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INTERVIEW

Japanese

avengers in sci-fi

2016年04月号掲載

avengers in sci-fi

Member:木幡 太郎(Gt/Vo/Syn)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

前作より約2年ぶりとなるフル・アルバム『Dune』をavengers in sci-fiがリリースする。テクノロジーに溺れていく人間の成れの果てとしての近未来を舞台とした本作は、静と動を行き来するアンサンブルと歪みまくるギターが特徴的。全10曲を染め上げる感情の種類は怒り、あるいは絶望だが、バンドは何を思い本作を生み出したのだろうか。それを探るため、このたびSkream!ではメール・インタビューを敢行。バンドの首謀者、木幡太郎(Gt/Vo/Syn)に話を訊いた。

-Skream!初登場とのことなので、少し遡ってお話を訊かせてください。2013年にベスト・アルバム『Selected Ancient Works 2006-2013』をリリースしていますが、バンドとして一旦区切りをつけることが目的だったのでしょうか?

区切りをつけるということでもないですが、唯一の新曲として書き下ろした「Crusaders」は詞、曲ともに今のバンドに繋がる仕上がりになったと思います。

-avengers in sci-fiが結成した当時と比べて今はシンセやエフェクターを積極的に使用するバンドも増えてきていますが、そういった周囲のバンドを見ていて思うことはありますか?

YouTubeなどの普及で、僕らがライヴを始めたころより世界的なトレンドが日本のバンドのスタイルに影響を及ぼすスピードが格段に早くなったこともあって、シンセ・ポップ的な方向性を志向するバンドは増えたと思います。しかし、一見洗練されているようでも単なる海外のバンドの模倣の域を出ていないバンドは多いです。クリエイティヴィティと呼べるものを備えたバンドは極一部で、それは今も昔もこれからも変わらないと思います。

-前作『Unknown Tokyo Blues』のリリースから約2年の期間が空いていますが、その間はライヴを中心に活動していたのでしょうか? その2年の間で新たに気づいたこと、考えたことなどはありましたか?

朝起きて世の中で起こっているしょうもないことに幻滅して、胸糞が悪いから寝る。を繰り返す有意義な2年間でした。

-そしてこのたびリリースする『Dune』が6枚目のフル・アルバムですが、ご自身ではどのような作品になったと感じていますか?

ロックに出会ったころの自分に、自信を持って"これがロックだ"と言える作品です。特にタイトル・トラックの「Dune」(Track.2)は当時の自分がこんな曲を作ってみたいと夢に見た曲を遂に形にできたと感じています。

-情報社会の果てに荒廃した未来が舞台となっていますが、この構想はいつごろ浮かんだのでしょうか?

荒廃した未来。これは現代そのものに言えると思います。戦争を紛争と言い換えてみたり、人間を縛りつけているだけに過ぎないテクノロジーを全能であるかのように崇めてみたり、現代には世界がまるで平和で幸せな社会であるかのように見せかけるまやかしの言葉が満ちています。それらに吐きつける反吐としてこのアルバムは作られました。テロリストになる代わりにこのアルバムを作ったとも言えます。

-テクノロジーに溺れていく人間に対して警鐘を鳴らすような作品ですが、現代社会に対してそのような絶望、あるいは危機感に近い感情を抱いていらっしゃるのでしょうか?

かれこれ数年間、胸糞が悪いままです。

-現在の音楽シーンに対しても、絶望あるいは危機感といったような感情を抱いていますか?

批評の存在を許さない日本のシーンの構造に大いに幻滅しています。クソほどの価値もない作品であっても激賞せざるを得ない一種の癒着構造がロックを滅ぼしてしまった。ロック・バンドを夢見たころの自分にはとても見せられないです。

-とはいえ、完全にネガティヴな温度感ではないですし、シンセやエフェクター(≒テクノロジー)をガンガン使いながらこういうことを歌っているんだというパラドックスも含め、"こんな世界だけどどうしたって愛おしい"という部分がアルバムにも表れているかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか?

そんな気持ちもそろそろなくなってきましたね。