Japanese
flower in the vasement
2016年05月号掲載
Member:渡邉 望(Vo/Syn/Manipulator) 齋藤 準基(Ba/Syn) 新垣 拓朗(Gt/Syn) 吉川 卓(Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
都内を中心に活動する4ピース、flower in the vasementがニュー・シングル『deep deep april』をリリースする。エレクトロとバンド・アンサンブルとが溶け合った、細やかなレイヤー・サウンドで、イマジネイティヴな世界へと誘っていく「deep deep april」。そのサウンドは、音の世界へ思い切りダイヴさせ、没頭させてくれるくらい丹念に美しく描き込まれている。4人それぞれ、ポップスからロック、パンク、エモなど様々な音楽を聴き漁ってきたリスナーでもあり、その最高の音の体験を、flower in the vasementとして新しい形でアウトプットしようという高い志がある。そんなバンドの試みについて話を訊いた。
-シングル『deep deep april』は今年1月31日に配信リリースされていて、今回改めて全国流通となる作品ですね。
齋藤:そうですね、配信とライヴ会場限定でリリースしていますね。
渡邉:いろんなタイミングがちょうど重なって今回こういうお話をいただいて、"じゃあやろうか"という流れになった感じですね。
-"新曲を"というよりも、この"「deep deep april」(Track.1)を"という感じだったんですか。
渡邉:お話をいただいたのが、ちょうど今作を配信リリースした1月で。その準備に追われていたので、全国流通に間に合わせて新しい曲を作るという時間も割けなくてこの曲になったという現実的な理由もあるんですけど(笑)。
新垣:そもそも、すごく自信のある曲でもあったしね。こうして声をかけてもらえるのであれば、それに越したことはないという感じでしたね。
-シングルとしては、面白い構成の曲ですよね。いわゆる、Aメロ、Bメロ、サビと展開していく曲ではなく、頭のAメロ的なパートを繰り返していく展開でドラマを生み出す曲で。それでいて、キャッチーさがある。
渡邉:そう言ってもらえると狙い通りなのかな。最初にシングルのA面としてこの曲を選ぶときに、"この曲、サビなくね?"という話をみんなでしていて。もう一度"本当にこれでいいのか?"って考えたんです。でもみんなが共通して、"これはいい曲だから、これでいこう"と満場一致したのでA面にしました。
齋藤:カップリング曲の「in refrain」(Track.2)の方がキャッチーでわかりやすい曲になっているんですよね。
渡邉:わざとそうしたところもありますね。
新垣:普通だったら「in refrain」がA面になってもいいと思うんですけどね。本当にやりたいことや、新しいことに挑戦するという意味で、あえて「deep deep april」をA面にしたという感じですね。
-普段は"サビ"を意識して作っているんですか?
渡邉:そうですね。この曲も、サビはないけど僕がサビだと思っているところがあって。そこにうまく歌詞を乗せることができなかったので、サビがないように聴こえるんですよね。だから最初は"ここからサビです"というイメージで作ってはいるんです。
-普段はどのようにして曲を作っていくんですか? みなさんいろんな楽器を演奏できると思うんですけど、最初の発想はどこからきているのでしょうか。
渡邉:基本的な部分を作るのは僕なんですけど、新しい曲を作る際には"次にどんな曲をやりたい?"って一度みんなで話し合うんです。例えば、今あがっているワードだったら、"イケイケでゴリゴリなダンス・ミュージック"とか"散歩中に聴けるような曲"とか。それで僕が"例えば他のアーティストで言うとどういう感じの曲?"って聞いて、それから僕がその案をもとに作り始めるんです。制作に入ると僕が自由に作るので、結局違う感じの曲になったということはありますね。でもまあ、それが基本的な曲の作り方ですかね。
-あがったワードをもとに、デモを作り込んでしまうということですね。
渡邉:ほとんどそうですね。ただ、他のパートは作らないので、それ以外の部分を90%くらい作りますね。
齋藤:そのデモには同期の部分が結構入っていて。それに対して、それぞれが自分なりのフレーズを考えてきて、合わせるという感じです。
渡邉:最初は、ドラムも、ベースも、ギターも簡単なフレーズしか入れてないんです。それをみんなに投げて、スタジオに入ってから、"ああ、そうなるんだ、いいじゃんいいじゃん"って。
齋藤:だから自由度が高いんですよね。
渡邉:もしイメージと違えば、ひと悶着ありますけどね(笑)。
齋藤:結構みんなこだわりが強いので、もしいくつか案がある場合は、一度すべてのパターンをひと通りやってみて、多数決で決めますね。
渡邉:いやあ、多数決でもないでしょう。
新垣:でもまあ、全部のパターンを試そうっていう気はあるじゃない? その場で決めないで、ちゃんと録音したものを1週間聴いてから、次の週にもう1回スタジオで、いろいろと話して。考え抜いてやろうという意識はみんなあると思うんです。そういう意味では、民主的というか、みんながいいと思ったものはいいし。
-その曲を客観的に、みんなで眺める時間があると。
渡邉:たぶんそれが1番大事なんじゃないですかね。みんな自分が知らないアーティストの曲を聴いたという体での客観視はできるんですけど、リスナー目線で聴くのは無理なんですよね。逆に、それでうちのバンドの色が出ているんだと僕は思うんです。みんなそれぞれのバックグラウンドがあって――例えば卓(吉川)だったら、MUSEとか好きだし。
吉川:そうだね、うん(笑)。
渡邉:これはそういう雰囲気が出ていてかっこいいじゃんってなったり。各々の客観的な視点が違うんです。それで個性を出し合っているのかなって。
新垣:そもそもバックボーンが一緒で、何かのコピー・バンドから始めるというバンドじゃなかったからね。
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