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INTERVIEW

Overseas

BLEACHERS

2014年10月号掲載

BLEACHERS

Member:Jack Antonoff

Interviewer:新谷 洋子

-『Strange Desire』というタイトルにはどんな想いを込めたんですか?

この10~15年の間、僕を音楽作りに駆り立ててきたのは、まさに説明できない"奇妙な欲望(Strange Desire)"なんだってことに気付いたんだ。このアルバムは、そんな積み重ねの末に辿り着いた絶頂点なんだと思って、『Strange Desire』と命名したんだよ。

-日本についていくつか質問させて下さい。2度目の来日では大変な想いをしたようですが、3回の訪問を振り返って、特に印象に残っていることはありますか?

僕は他のどの国よりも日本が大好きなんだよ!世界で1番お気に入りの場所のひとつさ。その理由は多分、音楽やアートに対する日本の人たちの愛情にあるんだろうね。ライヴに来てくれるファンは、いつもものすごく情熱的で、エキサイトしてくれて、他の国では必ずしもそうとは限らない。あと、ちょっとワガママな理由もあって、ジャパニーズ・フードに目がないんだ。特にラーメンが大好きで、アメリカではなかなか美味しいラーメンには巡り会えないからね。日本の駅の立ち食いラーメン屋のほうが、アメリカのどこのラーメン屋よりも美味しいラーメンを食べさせてくれるよ(笑)。

-FUN.を通じてあなたを知っているファンに、メッセージをもらえますか?

とにかく、日本のファンは世界最高のファンだってことを伝えたいね。だから新しいバンドでみんなとまた会える日を、心待ちにしているよ!

-そのバンドというのは、どういうメンツなんですか?

4人のメンバーのうち3人は新しく組んだ人たちで、ひとりは10年以上の付き合いなんだ。僕が以前在籍していた、STEEL TRAINの元メンバーだからね。つまり、出会ったばかりの人と昔から知ってる人のミクスチャーだよ。

-ライヴはどんな趣向なんですか?

ちょっとシアトリカルな部分があるよ。ドラマーが2人いるし、まるで宇宙船みたいな感じで、メンバーそれぞれが各自のパートをプレイする装置を操っているんだ。

-あなたはパンク・シーンの出身で、長年インディー・バンドで活動し、その後メインストリームで成功してグラミー賞を受賞し、同時にソングライターとして他のシンガーたちにポップ・ヒットを提供する......という具合に、ミュージシャンとして様々な体験をしてきましたよね。どういうシーンにいても、どういう役割を担っていても、違和感は感じない?

うん。今も日々多くのことを学んでいるからね。中でも、これまでのキャリアで学んだ1番重要なことのひとつは、こなせる仕事が増えるほどに、ミュージシャンとしての能力もアップするってことなんだ。というのも、ひとつのことしかできなかったり、ひとつのバンドにしか関わっていなかったりすると、そのひとつのことに、自分が持ってるアイデアの全てを注ぎ込もうとしちゃうよね。で、アイデアを詰め込み過ぎて、良くない結果を招くんだ。だからFUN.があって、BLEACHERSがあって、ソングライターとしての仕事があれば、何かクールなアイデアを思い付いたときには、それがしっくりハマるプロジェクトに使えばいい。詰め込みすぎて相殺されてしまうようなことにはならないんだよ。こっちには合わなくても、あっちにはピッタリで、ちゃんと活かせるのさ。

-そういえば、ソングライターとしては女性アーティストとのコラボが目立ちますよね。

うん。なぜなのか分からないんだけど、とにかく女性のほうが共感できるんだ。女性の声が基本的に好きだしね。僕も女性の声が欲しかった(笑)。何も意図的に女性とばかり組んでるわけじゃないのに、結果的にそうなっちゃって、僕自身すごく興味深いことだなあって思う。

-究極的に、このアルバム制作を通して自分について何か新たな発見はありましたか?

最大の発見は、自分が抱いている夢や妄想は、時に、ちゃんと現実になり得るんだってこと。もちろんバンドでも、みんなで力を合わせて何かを形にすることはできるんだけど、今回のプロジェクトを通じて、自分ひとりでも可能なんだってことが分かったよ。

-アルバムは故郷ニュージャージーと深い関係があるわけですが、自分のパーソナリティについて"ここはニュージャージーっぽいな"と感じる部分はありますか?

希望を失わないことだね。ニュージャージーの人たちは、ニュージャージー出身であることをすごく誇りに感じているんだけど、それと同時に、常に上を見て、より大きなものを求めている。ほら、ニュージャージーはいつもニューヨーク・シティの影に隠れてしまっているよね。だからみんなニュージャージーを出て、より大きな世界に属したいという願望を抱いているんだよ。