藤とは。

福島:"応援歌を歌いたい"って言ってるし、たぶん俺らが幸せだったらダメなんですよね。"頑張ろう"って思ってもらうために、俺らが試行錯誤したり悩んだりして、それでもやっていくっていう様を見てもらいたいというか。かっこよく言うとそんな感じなんですけど(笑)。

-正直に言うと......?

福島:ただ迷ってるだけです(笑)。

-前作からの1年の中で一番大きな変化は、昨年11月に橋倉さんが正式加入し、メンバーが2人から3人になったことかと思いますが、橋倉さんはどういった経緯で加入されたんですか?

橋倉:僕だけ、もともと長野県松本市に住んでいて、松本のライヴハウスで働いてたんです。そのころLILYを知ってライヴに誘いまして、来てくれたっていうのをきっかけに知り合いました。僕も地元でバンドをやってたんですけど、LILYが2人になったタイミングで"ベースをやってほしいんだけど"って声を掛けていただいて。『Cocoon』のときはサポート・メンバーという形で弾いてたんですけど、去年の11月に正式加入して、僕もLILYの活動拠点である群馬に引っ越したという流れですね。

福島:僕らとしては、バンドに入ってもらうなら彼しかいないなと思ったので声を掛けさせていただきました。

-橋倉さんしかいない、というのはどういった部分でそう思ったのでしょうか?

福島&パンチ:シンパシー?

福島:ただそれだけなんですよね。初めて対バン・ライヴに誘ってもらって、橋倉がベースを弾いてる姿を見たときから、なんとなく一緒にやるんだろうなと思っていたというか。LILYの前のベース、矢内と会ったときにもシンパシーを感じたのですが、橋倉にも同じシンパシーを感じました。雰囲気や出す音が似ているわけじゃないんですけどね。直感です。あとは、僕とパンチの意見が結構ぶつかるから、橋倉みたいなスポンジのような人がいないとダメなんですよね(笑)。

-橋倉さん自身は、シンパシーを感じましたか?

橋倉:そんなに感じなかったですね。

一同:(笑)

パンチ:片思いか〜(笑)。

橋倉:いや、いいバンドで、曲もずっと好きだったんですよ。声を掛けてもらえてすごく嬉しかったんですけど、活動拠点を移さなきゃいけないということを考えたときの葛藤があって。そういうことを悩みながらも、半年くらいサポートをやって一緒に行動する時間が増えていく中で、この人たちとなら一緒にやっていけるかなと感じて覚悟を決めました。

-3人になったことで、バンドにどういう変化がありましたか?

福島:僕とパンチは8年くらいずっと一緒にバンドをやってるんですよ。だから曲作りにしてもライヴの構成にしても、ある程度の答えを持ってしまってるんですよね。良く言えば、長く一緒にやってきた成果だと思うし、悪く言えば固定概念じゃないですか。そこに橋倉が入ることで、彼がこれまで培ってきたものがバッと流れてきたんですよね。例えばライヴで同期を使うこととか、今までこのバンドがやったらダメだと思ってたことが、やってみたら良かったりして。パンチはわりと考え方が古いので......。

パンチ:あぁ、昔ながらのバンドマンみたいな感じかな。

福島:Windows XPみたいな奴なんです。

パンチ:喩えが悪い(笑)! サポート期間終わっちゃったよ! まぁ、たしかに3ピースのバンドだったら同期は入れずに3人の音だけでやる、みたいな考えはありましたね。

福島:他にも、今までやったことのなかった管楽器のアレンジを入れてみたりとか。変わることに躊躇がなくなって、本当に面白いぐらい変わりましたね。そのぶん意見の衝突は出てきましたけど、それがないなら一緒にやってる意味がないし、今はこれでいいのかなと思ってます。