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INTERVIEW

Japanese

フィッシュライフ

2016年03月号掲載

フィッシュライフ

Member:ハヤシング(Gt/Vo) ミヤチ(Ba)  テラオカ(Dr)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

-(笑)結果的に数々の賞を獲得しましたが、その後グランプリとしてのプレッシャーはありましたか?

ミヤチ:そのときは自分らがどんなバンドなのかもわかりきっていない段階だったのに"優勝したバンドだからこうならないといけないんじゃないか"という責任を感じましたね。『バトルフォーユー』をリリースするちょっと前ぐらいに、やっと"そんな責任感は実はいらなかったんだ"って気づいたんですけど。

-当時思い描いていた"グランプリとしてあるべき姿"とは具体的にどのようなものでしたか?

テラオカ:正直、ハッキリと何も見えないまま漠然と"カッコよくならないといけないんだ"と思ってましたね。具体的に"僕らはこういうところがカッコいい"っていうのがわからないまま、ただ結果だけを求めてたんです。

-そういうグランプリとしての責任感に囚われなくなったのはなぜですかね?

ハヤシング:単純に俺らが歳をとったというのと、それにつれていろいろなものに触れて考えが広がったっていうのが1番デカいなと思いますね。カッコいいバンドになるために何をするかわからない状況だったけど、時間の経過と経験の積み重ねによって "どうあるべきか"よりも"どうなりたいか"が3人から自発的に出るようになって。

-そういうふうに変化していったのはいつごろからでしょうか?

ハヤシング:どこかを境に急に変わったのではなくて、ちょっとずつ結実し始めた感じですね。

-なるほど。そして2015年3月には初のワンマン・ライヴを開催、さらに同年8月には1stミニ・アルバム『バトルフォーユー』をリリースしています。どちらもそれまでの3年間の総決算という意味が強かったのでしょうか?

ハヤシング:そうですね。

-そう考えると今回のアルバム『Exhibition』が総決算後の第一歩ですね。

ハヤシング:5年後10年後に"フィッシュライフはあそこが曲がり角だったよね"って言えるような1枚になるんじゃないかなっていう感じがしてて。もう完全に、今までの俺らじゃないところが出てきてるんですよね。それこそグランプリになったころからちょっとずつ育てていた感情ではあると思うんですけど、やっぱり今までは変にお客さんのことを意識しすぎてたんですよ。

-"どう聴かれるか"を過剰に気にしてしまっていたということですか?

ハヤシング:それももちろんあります。あと、それとは別問題で、僕らはずっとハヌマーンのパクリだと言われてたから"いかにパクリと言われないようにするか"っていうのを考えて、気づいたら先細りしちゃってたんです。そうやって"あれ? もっと自由に音楽やってもいいんじゃないかな?"と思ったとき、渋谷系の音楽を教えてもらったんですよ。お世話になってるスタジオのオーナーさんがちょうど渋谷系をダイレクトに体験した世代だったから、"どんな感じだったんですか?"って聞いてみたら"この曲の元ネタはこれだ"っていう展開がされてるコーナーが(CDショップに)あったりしたみたいで。音楽とはまた別に、そういうアティチュードもすごく好きやなって思ったんですよ。 "グランプリとしてちゃんとしなきゃいけない"っていう気持ちの中には"こういう音楽はしちゃいけない"というのも知らず知らずのうちに混ざってて、だからこそ、渋谷系っていう音楽があったことに勇気づけられたというか。

-なるほど。

ハヤシング:それから、"自分のルーツとは"という部分を考えるようになって、"ちゃんと自分の音楽の原体験に一旦戻ってから、今回のアルバムを作りたいな"って思えたんです。それで考えてみたら、例えばポルノグラフィティやったりMr.Childrenやったり、小中学生のときにテレビから聞こえてきたJ-POPが自分の根っこにあるなっていう結論に至ったんです。

-ハヤシさんの中ではそういう変化があったそうですが、例えば今回の収録曲をハヤシさんが初めてバンドに持ってきたとき、ミヤチさんとテラオカさんはどう感じました?

ミヤチ:大人になったんやな~って。

ハヤシング:ははは!

ミヤチ:曲を持ってくるときの"こんな曲にしたい"っていうイメージが今までよりも広がってて。全曲、これは今までの感じとは違うなって思いましたね。だから1曲できるたびにこっちのテンションも上がってました。嬉しかったです。

テラオカ:僕もミヤチとほとんど一緒で、1曲1曲驚いてましたね。ホンマにふたりで言ってたくらいですよ、"あいつ大人になったな~"、"どうしたんだハヤシ"って(笑)。

ハヤシング:俺的にはむしろガキになった感じなんだけどね。