Japanese
FOLKS
2015年11月号掲載
Member:岩井 郁人(Vo/Gt/Prog/Cho) 岩井 豪利(Gt/Vo/Cho) 高橋 正嗣(Syn/Prog/Cho) 小林 禄与(Per/Syn/Gt/Cho)
Interviewer:吉羽 さおり
前作『SNOWTOWN』から約8ヶ月。FOLKSの3作目のミニ・アルバム『BLUE & YELLOW』は、進化/深化するバンドの現在をとらえた作品になった。遊び心が何層にも詰まった構築的なエレクトロ・サウンドは、よりシンプルに、しかしとても叙情的に歌のエモーションを引き立てている。透明感にあふれた音が聴き手の身体を通り抜け、心にそっとあたたかさやキズを残していくような、印象深い曲が並んでいる。北海道・恵庭市で共に育った仲間から、音楽家、クリエイター集団としての感性を磨き上げているのを感じる。
-3枚目のミニ・アルバム『BLUE & YELLOW』は、デビュー作の『NEWTOWN』から続くホームタウン・シリーズとはまたひと味違った作品に仕上がっていますね。
郁人:ついにここから、色シリーズです(笑)。っていうのは嘘ですけど。
豪利:え、嘘なの(笑)?
郁人:それはまだわからない。
-そのあたりはお楽しみですね(笑)。そして、より大人っぽくなっていたことにまず驚いたんですけど。
小林:それは嬉しい。
-音数をそぎ落としたすごくシック、且つ空間的なサウンドになっていますね。
郁人:そこは自分でもテーマにしていたというか、最近の音作りの傾向としてありますね。デビュー当時は、例えば音を平面に見たとしたら、ひとつの絵がドンとあるんじゃなくて、その絵の中に大量の見せたいポイントがあって、むちゃくちゃ複雑な絵になっていたんですけど。今は1番伝えたいことをシンプルに描いた絵になっていて。今回のアルバム・ジャケットは油絵なんですけど、シンプルに見えるけれど、注意してみるとすごく複雑で奥行きがある、そういう深みのある作品や音作りをしたいなというのはありましたね。
-一貫してそういう曲作りにもっていっていたと。
郁人:音選びの段階から、今まではメンバーに"これはどう?"って客観的に聴いてもらっていたんですけど。今は、ひとつひとつの音に対して自信を持てているというか。"この音を聴いてくれ"って気持ちになっていると思う。
-では、今回は実際どのあたりの曲からスタートしていったんですか。
郁人:今年の2月くらいに、Track.1の「BLUE & YELLOW」とTrack.2の「夜の砂漠と月の光」が同時にできたんです。この2曲って、歌詞の言いまわしや曲の雰囲気は違えど、メッセージとしては"取り繕わずに、ありのままの自分を受け入れていくよ"というメッセージがあって。この2曲ができたとき、この作品を作りたいなと思い立ったんです。
-そういう曲のテーマやイメージを伝えたうえで、メンバーにも聴かせたんですか?
郁人:聴かせましたね。どうだった?
小林:いや、いいもの作ったなと思ったよ(笑)。
郁人:曲ができたら、まず誰よりも先にメンバーに聴かせるんですよね。
小林:で、俺は褒めることしかしない。
郁人:そうそう、禄与に聴かせたら褒めてくれるから(笑)。
小林:"最高じゃん"って言って。でもアルバムの曲を全部作ったあとに、"シングルにするならどれだと思う?"って言われたときに、いつも的外れなことを言っちゃうっていう(笑)。
高橋:はははは。
小林:あ、これじゃないんだって(笑)。
-でもこの2曲が最初に上がってきたら、興奮しますよね(笑)。すごくいい空間性のあるサウンドですが、これを実際にバンドで形にしていくとなると難しさはないですか。
郁人:そうですね。今まで以上に音数が少ない分、たしかにその空白や隙間をどう聴かせるかはあって。俺らこの間まで北海道でレギュラーのラジオ番組をやっていて。"Northern Laboratory"――北の研究所というテーマで、リスナーと一緒に音を研究していくという、好き勝手やらせてもらっていた番組だったんです(笑)。そこでリバーブと呼ばれる空間系のエフェクトがいかにいろんな種類があって、面白いかを、みんなで共有していて。その中のひとつとして、自分でリバーブを作ってみたりとか。そういう、空間に対するこだわりというのはずっとあったんです。
-自分で作るというのがまた面白そうですね。
郁人:そういう空間系のこだわりということでは、前作の『SNOWTOWN』(2015年2月リリースの2ndミニ・アルバム)もそうだったんです。空間の作り方で、例えば北欧っぽいとか南国っぽいとか、UKっぽいとかUSっぽいというのが出るんじゃないかなと俺は思っていて。どういう場所で録ったのか、どういう空間で音を鳴らしたのかが、重要だと思っているんです。今回もそれは重視しましたね。
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