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INTERVIEW

Japanese

バスクのスポーツ

2016年01月号掲載

バスクのスポーツ

Member:能美 亮(Syn) 磯部 蒼(Ba)

Interviewer:山元 翔一

-自分たちなりのアウトプットで過去のものを越えようとするっていう姿勢は、最近のバンドにはなかなか見られない気質ですね。では、バンドのテーマについて聞いていきたいのですが、バスクのスポーツは、"バスク地方のスポーツの勢い"をもとにバンドを結成されたそうですね。

能美:バスク地方のスポーツって前衛的な姿勢のものが多くて。変なことに全力を注いでいるところが意識的に似ているなって思ったんですよね。そういう姿勢をとり入れた曲を作ろうというテーマです。たまたまドラムのやつがバスク地方のスポーツが面白いって見つけてきたんですよ。それが自分たちの音楽のコンセプトにぴったりだったのでそのままバンド名に決まりましたね。これでなければ"キャプテンピッピゴーゴー"か"蟹工船"だったんですよ(笑)。

磯部:バスク地方のスポーツと僕たちの音楽は、熱さとアホさというか、ひょうきんなポップさは共通していますね。

-なるほど、わかりました。では、来年の1月にリリースされる『運動と食卓』の作品の構想について教えていただけますか? バスク地方のスポーツと料理名の楽曲が収録されていますよね。

能美:最初、自主制作でEPを出したんですけど、それは全部バスク地方のスポーツにちなんだ曲を作って曲名もスポーツの名前にしたんです。でも、バスク地方にはスポーツ以外にも面白いことがあって。最初はスポーツの姿勢だけを意識していたんですけど、バスク地方のしきたりとか面白いものが多くて。そういうものをモチーフにして曲を作っていくと、生活とスポーツは密接に関連しているということを感じたんです。"運動と食卓"っていうタイトルは、バスク地方のスポーツや食事、しきたりをテーマにしたコンセプト・アルバムを作ろうと思ってつけましたね。

-まさにタイトル通りの作品だということですね。各楽曲について訊いていきますが、まずTrack.1「Txoko」(読み:チョコ)について訊かせてください。

能美:これはバスク地方で"男性だけの集まり"っていう意味合いで、内緒話をするみたいな――男子会ですかね(笑)。男だけで集まるのって陽気で面白いじゃないですか? 曲の説明をすると、みんなで集まって楽しいことをするっていうイメージですね。1曲目にもぴったりな曲を作ろうっていうところでこのタイトルになっていますね。

-なるほど。個人的には、好奇心をそのまま音楽にしたような曲だなと思いました。MVも公開されていますが、かなりアヴァンギャルドな映像ですね。磯部さんが主に制作されたそうですが、映像と音楽はどの程度リンクしているのでしょうか?

磯部:ひとつひとつはリンクしていないですね。(バンドとしては)一発目のMVだったので、バンドの姿勢も一緒に表現したくて。あまり凝り固まらず、世界中のいろんな映像を使って「We Are The World」みたいな感じで、世界中の文化を織り交ぜた部分をより強調した映像に仕上げました。歌詞もないので世界中で聴いてもらいたいという気持ちもあります。

-この映像を観て、バスクのスポーツはみなさんの頭の中にある抽象的で衝動的なものを表現したいのかなと思ったんです。MVと音楽で表現しようとしていることは、それぞれ根底的に繋がっているわけではないんでしょうか?

能美:MVと音楽はまた別ものだと思っていますね。MVは視覚的に面白いものを、観ていて飽きない映像を作れたらいいんじゃないかなってぐらいで。その曲と映像がリンクしているっていうイメージではないですね。

-なるほど、バンドの精神性も伝えられればというぐらいのものだったんですね。磯部さんは、映像研究をされている音楽家の方に師事されたそうですが、そのあたりの影響はあるのでしょうか?

磯部:今回のMVに関しては......あるのかな? そこまで意識はしていないですね。

-では、続いてTrack.2「Gernikako arbola」(読み:ゲルニカコ・アルボラ)についてですが。

能美:これは"ゲルニカの木"っていう意味で。スペインのバスク地方の"ゲルニカ"っていう紛争を繰り返していた都市に、平和の象徴として植えられた木があるんです。何回も植え替えられながら守られてきた木で。「Txoko」は例外なんですけど、あまり曲名で曲を説明する気はなくて、この曲は展開も多い煌びやかな祝祭感っていうざっくりしたイメージで作りました。パイプオルガンを使っているということもあって祝祭感はあるんですけど、それが"ゲルニカの木"を表現しているというわけではなくて。タイトルとしてはそういうイメージですね。歌も入っていますが歌詞に意味はなくて、サウンドとしての機能を狙って声を入れただけなのでそこまで歌に対する情熱もないですね。

-Track.3「Segalaris」(読み:セガラリス)もバスク地方に実在するスポーツとのことですね。

能美:"セガラリス"は草刈りなんですけど、どれだけ低い姿勢で刈れるかっていうことを競うスポーツですね。正直、バカじゃないですか(笑)? そういう、"そこに全力なんだ(笑)"っていうアホさというところで。この曲は結構短くて展開もバチバチ進むような感じで、タイトルのイメージに引っ張られたわけではないですけど、このスポーツにある鋭さみたいなものを表現した曲ですね。

-ちなみに曲のタイトルは後づけなのか、それともお題があって作っていくのかどちらなのでしょう?

能美:それは両方ですね。あとから"この曲ってあのスポーツのイメージに近いよね"ってことで、タイトルをつけることの方が多いですけど。「Segalaris」に関しては後づけですね。バチバチとしたキメがあって鋭い曲を作ろうとしてて、あとで"セガラリス"を見て近いものを感じたのでこの曲名にしましたね。だからこそ曲名に意味や含みを持たせていないですね。

-先にサウンドの枠組みや要素があって曲を作っていくんですね。

能美:頭の中にある作りたい曲のイメージをメンバーに伝えて曲を作っていきますね。だから曲名は正直そこまでこだわってないです。タイトルを付けるのであればっていうくらいですね。