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INTERVIEW

Japanese

笹木勇一郎

2015年07月号掲載

笹木勇一郎

Interviewer:吉羽 さおり

-その他、Track.9「僕は電気」などはヘンドリクスとき代からある曲ですね。そのセレクトは、ライヴで中心になっていた曲という基準でですか?

そうですね。あとは、2013年の12月にTOWER RECORDS限定で出た『GOLD ANTHEM』というアルバムが、結構いいアルバムだったんですけど(笑)。あれが、2ヶ月限定とかの販売で、もったいないなと思ったので。「ライフイズビューティフォー」と「僕は電気」この2曲は自分としても、すごく素敵な曲が作れたなと思えた曲だったので、これは入れたくて。「ヒラメキの瞬間」もキラー・チューンで、ポップスとしてはこれはありだなという曲で。わけもなくテンションが上がる曲って、大事なんだなって思うんです。

-そして、Track.10「命の灰」は、デビュー・シングル「星のかけら」に収録されていて、これもまたとても印象深い大事な曲でもあって。そして、アルバムを締めくくるのが、さっきも言っていた、ひとりでアコギを持って歌っているイメージが強い「一人の歌い手、たわいのない独り言」です。

これは1番素直というか。たぶん、アルバムの最後の曲って気に入ってくれた人しか聴かないと思うんですよ。

-そんなことないでしょう(笑)。

僕自身がそうなんですけど、外国の好きなアーティストでも、例えばOASISのアルバム『(What's The Story)Morning Glory?』の「Champagne Supernova」とかはそれが待ち遠しくて全部聴ける、好きだから辿り着くんですけど、他のアルバムはあまり最後までいかないっていうか。途中で、他のバンドの曲が聴きくなったりするんですけど。最後まで聴いてくれる人がいたとしたら、その人にはありがとうと言いたいなと思ったんです。この曲は、ヘンドリクスのお蔵入りしていた2ndシングル候補の中の、ひとつでもあったんですけど。それをもっとシンプルにして、自分が音楽をやり始めた14歳のとき、初めて近所の楽器屋さんで弾き語りをしたときの空気感にのっけて、気持ちを伝えたかった。そういうイメージで作ったんです。あと、一発録りですしね、これは。

-ああ、そうですね。では、レコーディングはあまり回を重ねずに?

2回だけやってますね。その2回も連続ではなくて、他のレコーディングをしている最中にふらっと録ってますね。リラックスしている状態で、普通に家のソファに座って弾いているように録れたらいいねっていう話をしていたんです。最初はマイクの合わせがてらに何となく1回録ったテイクと、あとは全部のバンドの録音が終わったあとに、じゃあ録ってみますかっていう。そのあとの方のテイクが入ってます。

-今回、レコーディングをしていて、ああアルバムができ上がっていくなという充実感なり達成感なりっていうのは、あったんですか。

やっていたときには僕もはたっぷ君もメジャー盤として全部アレンジして、自分らで録りきるっていうのが初めてだったので。とにかく一生懸命だったんですよね。ワイワイはしていたんですけど。でも、だいぶあっという間に終わったという感じでしたね(笑)。一生懸命すぎて。

-今の方がこうして取材が始まって、実感が出てきたというところでしょうか。

そうですね、実感が出てきました。今回は新しい曲たちが最後までブレずに引っ張ってくれた感じがするんです。「"not"_alone」が軸だったからもあるんですけど、途中途中であれ?そっちでいいのかな?って内心思ってるけどなんとなく進んじゃうこととか、今までだったらそういう流れにのってしまったこともあったんですけど。みんなの見ている方向が合っていたからか、僕が一瞬流されたとしても他のスタッフさんが、"こっちのほうがいいんじゃない?"って言ってくれたし。しっかり曲が引っ張ってくれて軌道修正してくれたんですよね。

-そうやって曲ありきで進んで行ったのは何よりですね。

ほんとにそう思いますね。

-ちなみに、このアルバムに入った以外にも曲はたくさんあったんですか?

そうですね、変な曲とかは今回収録されなかったので(笑)。

-そこはまたあとに、日の目を見そうですか(笑)?

はい、まだ1stアルバムには濃すぎる部分だと思うので。あ、そうだ、この話をしようと思っていたんだ――今回一緒に作っていた、はたっぷ君というのが非常に普通というか(笑)。僕が変に頑固だったり、へんちくりんな曲を作るんですけど、それをはたっぷ君がJ-POPにうまく落とし込んでくれるんです。それをハイボールに例えようって話を、取材でするねってレコーディングのときにしていたんですよ(笑)。僕がウィスキーのストレートだとしたら、はたっぷ君は炭酸だという。ハイボールの方が、シェア高いし、そっちの方がみんな飲みやすいじゃんって(笑)。そういうイメージなんだよねっていう。

-ふたりは、とてもいいバランスですね。

これが濃いアレンジャーさんとやってたらエキセントリックなものになっていたかも(笑)。はたっぷ君は、大学生のときから札幌で一緒にやってきた仲間なのでお互いわかってるし、なんせ人当たりのいいっていうのが、はたっぷ君の1番の武器なんですけど。自分もそういうはたっぷ君がいて、スタッフさんがいてとかだと、安心できるというか。僕が言いたいことも、はたっぷ君がすぐに理解してくれて、それをやんわり伝えてくれたり。

-最高の通訳だ。

そうなんです。そういう意味でもひとりきりだったら、僕の場合はうまく立ち回れないんですよね。急にすげえヘコんだりとかするし(笑)。常に闘争心もあるし(笑)。そこをうまく中和してくれるんです。音楽をひとりきりで作るより、まったく違う人間から繰り出される音が重なったときに、発せられるマジックとかパワーがやっぱり僕は好きなんですよね。そのへんも「"not"_alone」だと思います。